三五郎の車中泊の旅

車中泊でしか分からない、
 歩かないと見付けられない、 
  今そこにある感動を逃したくない。
       

降って湧いた災難

2020年10月08日 | 回想
8月21日(金曜)の夕方に、仕事中場内の見回りをしていた時に、急にふらついて気持ち悪くなって座り込んでしまった。
立とうとしても足に力が入らないので、これは熱中症かと思いその場で30分ほど横になっていると突然の豪雨。
慌てて立ち上がるとなんとか歩くことができた、が、休憩所まで戻る頃にはズブ濡れになってしまった。
着替えは置いてあったのでよかったのだが、体の震えが止まらない。

帰りの車の中では真夏にもかかわらずヒーターをかけたが、それでも寒くてしょうがない。
帰るとすぐに熱い風呂に入るも、湯船から出ようとするとまた震えがくるの繰り返しでキリがない。

晩御飯は震えもとまり普通に食べることができて一安心したが、その晩意識がもうろうとしてしまった。
土日はそのまま寝込んで食事もとれずどんどん体が思うように動かなくなった。

8月24日(月曜)会社に事情を説明して欠勤を伝えると、誰かが家まで来て市内の総合病院へ連れて行ってくれたらしい。
その頃になるとほぼ記憶が飛んでいて定かではない。

その病院で10日間、連日検査が続いたようだが、覚えているのはMRIのガガ~ン、ガガ~ンというやたらうるさい音だけで、あとは幻覚だけ。
その幻覚というのが奇妙で、気が付くと以前ニュースで報道していた九州豪雨の復興現場に立っていた。
するとボランティアの一人に「あんた何してるんだ!あんたはここにいていい人じゃないだろ!すぐ帰りなさい」と怒鳴られて気が遠のいた。

また別の幻覚では、以前入院したことのある下呂温泉病院の薄暗い、誰もいない病室に一人でベッドに座っていた。
病室の中は、近くを流れる飛騨川の氾濫で水に浸かってしまっている。
すると懐中電灯をもった看護師さんが現れて、「何してるんですかこんなとこで!あなた!あなたはここにいていい人じゃないでしょ!すぐに帰りなさい」また怒鳴られた。

またある時は、入院しているはずの総合病院は市街地にあるはずなのだが、気がつくと港にある病院にいた。
患者は誰もいなくて、暫くすると漁船が戻ってきた。
その漁船に乗っていたのが5~6人の患者で、おのおの手に魚を持っている。
それを病室で料理して、みんなでワイワイと美味しそうに食べ始めた。
私は羨ましそうにそれを見ていると、「あなたには上げませんよ。あなたはコレを食べていい人じゃないですからね。」と言われて、また意識が消えた。

後で思ったことだが、もしも帰れという忠告を聞かなかったら、もしも他の患者と一緒になって魚を食べていたら、、、どうなっていたのか。。。

結局、その病院では原因が分からず10日で大学病院に転院したらしいが、まったく覚えていない。

相変わらず幻覚は続く。
ただ、少し内容が変わった。
例えば、入院は最上階の部屋に入ったようだが、夜中、部屋の前の廊下を車が何台も走っている。
部屋の前で一台停まったと思ったら、顏から血を流した看護師が転がりこんで来た。
入ってくるなり、「カーテン閉めて!」と言うのでロールカーテンを降ろすと、「外から中国マフィアの男がこの部屋を監視してるから、」と言う。
訳も分からず怖くなって布団をかぶると朝になった。
すると、昨夜転がり込んで来た看護師が普通の顔をして、「〇〇さん、おはようございますー、眠れましたか?検温しますね。」
「えっ・・・、」どうなっているのか、、、

また別の日には、「私、ウクライナから日本に働きに来てるの。旦那と子供がウクライナにいるからお金貯めて国に帰るまではここで頑張っているのね。」と看護師が言う。
何日かして、またその看護師が担当についた時にウクライナの話を聞くと大笑いされた。
「なに言ってるの、わたし日本人、地元ですよ、市内です。」と言う。
どうも、幻覚と現実がゴッチャになり始めたようだ。
これはもしかして、回復期に入ってきたということか、、、

その辺りからはもう幻覚を見なくなったが、厳しい現実がまっていた。
毎日検査が続き、最後に側頭部の切開手術を終えて何日かした日、担当の先生に告げられた病名が「巨細胞性動脈炎」。
難病だそうで、現在日本に70人ほどしか症例がないと告げられ、発症原因も分かっていない。

動脈の炎症を抑える方法はあるが問題もいろいろあるので、これからはこの病気と長い付き合いになりそうです。

9月7日、待ちに待った退院の日、それまでお世話になった担当の看護師さん達が病室に来て一人ひとり声をかけてくれた。「退院おめでとうございます。」 「ここへ来たときとはまるで別人のようですよ。」 「おめでたいことではあるんですが、寂しくなりますね。」 目を見合わせると涙が出そうでつい目をそらしてしまった。
岐阜大学医学部付属病院・・・知識とか技術のことはさっぱり分かりませんが、私に係わっていただいた主治医の先生、看護師さん、管理栄養士さん、掃除のおばちゃん、職種を問わず、い~い病院でした。






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