雨が多い街だね-アパレル販売員からの転職者が書くブログ-

元アパレル販売員で今は転職してアパレル業界の中の人をやっている著者がファッションと関係することや関係しないことを書くブログです。

アパレル販売員という職業の終わり。コロナウイルスで倒産・閉店ラッシュが始まる業界事情

当サイトの人気記事

 

コロナウイルスで変わっていく私たちの生活とアパレル販売員の仕事

コロナウイルスで閑散とする渋谷

元アパレル販売員の目線から業界の話や転職情報などをお伝えしている当ブログですが、私自身、仕事やプライベートが忙しく、めっきり更新をサボっていました。確認したら2年近くほぼ何も書いてなかった!

今回は、どうしても書きたいことができたので久しぶりにブログの作成画面を開いたのでした。

まずは、コロナウイルスの被害により亡くなられた全世界のみなさんに謹んでお悔みを申し上げますとともに、今もなお困難な状況にいる皆さんの一刻も早い回復を、心より祈っております。 

▼    ▼    ▼

これを書いている現在は2020年4月19日。コロナウイルスの被害拡大にともない、政府から緊急事態宣言が出されてから2週間弱が過ぎました。

(2020.05.07追記)

緊急事態宣言の延長が決定し、飲食業界などでも閉店を決めるお店が激増しているとニュースなどでも報じられています。依然、アパレル販売員にとっても厳しい状況が続くことが予測されます。


街を埋め尽くしていた外国人観光客はゼロになり、宣言の対象地域は全都道府県に拡大され、「#STAYHOME」が声高に叫ばれる昨今ですが、どこにいっても街はひっそりとしていますね。

行動変容という言葉をよく聞くようになりましたが、もともと衛生意識・防疫意識がそこまで高くない私(笑)ですら、ここ1ヶ月ほどは極力、家族以外の人と会わず、電車にも乗らず、テレワークを徹底。といった生活をしています。様々な不安やストレスを抱えながらも、子供の顔を見れば、今私たちの行動でこの子たちを守らないといけないのだと気を引き締めている次第です。


最近はZOOMなどを使ってオンライン飲み会をするのが流行っていますが、私がかつて勤めていた某SPAアパレルブランドの元同僚とZOOM飲みしてたわけです。で、そこで、イヤな話を聞いちゃいました。というか、アパレル業界に対して薄々そうなるとは思ってたことの確認になってしまいました。

 

 

コロナの影響で次々と閉店される店舗。倒産していくアパレルブランド

元同僚との飲み会があった翌日の私のツイートがコレ。


これは、アパレル業界人が中心の当ブログの読者はもちろん、同世代の友人に聞けば男女問わず、大半は知ってるような超有名ブランドの話です。

ここ数年ずっと、アパレルが不況と言われてる中でも、なんとか持ち堪えて、まだしばらく戦っていける可能性があった数少ないアパレルブランドのうちのひとつです。アパレル業界全体が、販売員の正社員を減らして派遣スタッフ中心になる中でも、しっかりと正社員採用や、アルバイト・準社員からの社内登用で組織を作ってきたブランドの話です。

え?じゃあもともと資金力のない中小アパレルブランドはどうなるの?

そう思って「コロナウイルスの影響で破産や倒産したアパレルブランド」について調べました。さすがに、現時点ではまだないだろうと思ったら、マジェスティックレゴンやルクールブランなどで有名なシティーヒルが民事再生法を申請していました。しかも3月中旬の時点で!

www.wwdjapan.com

 

店舗数は会社全体で直営107店、フランチャイズ30店、ECサイト35店。

シティーヒルのブランドって、ファッション感度や価格帯的には大手セレクトショップに劣るにせよ、イオンモールとかには絶対に入ってるような有名ブランドばかりですよね。この規模のブランド・企業でも一瞬で潰れるんです。

あくまで民事再生法申請なので、まだ今すぐにブランドがなくなるわけではないですが、勤務しているアパレル販売員が、今まで通りの人員と待遇でこれからも働ける、と考える方が無理があるでしょう。コロナの影響が本格的に出て1ヶ月で、この規模の会社が潰れるというのが現実です。

  

