玉鷲が素晴らしかった。と言っても照ノ富士も一方的にやられすぎだ。
調子を上げてきているように見えた照ノ富士だが、初日の大栄翔戦同様に、やはり一気に持っていかれる。ここに弱点はあるようにも見られる。突き押し力士の一気の出足というはどんな力士であれ一気に持っていけるだけの鋭さだったりパワーだったりを持っているものと思うが、それをここで魅せられた。そして何よりも3場所連続で照ノ富士撃破。これはすごいこととしか言いようがないだろう。

これで三役以上の1敗も不在となった。
そして碧山が役力士に2差を付けて全勝をキープ。

一山本との全勝対戦だったため、どちらかが全勝で残ることは分かっていたわけだが、それを制したのは碧山だった。碧山の巨体があり、組み止めることが難しい。そこに来て前に出る力があり、引き足も持っているとなると。手の付けられない好調時の碧山というのは、しばし見られるわけだが、果たしてどこまで続くのか。

とはいえ、優勝ラインは2敗までは下がってきそうだ。3敗というのも十分にありうるラインではあると思う。それゆえ、数字の上では御嶽海や貴景勝も「候補」なのかもしれないが、それにふさわしい戦いをしているかと問われると疑問を感じるのは確かだ。なにせ3敗といっても、まだ6日目。3勝3敗だ。御嶽海は勝って星を五分に戻し、貴景勝は敗れて五分の星になった。御嶽海はどちらかと言えば苦手の部類に入る北勝富士を下し、貴景勝は阿炎の阿炎らしい引きに屈したわけだが、3勝3敗という星が示すとおり、勝ったり負けたりを繰り返していくのだろう。どこかで調子を取り戻し爆発していく、そんな気配はあまり感じられない。

正代は1勝5敗と苦しい。先場所のように角番ではないため、悲壮感があるわけではないし、追い詰められたという印象も抱かないが、負け越しても来場所勝ち越せばいいんでしょという空気感が本人よりもファンの中から出てきてしまうようではダメだろう。無論、負けたくて負けているわけではないわけだが、それにしても場所に向けて何をしてきたのか。今場所の土俵で何をしようとしたのかは見えない。先場所も場所序盤で書いたが、引退間際の大関の負け方を繰り返している。

それにしても見どころが中盤になっても見えない。
ただただ、点での一番、一番の相撲で、この取組は良かった、がっかりだったを繰り返すだけなのだろうか。

一つの取組を切り取れば、いい相撲はそれなりに見られてはいる。だけれども、トータルで言えば、今場所は面白い、盛り上がる場所と言えるのか。少なくともここまではそうは感じられない。果たして中盤から終盤にかけて、どういった盛り上がる要素が生まれるのか。そこがどこになるのかを探る中盤戦になりそうだ。