以前にもご説明しましたとおり、現在、私事多用につき毎週更新できずに大変申し訳ありません。

普段であれば高松宮記念について振り返り考察するところですが、今回は日本から大挙22頭の出走があったドバイWCミーティングについて、気付いた点がありましたので一考察したいと思います。

 

ゴドルフィンマイル

1着・バスラットレオン

キズナ、形相遺伝として影響が強いのは母母の父と診ています。

ローテ的体力は料的遺伝6.25であり、激走後は中週程度は必要。

 

<ドバイゴールドC

1着・ステイフーリッシュ

ステイゴールド、形相遺伝として影響が強いのは母母と診ています。

ローテ的体力は料的遺伝5.50であり、激走後は中週程度は必要。

 

UAEダービー

1着・クラウンプライド

リーチザクラウン、形相遺伝として影響が強いのは母と診ています。

ローテ的体力は料的遺伝6.25であり、激走後は中週程度は必要。

 

<ドバイターフ>

1着同着・パンサラッサ

父ロードカナロア、形相遺伝として影響が強いのは父の母母と診ています。

ローテ的体力は料的遺伝4.25であり、激走後は中4週程度は必要。

 

<ドバイシーマクラシック>

1着・シャフリヤール

父ディープインパクト、形相遺伝として影響が強いのは母父の母父の母の先祖の隔世遺伝と診ています。

ローテ的体力は料的遺伝3.50であり、激走後は中6週程度は必要。

 

 

世界中が新型ウイルス対策に見舞われて一昨年は休催となり、今年は激変の世界情勢の中で、サウジCデーも含めて開催があるのか問われましたが無事に開催、今年は日本から大挙23頭が参戦、1頭回避となりましたが22頭が出走し、日本勢だけではなく世界各国から有力馬の参戦があったことで国際色豊かになり、昨年よりもメンバーレベルも上がりましたが、UAEダービーにはロシア調教馬の参戦があり、スポーツの世界でもロシアに対する制限を加えている中で、この出走が一部で議論になっているようです。

そのような中で、当日の9レース施行中8レースに日本馬が参戦、過去最多となりましたが、結果は皆さんもご存知のとおり、日本馬が5勝2着1回3着3回という良績を挙げ、サウジCデーに続いて大豊漁となりました。

 

 

その5勝の勝ち馬については上記のとおりですが、皆さんもお気付きのとおり、5頭とも父がサンデー系、キンカメ系の牡馬ということで、私が日頃から血が溢れ返って牡馬は成馬になると闘争本能の減退喪失に見舞われてしまうと指摘している馬達です。

この内、クラウンプライドは現在3歳春であり、成馬古馬ではなく成長過程の青春期ですので扱いは別ですが、特に7歳古馬牡馬ステイフーリッシュのゴール前で差し返す走りは国内戦では見たこともない走りであり象徴的でしょう。

 

父サンデー系やキンカメ系の牡馬が、成長を遂げて成馬古馬になると3歳時のパフォーマンスが影を潜めてしまうのはこれまでも何度も述べてきましたが、新しい読者様もいらっしゃるかと思いますので、ここで確認の意味で改めて触れておきます。

 

 

現在の馬の生産状況は、巨星2頭が亡くなったものの、やはりディープの血を筆頭とするサンデー系が圧倒しており、それに次ぐのがキンカメ系となります。

これまでもこのブログで度々述べてきましたが、特定の血に偏ってその血が溢れかえっている状況では、その血を父系統に持つ牡馬は、成馬になると野生時代からの本能に基づき、同じ群れの中に更に同じ血を増やさない、近親配合による血の行き詰まりを避けるため、本能的にボスにならないよう闘争本能を失ってしまいます。

馬は一般的に、走る・蹴る・噛むというその身に備わった3つの武器を用いて闘争するものですが、競馬はその内、走るという武器に焦点を当てて互いに争わせる人工的な競技であり、それはまた、馬が集団内でボスの座を争う際の闘争本能と習性を利用した競技でもあります。

そして牡馬は、ボスとなって自らの血を遺伝子を残そうとする本能に基づいて、他のライバルと熾烈な戦いをする訳ですから、闘争本能の減退喪失はパフォーマンスの割引、減退に直結してしまいます。

このことにより、牡馬は成馬古馬として成長するにつれ、青年期の脚比べの陸上競技会から、大人の牡馬として血を残すボス争いの戦いに移った際に、闘争本能の減退喪失に見舞われることとなり、頂点を争うG1レースで勝利することは難しくなります。

 

昨秋のG1戦線は、父系非サンデー系、非キンカメ系の3歳牡馬エフフォーリアが秋の中~中長距離路線のチャンピオンとなり、同背景のピクシーナイトがスプリント路線転向から一気にG1を勝利、そしてダートでも同背景の古馬牡馬テーオーケインズが6馬身差の圧勝、マイル路線では女帝グランアレグリアが引退レースを勝利しましたが、女帝に迫った2着が外国産馬の3歳牡馬シュネルマイスターということで、将来に血を残すべく非サンデー系、非キンカメ系の牡馬が現れました。

 

ますます肩身が狭くなった感がある父サンデー系・キンカメ系の古馬牡馬ですが、ドバイやサウジでは実に活き活きとパフォーマンスを発揮し、90年代中盤にサンデーサイレンス産駒が初めて現れた時のような、旺盛な闘争本能を発揮して勝利しています。

(何故、サンデーサイレンスが類い稀なる闘争本能を持っているかについては、このブログでは割愛いたします。)

 

