藤井風『HELP EVER ARENA TOUR』ファイナル―16曲ほぼぶっ通し、余韻が残る素晴らしいライブ

2021年11月28日

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・1度もステージを離れず、MCも短めで、ほぼずっと歌ったり楽器を弾いたりし続けた
・ダンサー、サイボーグ人間、尺八奏者も登場
・アンコールなし、余韻を残したまま終わる
・セットリスト
・商品情報

岡山県出身のR&B系シンガーソングライター・藤井風（Fujii Kaze）が2021年11月28日に東京・代々木第一体育館で開催した「Fujii Kaze “HELP EVER ARENA TOUR”」ファイナル公演の生中継配信を視聴した。

藤井風は一度もステージを離れることなく、MCも短めで、約1時間42分、ほぼ歌ったり楽器演奏したりし続けた。見応え聴きごたえ十分の全16曲で、余韻が残る、とても素晴らしい公演だった。すごく良かった、素敵なライブをありがとう、と本人に声をかけたい。

シンガーソングライターだから当たり前なのだが、若いのに、この日の全16曲が全部自作曲で、いい曲ばかりですごい、と思った。

1度もステージを離れず、MCも短めで、ほぼずっと歌ったり楽器を弾いたりし続けた

以下は、生中継の配信ライブを観ながらのメモ書きをまとめたものだ。衣装直しでステージを離れることはなく、英語混じりのMCは短めで、ほぼずっと歌ったり、楽器（ピアノ、キーボード、サックス）を弾いたりし続けた約1時間42分だった。曲によってはダンサー/パフォーマーも加わり、しっかり練られた演出だった。

17時11分開演。暗がりの中でピアノの優しく儚い音に続き、哀愁を帯びたサックスの音。薄めのスポットライトを浴びた藤井風が、バンドのバッキングで、メロディーラインをサックスで吹いていた。渋めのカーキー色寄りの緑のジャケットの上下、インナーは白っぽいカットソーを着ていた。

ピアノは弾かず、ステージに立ってマイクスタンドで「調子のっちゃって」を歌う。「首を絞める」の歌詞の箇所で、軽く両手で首を掴むような仕草を見せた。最後はかすかに囁くように歌った。

ライトが落ち、赤い弱めのライトでグランドピアノを弾きながら、「優しさ」を歌い上げる。「ああ～」のところから、バンドがいっきに音を盛り上げ、情熱がほとばしる感じで素晴らしい。

最初のMC。「今日は。Welcome to HELP EVER ARENA TOUR” Final!」「今までで一番激アツなツアーにしようと思ってた。それがファイナル。みんなの中にある要らんものが燃え尽きてしまうような、そんな1日にしたい」「立てえ言うんじゃない、座っときゃええし」「どこにおっても心の距離は変わりません。あなたに向かってパフォーマンスしたい」「We are all connected.」

ダンサー、サイボーグ人間、尺八奏者も登場

「ワシもみんなも好きな曲をやろうかな、（高い声で）『きらり』！」　ピアノを弾かず、ステージに立ってハンドマイクで歌う。途中でダンサー6人が出て来て、一緒に踊る。激しいダンスではないが、ちゃんと踊りながら歌える藤井風だった。

暗転して、弱い青いライトの中で「キリがないから」を歌い始める。画面下に小さなフクロウ（？）が見えたのは、配信専用の演出か？ステージにはサイボーグみたいな扮装のパフォーマー1人が登場。視覚的には幻想的だが、サウンドはパッショネートだ。最後にサイボーグの人と手を握り合った。いろいろ凝った演出を用意していた。

尺八を吹く人が現れた。画面テロップに「尺八奏者長谷川将山」と表示される。尺八と言えばこの曲、「へでもねーよ」。エフェクターを利かせた激しいギターの音が絶妙。ダンサーに囲まれて、藤井風が熱唱。マイク使いをいろいろと変えて、いろんな声で歌う。赤の入った照明が、曲調に合っている。

軽いMC。「みなさんを盛り上げて駆けつけてくれています。Shakuhachi Player, Hasegawa Shouzan-san! 代々木スペシャルです。今回はdancersも6人体制で、ファイナルを飾ってくれています」

「A flavor of 罪」と言って、引き続きステージに立てハンドマイクで「罪の香り」を歌い始めた。

暗めのステージに立ったまま、KORG Grandstageのキーボードをエレピ音で弾きながら「もうええわ」を歌う。掛け合いのコーラスは、ギタリストが入れていた。続けて、ハンドマイクを持って移動しながら「死ぬのがいいわ」を熱唱。

ピアノで美しい音を奏でる。次の曲に連なるイントロを弾きながら、「次は皆と一緒に。嫌だと思うことが消えていくように。手拍子をしてもらいたいんじゃけども」「みんなが必要なものは皆の中にあり余るほどある。ワシもそれに気づこうとして」「全部満たされてる、そう自己暗示をかけてみて」と語りかける。バンドメンバーが指でスナップ音を作り、「特にない」の曲が始まる。