オンワード樫山と三陽商会はコロナ後、リアル店舗を早々に捨てた

続いて国内アパレルメーカーの最大手2社、オンワード樫山と三陽商会が決算の際に発表した、店舗閉鎖に関する大きなニュースがありました。

 

これ、ニュースで字面だけ見ると「お店を閉じるんだ」としか思わないですけど、その分、店舗数の数倍の販売員が職を失います。アパレル業界的には学生が就職したい企業ランキングで常に上位にくるオンワードや三陽商会でこれです。

保元社長は「リアル店舗の売り上げは長期低迷する。それをカバーするため、デジタルシフトを3倍速で進めていく必要がある」と強調する。
(中略)
「売上高の半分以上をECで稼ぐ、企画・生産機能を持った“EC企業”というくらいの思いでデジタルトランスフォーメーションを強力に進める」。

業界のリーディングカンパニーの決断は、影響力が大きく、これからは多くのアパレルブランドがEC中心にシフトし、アパレル販売員が入り込む余地は狭くなっていきそうですね。

 

コロナの状況にあわせて続報を後日追記しました

この記事を書いた数日後にさらにイヤな続報です。2020年4月のコロナを原因とする破綻は50社超。

業種別のトップ3は、宿泊業(14社)、飲食店(9社)、アパレル(8社)の順です。アパレルは、あれだけヤバイヤバイとテレビでもネットでも言われてる飲食とほぼ同じペースで破綻してます。しかも、分母としてはアパレル企業よりも飲食店の方が圧倒的に多いので、倒産率としてはアパレルの方がずっと上です。
www.google.com

 

ブルックスブラザーズとJクルーもコロナで終了…

日本よりも早く、大きくコロナウイルスの被害が出ているアメリカからは、二つの老舗ブランドについてのニュースが飛び込んできました。

老舗ゆえのブランディングなのか、EC化を積極的に進めていなかったブランドなので、(残念ですが)納得の結果かもしれませんね。

 

www.bloomberg.co.jp

www.nikkei.com

 

 

アパレル販売員の人口はコロナ後に激減確実。今すぐ転職活動を

コロナウイルスとアパレル販売員

アパレル販売員という仕事に対する筆者のスタンスは、ブログを定期的に書いていた以前までは「アパレルで本気でキャリアアップしたい人は全力で応援。惰性で続けてて毎日楽しくないなら自分と同じように転職を薦める」という感じでした。しかし、コロナショックでアパレル販売員(接客業全般)という仕事の脆弱さがあらわになり、今は完全に考えが変わっています。

それは「どれだけやりがいがあろうが夢があろうが、今すぐに!絶対に!アパレル販売員を辞めて転職した方がいい!!」という考えです。

それを伝えたくって、今回は久しぶりにブログを書こうと思ったのでした。

 

というのが、長い前置きです。

「緊急事態宣言がとけたらまた元どおりになるだろう」「2,3ヶ月後にはお客さんがいつもどおり買い物に来てくれるだろう」「今のうちに顧客のフォローやスタッフのオンライントレーニングなどのできることをやって備えよう」

と思っているアパレル販売員の読者さんが、半年・一年後に職を失わないために、かなり厳しく現実的な話を書きます。

 

現時点でのアパレルショップの状況。コロナで休業手当がでる人、出ない人

コロナウイルスで休業するアパレルショップ

まず、全国に緊急事態宣言が出された今現在の状況としては、

  • ショッピングモールや百貨店に入っているショップは館ごと休業
  • 路面店はブランドごとに対応が異なる(都市圏は休業・郊外は営業というパターンが多い)

という感じです。

お店が休み中の販売員(正社員)の待遇としては

  • 郊外の店舗へのヘルプに駆り出される
  • 有給消化扱い
  • 休業手当(全額までは大抵出ない)

のどれかが一般的になっています。

ただ、休業手当が出ればいい方で、このどれにも当てはまらない販売員の方も残念ながら存在します。たとえば、派遣でアパレル販売員をしている方は当然、お休み=無給となるため、今現在、収入ゼロの中で生活している人も多いでしょう。あるいは、正社員へのキャリアアップを目指してアルバイトや契約社員などの非正規で働いている人も、中には無給状態になっている人もいます。

そういったみなさんに関しては、イチにもニにも収入を得る術を早く獲得しましょう

 