では、なぜ海外競馬でこれら産駒が活躍できるのか、答えは簡単であり、ドバイでもサウジでも特にサンデーサイレンスの血は溢れ返っておらず、まだまだ稀少な父系の血だからです。

これらの血が溢れ返っているのは日本国内であり、なぜか海外で活躍するような馬は他にもいますが、このような背景があるからです。

例えば、今回シーマクラシックに参戦したディープ産駒グローリーヴェイズは、国内ではG1未勝利ですが、海外香港では活き活きと走ってG1香港ヴァーズを2度制覇しており、これも香港にはサンデーの血が溢れ返っていないからです。

香港ヴァーズと云えば、今回ゴールドCを勝利したステイフーリッシュの父ステイゴールドも勝利していますが、国内では何度走ってもG1を勝利することができませんでしたが、引退レースの香港ヴァーズでは鞍上の武豊騎手をして「奇跡が起きた」と表現した走りを披露、国内の善戦マンぶりが噓のような闘争本能を発揮して前を捕らえ、引退レースで悲願の初G1制覇を果たしていますが、これも香港にはサンデーの血が溢れ返っていないから実現した走りです。

 

ステイゴールド産駒は、国内戦でもサンデー系男だらけの大運動会の中では比較的闘争本能を発揮することで知られますが、これはステイゴールドが国内G1未勝利ということが関係しています。

 

私が勉強を続けている中島国治氏の著作やイタリアの名馬産家フェデリコ・テシオ氏の文献においては、「春シーズン(繁殖期)の頂点を決めるレースの勝馬は、種牡馬としての人気はあっても、牡の産物はボスの仔と同様に闘争本能においては劣性である」と記されています。

これはつまり、日本で言えば日本ダービー、天皇賞・春など繁殖シーズンに開催される頂点決定戦の勝ち馬の牡馬の産駒は闘争本能が乏しいということになります。

闘争に勝利して頂点を極めた血は「闘争に勝つ」というミッションを完了しており、次の世代が更にボスになることにより血が溢れかえることを避けるために、野生時代からの本能に基づく自浄作用として闘争本能が失われるというものです。

 

ということは、この裏返しとして、これをステイゴールドに当てはめて分かり易く例えれば、天皇賞・春2着や宝塚記念2着など、繁殖シーズン期のボス決定戦で惜敗し、ボスに成れなかった悔しさを持っており、父の無念を晴らすことを子に託すと云ったところであり、溢れ返る父サンデー系産駒の中にあって、産駒たちの活躍の背景となってきました。

代表産駒のオルフェーヴルは3歳3冠馬となりましたが、次の世代となるオルフェーヴル産駒は古馬牡馬のG1馬はおらず、海外サウジで勝利したオーソリティはG2までの勝利となっています。

 

ドバイWCミーティングのテレビ中継は私は全て生観戦しましたが、この中で「ステイゴールド産駒がなぜ走るのかわからない」という解説を耳にしましたが、この主たる答えはこれまで述べてきたとおりであり、何らの知見も持ち合わせていない輩が、よく堂々とメディアでコメントできるものだなと感心してしまい、私は深夜に眼が冴えてしまいました。

 

 

ということで、ドバイWCミーティングにおける日本馬の活躍の背景について述べてきましたが、血の背景だけではなく、陣営の力も大きく寄与したことは言うまでもありません。

サウジでもドバイでも日本馬が良績を席巻、世界に大きなアピールとなりましたが、レースだけではなく今後の日本産馬のセールにも好影響が及ぶものと診ます。

今回活躍した馬や人が次なる目標をどう定めるのか、楽しみにしたいと思います。

 

 

 さて、私のコンテンツ「重賞分析極秘ファイル」は、平地重賞を対象として、レースの主要な出走馬について血統ペース理論及び中島理論の観点から、どの馬が有力なのか、どの馬が危険なのか、主要馬を中心に診断した上で穴馬を含めて予想する内容のコンテンツです。

 それから、現在姉妹メルマガとして「重賞分析極秘ファイル・買い目プラス」をレジまぐにて展開しておりますが、こちらは重賞にリステッドOPまで対象を広げて、買い目まで提供しております。

 先週は4重賞とOPリステッドを予想しましたが、高松宮記念では、5番人気ロータスランドと特選穴馬として公開した17番人気キルロードのワイドを的中しており、単発記事版では、この2頭の単複を公開して複勝を2つ的中することができました。

 メルマガ予想的中の実績については、サイトで無料でご確認頂けますので、一度お試しいただけますと幸いに存じます。都合によりブログ内にリンクを貼ることができませんが、レジまぐ内にてご検索願います。

 なお、ウマイ馬券ではロータスランドの単勝を公開しましたが惜敗、キルロードの複勝とどちらを公開するか最後まで迷いましたが、ウマイ馬券の方は重賞では1頭公開としておりますので2択を間違えてしまい、何卒ご了承願います。 

 

 世界中が新型ウイルス対策に苦慮している最中に、ロシアのウクライナ侵攻という暴挙が起きてしまい、世界中が震撼しています。

 日本では平和の下でコロナ禍にあっても競馬が行われることについて、私は改めて感謝の念を抱くとともに、ウクライナに平和が訪れることを祈るばかりです。

 3月競馬も終わりいよいよ4月を迎え、3歳クラシックロードもG1が始まる時候となりますが、皆様におかれましては新型ウイルス対策を含めて、健康管理には留意いただき、競馬を楽しんでいただきたいと思います。

 

今日はここまでです。

(仕事のご依頼はmonaka.sabao.88@gmail.comまでお願い致します)