ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

山椒魚の勝ち

2021-11-18 | 日記

Caphoto by John Cleckler: 特定の大きな春さきの水たまりだけが、カリフォルニア・タイガー・サンショウウオの繁殖生息地となる。

 

 

 

カリフォルニア州のソノマ郡やサンタバーバラ郡で絶滅危機に瀕しているカリフォルニア・タイガー・サラマンダー(和名:カリフォルニア・トラフ・サンショウウオ)の生息地が、ここセントラル・ヴァレーのまさに大規模開発を始めんとしている地域で2017年発見された。そしてその年の7月に、アルゴー環境コンサルティング会社の主席生物学者キャシー・キンズランド氏は、その旨市議会に報告した。

魚類野生生物局は、カリフォルニア・トラフ・サンショウウオの個体数の減少の主要原因は、都市開発と農業による生息地の喪失と断片化である」と述べている。さらにセントラル・ヴァレーの中央部にあるフレズノ郡とサンワキン・バレーなどの地域は、草原や丘陵地帯に生息するサンショウウオの重要な生息地として指定されている。

 

Wikiより。

濃い緑の地域がカリフォルニア・トラフ・サンショウウオの生息地

 

当初1050エイカーの土地宅地開発計画を、市議会に提出していたW宅建会社は、この環境問題が見つかり、決定が長引く可能性を回避するために、影響範囲約1000エイカーを当初の計画から削除し、155エイカーのうち、未開発な75エイカーを会社が開発地とする案を提出、それはこの11月1日に決議された。当初の案では、昨年2020年3月に75エイカーの開発は始まることになっていた。

「その地域での(大規模な)開発はまだ実現可能であると私たちは信じていますが、環境問題を含む土地開発プロセスは明らかに非常に時間がかかり、はっきりいつと定義できないタイムラインがあります」とW宅建会社の最高経営責任者ハリス氏は言う。

市議会はその要求を賛成5対反対0で決議したが、市議会議員も長引くだろうプロセスに不満を表明した。 「市議会としては、市の発展のため将来に備えるのに役立つと思うので、当初の大規模土地開発計画を楽しみにしていました。」と、この大幅な計画された開発地のかなりカットされたことに不満を述べた。つまり宅地造成によって市に入るだろう税収の極端なカットを憂うのである。

「タイガーサラマンダーが1匹いるとしたら、それがただ1匹だけかもしれないと思えるし、ピンポイントでどこに生息しているのかもわかりません。漠然とただこの広大なここにいる、とだけしかわからないのです。」この稀有な絶滅危惧種のサンショウウオは、雨季にできる大きめの水たまりによってセントラルヴァレーでは生息するのだ。

さらにサンショウウオの実態や実数を確認するには、2回の雨季に亘って「ドリフトフェンス」と呼ばれる調査を行わねばならない。雨季とは、通常数日以上の降雨を意味する。カリフォルニア州のこの乾燥しきった盆地で、2年間降雨があったのは、いつだったろうか。少なくともそれは10年以上前のことである。

この何年も続く旱魃の時代に、ドリフトフェンス調査は、土地開発事業にとってほぼ実行不可能であり、実態も実数も掴めないならば、開発はできない。そして一匹でもサンショウウオの存在が確認された今、もし無理やりに土地を開拓し始めて、サンショウウオを追い出すことになれば、政府機関は通常、その持ち去られる土地1エイカーにつき、3エイカーの政府機関に承認されたサンショウウオの生息地となる場所を提供する必要がある。しかもこの辺りの提供可能な土地は、すでにカリフォルニア州高速鉄道局によって取得されている。

そのため、宅地開発会社及び小規模都市は、カリフォルニア環境品質法に対する懸念と不満を州政府に訴えたい立場である。そして彼らの希望は開発できる土地の境界線を広げることによって、地域にある程度の経済をもたらすことだ。

木にしがみついて、声高に伐採を阻止するような過度な環境保護主義者ではないが、この開発計画については、サンショウウオの勝ち!と言えそうで、正直ほっとしているのはわたしだけではない。何故ならば下のこの計画の航空写真。
 
 
大通りの名称は便宜上消してある。
 
 
当初の計画の規模の大きさと、赤い境界線(アヴェニューS)の底辺南側の住宅地がすでに最大限に密集している(青色の地域)。赤い境界線内が当初のサイズ、1050エイカーで、サンショウウオが生息しているとわかった後の155エイカーが妥協案の黄色の境界線内である。そして最終的に75エイカーが許可されたのは、その黄色い境界線内の約1/2である。
 
S アヴェニュー以北の空き地は、水源と言える小さなクリークが何マイルか離れたところにあり、それしかない。つまりここに何百もの大規模な住宅地を作るには、生活用水も含める水が不足することになる。この計画地の東には低めの丘陵地に作った住宅地がすでにあるが、そこはすでに15年前から井戸が枯渇し、引越しを余儀なくされた家族が少なくない。
 
生活用水も含めて、農業に回される水はここ10年ほどは年々少なくなっており、これ以上その計画された土地に大きな住宅地が開発されるとなると、それは市政の過ちに繋がる可能性が大きい。そしてそれだけの人口がさらに増えると、既存のフリーウェイがバンパーとバンパーを突き合わせて一ミリも先へ進まない状況になる。雨季を2年かけてするオオサンショウウオの実態調査ドリフトフェンス調査さえ今年来年にはできそうにないのなら、こうした開発計画は市民にとってひとつも便利なことはなく、むしろ生活の不便さを押し付けられることになりそうだ。

もしCOP26の主張する温室ガス効果が、グローバルな異常気象を引き起こすというのなら、今のところ、この小さなサンショウウオの勝ちである。

 

blogspot.com

結構愛らしい。

 

 

 


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