何かがおかしい!コロナ禍でも営業を続けて販売員を犠牲にする一部のアパレルブランド

まず、今の都市部(最初に緊急事態宣言が出た7都道府県)において、ショップの営業を続け、販売員を不特定多数と接触する環境に出勤させているアパレルブランドに対しては、明確に対応を誤っていると言いたいです。はっきり言っておかしいです。

営業中のショップに、今も恐怖の中で出勤しているアパレル販売員の方は、どれだけ上司や会社から恨まれても、それで収入がゼロになっても、出勤をやめて今すぐオンラインで転職活動を始めてください。100年に一度レベルの有事に対して、従業員やその家族の命を守るという発想をいまだに持てない経営者が経営するアパレルブランドには見切りをつけましょう。

不謹慎な例えであることを承知でいいますが、仮にショップが大地震や大津波に見舞われたとき、他国からミサイルが飛んできたときにはお店を閉じるのに、なぜコロナウイルスが蔓延している状況では営業をやめないのでしょうか?ウイルスは目に見えないからでしょうか?まだ国内の死者数が他国に比べて少ないからでしょうか?

そもそもが、この外出自粛が続く状況で、少ない売上のためにショップをオープンしたところで、社会的信用を失うデメリットの方が大きいということに気づけないのであれば、経営層にトレンドを読む力が無さすぎるのではないかと思います。

 

コロナに感染するリスク、感染させるリスクを抱えながらの接客がつらすぎる…

今現在の状況では、「電車に乗るのも怖い」「混雑したスーパーに行くだけでも怖い」「オフィスに出社するのが怖い」といった気持ちをもつことは、至って普通の感覚といえます。

そこまでコロナが怖いのは、感染したときに取り返しのつかない事態になってしまう、というリスクだけではなく、自分が知らず知らずのうちに無症状患者である可能性がある、というコロナの特徴によるものではないかと思います。

  • 自分がコロナにかかるリスク
  • 自分が周囲に感染させるリスク

の、両方があるわけです。

そこへきて、今も出勤しているアパレル販売員の状況はどうか?というと、3密も3密。

  • 密閉:もともと換気が想定されていないショップ内
  • 密集:せまい敷地内に多くのスタッフやお客様
  • 密接:お客様と間近でトーク。中にはマスクをつけないお客様


接客業の中でも、フィッティングなどもあるアパレル販売員の仕事は、コロナの感染リスクがトップクラスに高い職種です。

www.jiji.com

 

怖いのはお客様との接触だけではありません。同じショップ内の同僚もそうです。一切の換気がされていないアパレルのストックの中が、普段からどれだけ不衛生な場所かは皆さんご存知でしょう。さらに、什器をみんなが素手で触り、備品を共用するアパレルショップのスタイルでは、ひとりが感染したときに濃厚接触を防ぐことは不可能に近いです。

現在テレワークが導入されている一般的な企業では、満員電車に社員を乗せないというだけではなく、オフィスに多くのスタッフが集まらないようにする、という配慮もなされています。アパレル販売員の仕事では、残念ながらテレワークができるわけもありません。

 

緊急事態宣言が解除されてもアパレルショップやSCに客足は戻らない

セールの忙しさはもう二度とこないかも

まず、そもそも緊急事態宣言がゴールデンウイーク明けに解除されるのかどうか?が、かなり怪しいです。今の国内の感染者数の伸びから考えたら、外出自粛は(呼びかけの強弱は調整されるにしても)延長する可能性が高いというのが一般的な見方でしょう。

前述の友人も言っていたのですが、今アパレルブランドでは「5月の営業再開に向けてなんとか耐えよう」というムードが強いようです。危機をみんなで乗り越えようという結束感・連帯感のようなものが生まれているようで、それはそれで素晴らしいことなのですが、一方で、本当に現実を直視できているのか?と疑問に思います。

私は、多くのアパレルブランドで、精神論に任せて部下を詰めている上司の姿を見てきましたし、私自身がその被害にあったことも何度もあります。業界全体として体育会系気質が蔓延していることは百も承知ですし、アパレルで働く人たちの熱さ自体は悪いことではありません。でも、精神論でコロナウイルスに勝てると思っている人間が経営陣やマネージャークラスのスタッフにいるのであれば、それは非科学的なカルト思想でしかありません。

 

これから1年間、売上激減でも耐えられるアパレルブランドはどこにあるのか?