「Amazing!」と言って、ピアノで「帰ろう」に入る前の長いイントロを弾き始める。ピアノ弾き語りで歌い始め、音が増えて行く。

ステージに立って、マイクスタンドを使って「まだ若いし。まだ青春の病に侵されとる」と言って、「青春病」のパフォーマンスを始める。両手を使って動きを少し作りながら、爽快で情熱的なサウンドを盛り上げる。

「このライブも終盤に近づきょうるんじゃけど、この辺でband memberの紹介を」と言って、バンドメンバーの紹介をする。ベーシストの人の紹介の際に「このバンドのキャプテンです」と付け加えていた。バンドメンバー紹介の最後に、自分がピアノを弾いて、セッションみたいになった。

ピアノから離れて、ハンドマイクで移動しながら「何なんw」。イントロの間に「みんな一緒に歌うてや」と呼びかけた。歌いながら途中でステージに座り込んだりもした。アウトロのインスト部分になるとピアノのところに行って力強く弾く。

「元気がよろしいことで、ありがとうございます。今の曲がデビュー曲でございました。次の曲が新しい曲。も・え・よ！」と言って、ステージに立って、ハンドマイクで「燃えよ」を歌い始めた。ダンサー2人が登場し、さらに4人も加わる。間奏では、藤井風もダンサーたちと一緒に踊る。アウトロではストラップにつないだポータブル・キーボードを弾く。

ダンサーを1人ずつ紹介し、各ダンサーがアクロバティックなどの迫力のソロダンスを披露した。凄い人たちだった。

「You guys are crazy! I love you.」と言って、ステージに立ってハンドマイクで「さよならベイベ」を歌い始めた。

「みんな手を振ってくれてから。今日が一番よう振ってくれた。嘘じゃないんですよ。だんだん熱くなってくるツアー、終わってしまうのが寂しいんですけど。あと一曲となりました。ここいらで、今まで一緒にやってきたband membersからひと言頂いてもいいでしょうか」と藤井風が語り、バンドマスターのベーシストの人が挨拶をした。他のメンバーも1人ずつ挨拶した。

藤井風が「尺八の藤井風と申します」とボケてから、真面目なトークをした。「いいことにも悪いことにも執着しないように。いいこと悪いことも、ありがとうございます、と言ったら、peacefulに生きられるんじゃないかと思います」「１つになれたツアーだったと思います」「旅路をね、みんなと一緒にシェアできることが本当に幸せです。本当にありがとうございました。一緒に進んで行きましょうという想いで、次の曲行きましょう」

最後の曲「旅路」も、ステージでハンドマイクで歌った。最初にしゃがみこんで歌い出し、立ち上がった。終盤で、ジャケットを脱ぎ捨てた。5分袖のゆったりとした白～アイボリーの丸首のカットソーのトップスだった。

アンコールなし、余韻を残したまま終わる

歌い終わると、藤井風は「じゃあ、band member出て来てください」と呼びかけた。「今日のこの日を迎えるために、本当に沢山の人が一生懸命、一生懸命頑張ってくれて。みんなも一生懸命ここに来てくれて。本当に感謝してます」と言って、バンドメンバーと一緒に拍手をした。客席に向かって、「みんなはええんじゃ。今日ぼっけえ（すごく）手を叩いてくれて、手が痛うなる」と気遣った。

藤井風はバンドメンバーとハイタッチをして、彼らがハケるのを見送った。観客に手を振って、ジャンプして、深々とお辞儀をして、ステージの端まで走って、みんなに手を振ってお辞儀をして、踊って、「燃えよ」のインストのBGMに合わせてピアノを弾いて、歌った。歌声が途絶えると同時くらいに、舞台袖に消えてハケて行った。

ここまで約1時間42分、藤井風は一度も衣装替えとかでステージを離れることなく、MCも短めで、ほとんどぶっ通しで歌や演奏を続けた。

アンコールがあるかと思ったら、場内放送で「以上をもって、本日の公演はすべて終了しました」とアナウンスがあった。名残惜しかった。余韻が残る、とても素晴らしい公演だった。

セットリスト

「Fujii Kaze “HELP EVER ARENA TOUR”」2021年11月28日17時ファイナル公演＠東京・代々木第一体育館

1.風よ
2.調子のっちゃって
3.優しさ
MC
4.きらり
5.キリがないから
6.へでもねーよ
MC
7.罪の香り
8.もうええわ
9.死ぬのがいいわ
MC
10.特にない
11.帰ろう
12.青春病
MC（バンドメンバー紹介）
13.何なんw
14.燃えよ
MC（ダンサー紹介）
15.さよならベイベ
MC
16.旅路
（17:11開演、18:53終演）