「ジュンペイ…どこにいるんだ?」
裕太は、緑の光のもっともまぶしい所に向かって、大きな声で
叫んでいる。
(もっとも他に、手立てはないのか?)
思い通りに、事が運ばないことに、裕太はひどく焦りを感じる。
木の幹が、ほんのりと光を放っているのが見える。
はぁ~
裕太は大きく深呼吸をすると、木の幹にペタッと頭をつける。
丁度、木に抱きついているような恰好だ。
するとかすかに、風の音が聞こえる。
(風?何でこんなところで?)
どこから風が、吹いてきているのだろう?
裕太は、ジッと耳に意識を集中させる。
ゴーッ
わずかに、風が吹きつけるのならば、理解が出来るのだけれど、
それとは違う。
(なに?どうして、ここに?)
さっぱり、わけがわからない。
おそるおそる、風の音が聞こえてくる方角を探す。
どこだ?
どこに…そんな場所があるんだ?
(まさかジュンペイは、そこにいるのだろうか?)
もしかしたら、リュウタが気をきかせて、ジュンペイを連れて行った
のかもしれない。
そんな虫のいいことまで考える。
(だけど、本当に、そうか?)
どっちにしろ、今の裕太には、他に進むべき道が、見当たらない。
(それともほかに、逃げ道があるのか?)
何だか無意識のうちに、自分たちは龍神に誘導されているのかも
しれない…と、裕太は思いいたる。
(リュウは今、どこにいるのだろう?)