5月になれば服が売れるというのは、アパレル業界から離れて第三者的に見ている私からしたら、圧倒的に甘い認識だと思います。というかブランドの上の人間も、先行きが見えない状況で「1ヶ月後には収束する」と、自分たちに自己暗示をかけようとしているのではないかとすら感じます。

仮に、今の状況で緊急事態宣言が解除されたとしても、コロナウイルスの影響自体は最低でも1年は続きます。ネットで専門家の声を調べれば、いくらでもそんな情報は出てきますし、日本よりも先にコロナが流行した他国の状況を見れば「1ヶ月でみんなが服を買いに来る」とは、夢にも思えないでしょう。

仮に。ニュースなどでもよく言われている、国からのコロナ補償がいい形で決まったとします。そして、運良く今現在の危機を脱したとしても、今後のアパレル業界にはイバラの道が待っている

インバウンドで稼いでいた多くのブランドのショップに中国・韓国のお客様が戻ることも当然ありません。なぜなら、仮に緊急事態宣言や外出自粛が解けたとしても、海外渡航が解禁されるのは、それよりもずっとずっと先だからです。楽観論でなく、現実的に考えればわかることです。 

 

消費増税・暖冬の影響で19-20AWが大きくマイナスしていたアパレル業界は、コロナ以前から経営的に崖っぷちのブランドが多かったのですが、今あなたが働いているブランドは、ここからにさらに売上の大幅な減少が1年続いても耐えられますか?

私が働いていたファストブランドであれば、普段は前年比10%もマイナスすれば上司から詰められて、アルバイトのシフトを減らして人件費を削りながら経営していたレベルです。これから1年間ずっと40%〜70%程度のマイナスが続いたときに、どうやってこれまで通りの経営ができるでしょうか?

これに「はい」と答えられる国内ブランドって、ユニクロ以外に存在しないですよね(ちなみに、アパレルでもECでの販売が中心のブランドは売上を大きくアップさせています。いま通販業界の儲かり方はとんでもないです)。

 

そもそも「店頭で服を買う」文化自体が今後なくなる可能性が高い

f:id:amemaa:20200419164414j:plain

さらに、本当に1年で影響が収束するのか?というと、それも怪しいのではないかと個人的には感じています。

アメリカ・ヨーロッパでコロナ収束の気配がまだ見えないことや、アフリカで今後、爆発的な流行が起こる懸念がある中で、仮に日本でコロナウイルスが収束しても、再流行する可能性が高いからです(集団免疫獲得の予測もありますが今のところ不確かでしょう)。

もしコロナに有効なワクチンが開発されたとしても、私たちは、今後の人生をコロナと一緒に生きていかなければいけません。それはつまりどういうことかというと、不定期にコロナウイルスが流行しては、外出自粛や緊急事態宣言やロックダウンが繰り返される世界です。大勢のカップルや家族連れが休日に街に出かけたり、セールに並んで服を買う風景がなくなる世界です(もちろん、この悲観的な考えが間違っているならなんて素晴らしいことだろうと思います)。

そんな先行きが見えない状況の中で、自分や家族の死の恐怖と常に隣り合わせになりながら、今後もアパレル販売員の仕事を続けるべきなんでしょうか?いつか転職するつもりだけど、今は行動しないのでしょうか?数ヶ月後にブランドが破産したときにするのでしょうか?

現時点で、飲食業やイベント関係などの従事者も含めて、転職活動を進めている人がいる中で「一旦様子を見る」意味ってないですよね。むしろ、今なら「このままだと生活していけないので辞めます」と言い出しやすくて、後腐れなく転職できるタイミングなのに。自宅待機の今ならめいっぱい転職活動に時間を使えるのに。

 

仮にコロナが収束しても、今後は少ない人員でフロアを回す体制に

今現在、「アルバイトや派遣は休み。正社員だけ出勤して少人数で店を回す」というスタイルをとっているアパレルブランドも多いかと思います。

ちなみに、一旦コロナの感染リスクの話を抜きにして考えたときに、今は忙しさの体感的にはどうなんでしょうか?フロアに立つ販売員の数は少ないけど、その分、客足も少ないので総じてヒマなのかな?それとも、こんな状況でも入荷検品作業とかがあって忙しいのかな?わかるひといたら教えてください。

で、かなり楽観的な仮説として、半年後に「みんなが普通にお買い物に出る」レベルまでコロナが収束し、なおかつ今働いているブランドが倒産せずに生き残れたとしましょう。そのときに、本社がアフターコロナのショップ人員をどういう風に調整するかって考えたことありますか?

