北海道大学の大学院生が寄生虫に感染した魚がつられやすいかどうかの研究を行い科学誌に掲載されました。

結論自体よりも、得られたデータの分析の内容が面白いので記事にします。

まずこの学生さんは仮説として、寄生虫に感染すると食欲が落ちたり、口に寄生されることで餌を食べにくくなったりして、餌に食いつきにくくなるという仮説を立てました。

実験方法は釣った魚と釣れなかった魚の寄生虫の感染率を調べるという方法で行われました。

釣った魚の方は、餌でイワナを釣りました。

釣れなかったイワナは電気ショッカーで捕獲したものです。

母数は312匹です。

釣れた魚の数と感染率は、釣れた魚の数124匹のうち37.1パーセントが寄生されていました、釣れなかった魚の方は188匹で34%でした。

大した違いはないので、寄生虫の感染率と釣れるか釣れないかには関係がないということになりそうです。

ところが、この学生さんは、体長に対して体重が重いか、軽いかという肥満度でデータを分析してみました。

すると肥満度が低い魚は仮説どおり、寄生虫に感染した方が釣られにくく、肥満度が高い方は逆に寄生虫に感染した方が釣られやすいということがわかりました。

問題は、肥満度が高いと、なぜ寄生虫に感染している方が釣られやすいのかの理由です。

この学生さんの出した答えは、太っていて体力があるうちは、寄生されて減った体重の分を取り戻そうと積極的に餌を食べるようになるのではないかというものです。

確かに人間で考えても一度太ると、少し体重が減っても、その分を食べて元通りになってしまうか、かえってリバウンドしてしまう傾向があります。

この分析なかなか鋭いのではないかと思います。