こんにちは。
昨日のニュース記事で、バンタム級の井上チャンプがスーパーフライ級・井岡チャンプとのドリームマッチに興味を示したってのがありました。
いずれもPFPランキングに入る強者。
試合することになれば、ボクシングファンの興味を引くのは間違いないのですが、、、現実味は薄いかな。。。
んでも、「火の無い所に煙は立たぬ」
さて、どうなるか。
今日は、民法の過去問をやりたいと思います。
それでは、早速。
問題
物上代位に関する次の記述について、民法の規定及び判例に照らし、正誤判定をしてみましょう。
1 対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合には、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であっても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。
2 対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合で、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとき、それが抵当権設定登記の前に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することができる。
3 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合には、当該動産の元来の売主は、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。
4 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときであっても、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。
5 抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合には、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転貸賃料債権を物上代位の目的とすることはできない。この場合でも例外的に物上代位できる場合があるが、どのような場合に物上代位の目的にできるか。40字程度で考えてみましょう。
正解は?
1、× 参照あり。
2、○ 参照あり。
3、○ 参照あり。
4、× 判例のみ参照あり。
5、抵当不動産の賃借人が所有者と同視できる場合には、転貸賃料債権を物上代位の目的にできる。(43字)
今日の5肢はいかがでしたか
時々出てくる記述式
参照
(注)過去記事は、本試験の問題順と掲載順が異なります。
肢1.
問:①対抗要件を備えた抵当権者は、②物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合には、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であっても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。×
今日は、物上代位に関する問題。
この肢は、「①対抗要件を備えた抵当権者」VS「②対抗要件を備えた債権譲渡の譲受人」の問題です。
それぞれの対抗要件は、抵当権が「登記」、そして、債権譲渡は「通知・承諾」です。
つまり、この問題は、②が対抗要件を備えた後は、①は物上代位権を行使することはできないと言っている訳です。
「えっ、そ、そうでしたっけ」
物上代位に関する規定を見てみましょう。
(物上代位)
第三百四条 先取特権(抵当権)は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者(抵当権者)は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
この規定、次の規定で抵当権に準用されています。
(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
つまり、第三百四条は( )書きのように読むことができる訳です。
ここで問題になるのが、1項のただし書き部分。
「ただし、抵当権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。」
問題をみると「弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて」とありますから「差押え」という要件は満たせるようです。
とすると、債権譲渡と「払渡し又は引渡し」、その辺の関係に疑問が残りますよね。
以下に、有名な言い回しの判例があります。
平成9(オ)419 取立債権平成10年1月30日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 東京高等裁判所
民法三〇四条一項の趣旨目的に照らすと、同項の「払渡又ハ引渡」には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。
と言うことで、この肢は、間違いです。
この判例は、抵当権者と債権譲渡で対抗要件を備えた譲受人(債権者)とではどちらが優先的に賃料から弁済を受けられるかという事例です。
登記された抵当権は、公示されているので強いってことですね。
肢2.
問:①対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合で、②第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとき、それが抵当権設定登記の前に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することができる。○
2問目は、「①抵当権」と「②相殺」との優劣関係の問題。
①抵当権者(登記)が、物上代位権の行使=債権を差し押さえた
↕
②第三債務者が債務者に対して反対債権を有していた
問題では、②の反対債権の取得が登記の前であると言っています。
その場合には、抵当権者に対抗できると言っています。
早速、判例を確認してみます。
平成11(受)1345 取立債権請求事件平成13年3月13日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人(第三債務者)は、抵当権設定登記の後に賃貸人(債務者)に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできないと解するのが相当である。
問題と判例の違いは、、、
第三債務者の債務者に対する反対債権の取得時期
判:抵当権設定登記の後に取得か問:抵当権設定登記の前に取得か
つまり、判:抵当権設定登記後に取得したものである場合は、対抗できず、問:抵当権設定登記前に取得したものである場合は、対抗できる。
こうなりますね。
理由なんですが、
けだし、物上代位権の行使としての差押えのされる前においては、賃借人のする相殺は何ら制限されるものではないが、
上記の差押えがされた後においては、抵当権の効力が物上代位の目的となった賃料債権にも及ぶところ、物上代位により抵当権の効力が賃料債権に及ぶことは抵当権設定登記により公示されているとみることができるから、
抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と物上代位の目的となった賃料債権とを相殺することに対する賃借人の期待を物上代位権の行使により賃料債権に及んでいる抵当権の効力に優先させる理由はないというべきであるからである。
と言うことで、この問題は、判例を反対に解釈しただけなので、正しい記述です。
内容を確認しときます。
判例から分かるのは、「抵当権設定登記」+「差押え」があれば、相殺することはできないってこと。
これは、「抵当権者が」と「差押えをした後は、」から分かることです。
と言うことは、これ以外は相殺ができるってことになりますよね。
・抵当権設定登記前に反対債権を取得
・抵当権設定登記後の取得であっても差押え前
これらは、相殺できるってことになりますね。
肢3.