まず、アパレルに限らず、企業が経費削減しないといけないときに、最初に手をつけるのは間違いなく人件費です。なので、この状況が落ち着いたときにまずはスタッフの異動や賃下げや場合によってはリストラがおこなわれます。

で、今のアパレルの状況から考えたら2パターン考えられます。

 

1.派遣やアルバイトは解雇して正社員だけを残す

これは今の人員体制を続けるパターンです。コロナの脅威がないのであれば、正社員の雇用は最低限守ろうという会社の考えは正しいわけですが、実際にその中で働くとなると、ゾッとしませんか?

客足は元どおりなのに、スタッフの数が少ないので忙しさは数倍になります。しかも、給料は上がりません(場合によっては賃下げもありえますし、ボーナスや昇給は確実にありません)。

 

2.正社員を減らして派遣やアルバイトで店を回す

今、あえてブランド側の立場にたてば「正社員を多く抱えるのはリスクが高いな」と考えているでしょう。ただでさえ、消費増税からの暖冬で服がまったく売れないところにコロナが直撃して売上はほぼゼロに。そんなときに派遣やアルバイトは会社都合で解雇できますが、正社員にはそれができません。

今後、またコロナウイルスの流行が繰り返されることがある程度予測されている状況では、柔軟に雇用もカットもできる派遣社員・アルバイトの比率を増やす、という流れが予想されます。多くのブランドで、来年度の新卒採用は見送られるか採用人数を減らすでしょうし、正社員の中途採用のハードルもかなり高くするはずです。

なぜなら、これ以上従業員を増やすことは会社の首を自ら締めることになるからです。

 

1と2のどちらの方向に舵を切るのかはブランド次第です。「正社員の雇用を守ること・販売員の接客スキル」を優先するのか「販売員のスキルは下がってもいいからとにかく人件費のリスクを抑える」ことを優先するのか。

この状況下では、目の前の困難を乗り越えることに精一杯になってしまいますが、その先に、アパレル業界や自分のブランドがどんな道を辿るのか?を、想像しなければいけないでしょう。

 

「自分は大丈夫」「コロナが収まればなんとかなる」と思ってしまう正常性バイアスに注意!

(20.05.07追記)
緊急事態宣言が延長され、アパレル販売員のみなさんにとっては、さらに状況が厳しくなりました。そんな中でも、どこかで「なんとかなるだろう」と思って、今も勤務を続けている人が多いのではないかと思います。

この「なんとかなる」ってどの程度のレベルなんでしょうか?自分がリストラされなければOK?ブランドや会社が倒産しなければOK?仮にブランドが生き残って、あなたがリストラもされなかったとします。で、そのあと何年間もブランドが生き残れる保証はあるのでしょうか?給料が下がらない保証はあるのでしょうか?

潰れなければOK、クビにならなければOKではなく、仮に瀕死の状態で生き残ったあとに、自分がどんな待遇でどんな働き方を続けていく未来になるのかを想像してみませんか?


正常性バイアスという言葉があって、これは「人は自分にとって都合の悪い情報は無視したり過小評価してしまう」という特性のことです。第三者から見れば明らかに危機的状況であるにも関わらず、本人だけがその状況を楽観視してしまう。例えば、火災報知器が鳴っているのに、「きっと誤作動だ」「自分が火事に遭遇するわけがない」という正常性バイアスによって、避難せずに被害にあう人、などが典型例として挙げられます。

今現在のアパレル販売員とコロナウイルスの騒動に関しても同じことがいえるかもしれません。「うちの会社そろそろ危ないよね」と自宅で同僚とLINEしながらも、どこかで「それでもなんとかなるだろう」と思っていませんか?

