投資のポートフォリオとは

ポートフォリオ(Portfolio)とは、現金、株式、債券、不動産など、投資家が保有している金融商品一覧や組み合わせ内容を意味します。

投資以外でもポートフォリオという言葉はよく使われます。

例えば、就職活動で「ポートフォリオを提出して下さい」と言われた場合、自分自身が過去に手がけた作品や実績、それまでに関わる経験やスキルのことを意味します。

その他にも、仕事でポートフォリオと言えば、自社事業の活動範囲や業績だったり、または取引先や顧客のパーソナルデータなどを意味します。

広義の意味でのポートフォリオとは、現在保有している資産やデータ、活動内容の一覧(組み合わせ)のことを意味します。


アセットアロケーションとは

金融業界では、ポートフォリオと似たような言葉があります。

それが、アセットアロケーション(asset allocation)という言葉です。

アセットアロケーションもポートフォリオも株式投資では、金融商品の資産配分を表す言葉ですが、微妙に違う点があります。

アセットアロケーションは資産クラスや国、セクターごとなど、ポートフォリオより大きな括りを意識した用語となります。


たとえば、今保有している金融資産のポートフォリオがMicrosoftが全体の25%、KDDIが20%、BND(米国債券ETF)を55%の割合で保有しているとします。

この状況で「アセットアロケーションを教えてください」と言われれば、「日本株が25%、米国に80%のうち、株式25、債券55の割合で保有しています」と答えるのが正解です。


アセットアロケーションとは、資産配分の「戦略」として用いられる言葉でもあり、資産区分や国、セクターなど同じ枠組みに捉えられる資産を分散させるための考え方になります。

ポートフォリオを考える上では、このアセットアロケーションのような考え方がとても重要になります。


ポートフォリオの作り方

ポートフォリオを作る上で、抑えて欲しいルールがあります。

基本的なルールですが、ポーフォリオは資産を細かく分散させるほどリスクもリターンも小さくなります。対して、ポートフォリオを分散させずに1つの資産に投資を集中させるほど大きなリターンが期待できる一方で大きなリスクも起こりやすくなります。

【重要ポイント】
  • 資産を分散するほど、
    リスクとリターンは小さくなる
  • 資産を集中させるほど、
    リスクとリターンは大きくなる

特に日本人はリスクを許容できない方が多く、多くの資産を投資せずに「現金(銀行預金)」で保有している方が海外に比べて多い傾向にあります。


すると、本来投資すればもっと大きなリターンが得られている機会を逃してしまうことになりますので、注意が必要です。


GPIFのポートフォリオ

まずは堅実(ローリスク・ローリターン)なポートフォリオの例から見ていきましょう。

それは、私たち日本人の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。

GPIFの基本ポートフォリオ(2020年4月1日からの5カ年)は以下の通りで運用されています。

GPIFポートフォリオ
出典:gpif.go.jp

大きな特徴としては、国内と国外の資産割合が1:1となり、債券と株式でも1:1の割合で国内外の株式と債券をほぼ同じ割合で分散投資されています。

2014年以前のポートフォリオでは国内債券が半分以上を占めていた時期もあり、2015年以降が国内債券35%、外国債券15%、国内株式と外国株式が25%ずつと現在のポートフォリオに近づいていきました。


では、GPIFのポートフォリオで得られるリターンを見て行きましょう。

GPIF運用実績
出典:gpif.go.jp<br>

GPIFの長期的な利回り目標は「賃金上昇率 + 1.7%」ですが、2001年以降の実質利回りは3.7%(年率)と大幅に目標をクリアしています。

年金積立金の運用実績
出典:gpif.go.jp

約20年間の運用で+102兆円も資産を増やし、運用資産総額は194兆円となました。

GPIFは私たち日本人の年金を運用しているわけですから、必要以上に利益を狙うことによって資産を減らすわけには絶対にいきません。

だからこそ、低い利回りで確実に資産を増やすことが期待されているため、ポートフォリオも安定性の高い国債比率高くなります。


GPIFのポートフォリオはかなり堅実で隙のない運用に思えます。

ですが個人の資産運用として考えると、年齢が若い人ほど債券比率が高くローリスク・ローリターン過ぎる気もします。

最近では、債券と株価が連動するような動きも見せており、必ずしも株式投資のリスクヘッジとして債券投資が必要不可欠かというと、そうでもない局面もあるように思えます。

ポートフォリオに慎重になり過ぎると、機会損失にも繋がってしまうので、要注意です。


世界株式のポートフォリオ

次は世界の株式に分散しているMSCI ACWIのポートフォリオ(2021年12月末時点)を見て行きましょう。

COUNTRY WEIGHTS
出典:MSCI

MSCI ACWIを国別で見ると、全体の61%が米国株式となっています。

企業名を見ると納得ですが、AppleやMicrosoft、Amazon、Tesla、Alphabet(Googleの親会社)など世界中でビジネスを展開する企業が米国株式として含まれています。

その他、日本、中国、イギリスなど含めて2,966銘柄に資産が分散されています。

資産構成比は時価総額が高い企業ほど高くなり、モルガン・スタンレーの選定基準によって時価総額が低かったり、浮動株が少ない銘柄ほどMSCI ACWIから除外されます。

MSCI ACWIに連動した投資信託を買っておけば、勝手に強い企業と弱い企業が入れ替わるポートフォリオを手にすることができます。


2006年から2021年12月までの運用実績を見ると、約15年間で株価は3倍となっています。

CUMULATIVE INDEX PERFORMANCE
出典:MSCI

直近10年の年間平均リターンは12.44%。1987年12月末からの年間平均リターンは8.57%だそうです。

株式100%のポートフォリオだと、リスクも上がりますが債券を入れるよりもハイパフォーマンスになります。

ただし、長期間で見た場合では右肩上がりの成長が期待できる部分もあるので、リスクを警戒する必要もないのかなと思います。

つみたてNISAのお勧め銘柄としても世界株式は記載してますので、よろしければ以下の記事をご覧下さい。