問:動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合には、当該動産の元来の売主は、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。○
3問目は、この問題です。
「動産売買の先取特権に基づく物上代位」 VS 「対抗要件を備えた債権譲渡」。
この問題、、、1問目とちょっと似てます。
「対抗要件を備えた債権譲渡の譲受人」は同じ。
違いは、1問目は、抵当権、この問題は、動産の先取特権。。。
この2つ大きな違いがあるんですが、、、それは
「公示制度」
抵当権には、登記という公示方法があり、動産の先取特権には、ない。
これは、大きな違いですね。
判例を確認してみましょう。
平成16(受)1271 売掛代金請求及び独立当事者参加事件平成17年2月22日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。
と言うことで、この肢は正しい記述です。
理由なんですが、
民法304条1項ただし書は、先取特権者が物上代位権を行使するには払渡 し又は引渡しの前に差押えをすることを要する旨を規定しているところ、この規定は、抵当権とは異なり公示方法が存在しない動産売買の先取特権については、物上代位の目的債権の譲受人等の第三者の利益を保護する趣旨を含むものというべきである。
簡単に言うと「動産売買の先取特権」は、公示方法がないから譲受人を保護すべきってこと。
それと、、、2問目同様に、判例には、物上代位権を行使できる場合も書かれてます。
「対抗要件が備えられた後においては、~~~できない」ですから、「対抗要件を備える前においては、~~~できる」。
「差押え」は、必要ですけどね。
肢4.
問:動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときであっても、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。×
4問目は、この問題。
過去記事で使った図を。(笑)
売主1.----- 買主2(請負人).
******* ↕ 動産を用いて請負工事☚この請負代金債権
****** 第三者3.
買主さんが売主さんから動産を仕入れて、請負工事の委託を受けた第三者さんのご自宅で工事する、そんなイメージ。
そして、肢1.の物上代位の条文で、代位できるのは、
「その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物」に対して行使できるってのを確認しています。
請負代金債権は ってことですね。
ここは、判例を、、、
平成10(許)4 債権差押命令及び転付命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告平成10年12月18日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所
原則
請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、
例外
請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して右物上代位権を行使することができると解するのが相当である。
ほぼ、問題の通りではあるんですが、結論が違ってますね。
この肢は、例外を問う問題でした。
この問題は、間違いです。
肢5.
問:抵当権者は、①抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、②同不動産が転貸された場合には、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転貸賃料債権を物上代位の目的とすることはできない。この場合でも例外的に物上代位できる場合があるが、どのような場合に物上代位の目的にできるか。40字程度で考えてみましょう。
今日の最後の問題は、記述式。
それぞれ見てみますね。
①は、肢1.第三百四条で確認したところです。
抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。
賃料債権は、「目的物の賃貸によって債務者が受けるべき金銭」です。
そのため、ここは、正しい。
問題は、②の原則に対する例外についてです。
過去記事から図を。。。
抵当権者1.-----債務者2.(抵当権設定者)
*******賃貸⇕①賃料
********賃借人3.(転貸人)
*******転貸⇕②転貸賃料☚この部分
********転借人4.
*********
たとえば、、、
抵当権者Aさん
債務者(抵当権設定者)Bさん
賃借人(転貸人)Cさん
転借人Dさん
それぞれ人が違ってる場合は、賃借人(転貸人)Cさんと転借人Dさん間の賃料のやりとりは、抵当権者Aさんと債務者(抵当権設定者)Bさんとは無関係ってのが分かります。
これが、「原則」と書かれた部分。
と言うことは、例外は、
平成11(許)23 債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件平成12年4月14日 最高裁判所第二小法廷 決定 破棄差戻 東京高等裁判所
民法三七二条によって抵当権に準用される同法三〇四条一項に規定する「債務者」には、原則として、抵当不動産の賃借人(転貸人)は含まれないものと解すべきである。
けだし、所有者は被担保債権の履行について抵当不動産をもって物的責任を負担するものであるのに対し、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはないからである。
これが、原則。
そして、解答部分。
もっとも、所有者(肢:債務者(抵当権設定者))の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装した上で、転貸借関係を作出したものであるなど、抵当不動産の賃借人を所有者(債務者:抵当権設定者)と同視することを相当とする場合には、その賃借人が取得すべき転貸賃料債権に対して抵当権に基づく物上代位権を行使することを許すべきものである。
正解は?
抵当不動産の賃借人が所有者と同視できる場合には、転貸賃料債権を物上代位の目的にできる。(43字)
オウム返し
先ほどの図を。
抵当権者1.-----債務者2.(抵当権設定者)=賃借人3.(転貸人)
*******転貸⇕②転貸賃料☚この部分
********転借人4.
抵当権者Aさん
債務者(抵当権設定者)兼賃借人(転貸人)Bさん
転借人Dさん
難しかったですか
最高の舞台としては、
井上チャンプの4団体統一、
そして、井岡チャンプの4団体統一、
その後に4団体統一チャンプ同士の異階級戦。
その後に、井上チャンプがスーパーバンタムに階級を上げて4団体統一を目指す。
夢のようだわ。
本日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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