 

▼正常性バイアスの説明動画

 

アパレルブランドが倒産や閉店するとき、販売員には直前まで何も知らされない

ここからは、コロナを少し離れて。

直近で倒産したアパレルブランドというと、どこが思いつきますか?有名どころだと、外資系ファストファッションのForever21と子供服のマザウェイズでしょうか。

▼    ▼    ▼

余談ですが、Forever21については私は少し因縁がありまして。私はアパレル販売員時代に外資系SPAブランドの旗艦店で副店長をしていたのですが、全国展開のSPAやファストファッションブランドのマネージャー以上のスタッフって、競合ブランドや様々な接客業から引き抜きの連絡が頻繁にあるんです。

当時、いくつかもらったオファーの中のひとつがフォーエバーでした。私はオファーにあまり魅力を感じなかったので断りましたが、元同僚は何人かそのタイミングで転職していました。

▼    ▼    ▼

 

ブランドが倒産するときって、ショップで働くアパレル販売員にはどうやって情報が落ちてくるか知ってますか?もちろん「ブランドによってどこまで誠意ある対応をしてくれるかは違う」ということは前提ですし、上記フォーエバー21は割と早いタイミングで知らされていた、と友人からは聞いています。

が、一般的にはみなさんが想像するよりもずっとドライで、ずっと後味の悪い終わり方をします。なぜなら、ブランドが倒産するときに極限まで追い詰められた経営者や上層部は従業員のことを気にする余裕などないからです。

マザウェイズの例ですが、当時、店舗で勤務していた販売員さんのツイートが話題になりました。ちょっと長いですが引用します。

7/1朝一番に所属スタッフのグループLINEに以下の文面が送られる。 【お疲れ様です。重要なご連絡です。 ⚫⚫をもって皆様を解雇するとの連絡が会社からありました。それまでは店舗営業を続けるのでシフト通り出勤くださいとのことです。⠀】

今日までセールの予定で、忙しい土日の営業を終えたばかりでした。 その日も普通にシフトで出勤でした

給料は支払えないため国の救済処置の制度を使って、3ヶ月後以降に個人的に弁護士に依頼すれば申請可能

昨日まで普通に営業していたのに突然LINEで解雇の連絡。 今月の給料も払えない。スタッフ任せでやれる店舗だけ営業してってどんな会社だよ!!!!

残されたスタッフたちは、懸命に商品を陳列し、淡々と送られてくる閉店セールの指示通りPOPを印刷し、少ない人数で休憩もなくレジを打ち続けました。 レジでは、待たされたと怒る方、レジで商品の選別を始める人、ポイントカードが使えなくて粘る人、いろんな方がいました。ネットでは、倒産wwwみたいな書き込みをしている人や、ださいから買わなかったわ、とdisる人もいて、メンタルが削られ続けています。

明日の生活にも困るのに、明日も出勤して、なにを頑張るのでしょうか‥‥。会社の本社の番号は教えてはならないため、全ての対応は店舗の電話で受けなければならず、一日中鳴りっぱなしです。どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのでしょうか。

matome.naver.jp


恐ろしくないですか?

しかも、これは2019年の話。コロナで急激に売上が落ちて倒産・閉店する場合は、もっとバタバタとする可能性もあります。今、「5月からはショップを再開してお客さんにきてもらおう」と言っているブランドの上層部の発言は、ゴールデンウイーク明けに状況が好転せずに自粛が続いた場合はどう変化するのでしょうか?

ということで、冒頭の私の所属していたブランドの同僚から聞いた話をもう一度。

 

今、みなさんが守っている店舗や商品やブランドって、命よりも大切なのかどうかをもう一度考えましょう。普段から親身になってくれる上司に恵まれているのであれば、正直に相談すればいいじゃないですか。いつも会いにきてくれる顧客さんには、あとからでも事情をちゃんと説明すればいいじゃないですか。

これまで接客業しかやったことない人でも、今は売り手市場なので絶対に輝ける転職先が見つかります(コロナ後には職を失う人が大量に転職活動を始めるため『今ならまだ売り手市場』という注釈はつきますが)。

 

アパレルから転職してもコロナウイルスに対抗するために持っておきたい考え

f:id:amemaa:20180316045901j:plain

正社員として転職する

これまで派遣でアパレル販売員をやっていた人は、この機会に正社員で働く道を探しませんか?もちろん、派遣には派遣のメリットがありますが、今回のコロナのような有事に一番に切られるのは、立場が弱い派遣社員やアルバイトです。それは薄々わかっていながら、これまで派遣で働いていた人も多いと思います。今回、「やっぱり非正規は自分を守れないんだ」という現実が見えてしまった人も多いかもしれませんね。有給や休業手当なども正社員だから得られる制度なわけで、そのありがたみを感じずにいられない状況です。

