「そうかなぁ」
ただジュンペイだけは、二人には反対だ。
「案外賢いんだぞ、竜は…
ちゃんと、こっちの言うことも、理解しているし」
二人に向かって、力説する。
「そうだけど、でも…」
じいちゃんは、何となく言いにくそうな顔をするけれど…
「ねぇ、それって、何かわかっているのかぁ」
じいちゃんから、その固まりを受け取ると、試しに竜の
鼻面に近づけてみる。
ピクッ!
さっきと全く同じ反応を、竜が見せる。
「えっ?」
やっぱり…そうだ。
「ほら!」
見たでしょ?
裕太が、じいちゃんを見上げる。
だがじいちゃんは、少し驚く様子もなく、
「そうだなぁ」とうなづくのみだ。
「ねぇ、じいちゃん…これって、なに?
何に使うの?
もしかして、どうやって使うのか知っているから、
預かったの?」
疑問は尽きることなく、次から次へと湧き出して来る。
だがじいちゃんは、鷹揚な表情を浮かべると、
「さぁ?そんなにいっぺんに、答えられないなぁ」
ヘラッと笑う余裕すら、見せている。
「だって…」
あの謎のオジサンのひと言が、どうしても気になる。
(じいちゃんは、あのオジサンに、何を託されたんだろう)
裕太はじぃっと、じいちゃんを見上げる。
するとじいちゃんは、ため息をつくと、
「お守りだよ」
ポンと、そうひと言言った。