正社員経験のない人でも、探せばいくらでも転職先はあります。このブログを書いていた当初も、いろいろな人からアパレル販売員からの転職について相談を受けましたが、みなさん転職のハードルを高く考えすぎです。探せばいくらでも働ける場所はあります。探し方だけなんです。

テレワークが導入されている会社に転職する

現在、国内ではテレワークを導入する企業が増えています。これまでの日本は先進国の中でダントツでIT化が進まないオッサン大国だったのですが、ようやくこのタイミングでテレワークやビデオ会議などが浸透してきました。政府がどれだけ声高に叫んでもなかなか進まなかった働き方改革が、コロナウイルスがきっかけで進むというのは皮肉ですが…。

例えば、営業や事務の仕事に就くとしても、会社によってテレワークが可能かどうかはまちまちなので、転職エージェントなどを通して必ず確認してください。テレワークができるメリットは、コロナウイルスから身を守れるだけではありません。例えば「風邪気味で出勤が難しい。でもどうしてもやらないといけない仕事がある」とか「どうしても子供の面倒を見ながら仕事しないといけない」などといった事情にも対応できます。

もしこのコロナショックを経て、テレワークを導入しない会社があれば、見限っていい会社と私は判断します(もちろん物理的にテレワークが無理な職種があることは重々承知しています)。アフターコロナの世界の仕事選びの基準は、テレワーク可能かどうかがとっても大きな比重を占めるようになるでしょう。

 

営業か事務かEC運営か…今のキャリアを活かした転職先を考えて

f:id:amemaa:20170907014612j:plain

このサイトをやっていて、読者さんからご相談をいただく機会が多いです。多くはアパレル販売員の方や、「彼氏(彼女)がアパレルなんです」的な方からのご相談です。

みなさん口を揃えて言われるのは、「転職を考えてるけど服を売った経験しかないから、異業種で役立つスキルがない。どうしたらいいかわからない」といったお悩みです。

まず私の考えとして、アパレル販売員は色々な職業に転職できるスキルを身につけてます。アパレル業界でどんなことをやってきたかにもよりますが、店長・副店長クラスでスタッフのマネジメントや売上の数値管理をしてきた経験があるならば、多くの職種でその経験は活かせます。マネジメント経験ありの人がほしい会社ってたくさんいますし、アパレルのようにデイリー単位でスピーディーに数字を追いかける職種って少ないので、アパレル販売員出身者は数字に強い人が多いです。 


アパレルから営業に転職

対面の接客に力を入れてきたのならば、営業職への転職も容易です。いきなり超一流メーカーの営業になるのは難しくても、まずどこか手近な会社の営業に転職して、そこから数年後に営業成績を引っ提げて大手に転職。というルートも可能でしょう。

アパレルで働いてる人は普通にやってますが、接客業の中でもアパレルってめちゃくちゃ難易度高いんですよ。なぜなら、他の商材に比べて購買意欲が低い「ふらっと来店した」お客さんが圧倒的に多いジャンルだからです。その中でバリバリ売ってた人って、売る商材が変わっても、働く場所が店舗からオフィスに変わっても、関係なく売ります。アパレル出身で営業で成功してる人ってめちゃくちゃ多いですよ。

そもそも、アパレル販売員ってみんな人当たりがいいですよね。VMD中心で接客はイマイチだった私ですら、転職先で普通にしてたら「元気ですねー」なんて言われることもしばしばです。新人時代は「挨拶の声が小さい!」ってトレーナーに怒られたものですが 笑

 

アパレルから事務への転職

また、女性が主になりますが、事務職も現実的な選択肢です。というか、女性の販売員の転職先としては一番人気ですよね。

最低限のPCスキル(word、Excel)を体得するのは独学で1ヶ月もあれば充分なので、お店が休みの今のうちに少しずつやっていけば大丈夫です。アパレルの仕事とまったく違う職種なので最初は戸惑いもあるかもしれませんが、例えばアパレル事務とか営業事務みたいな販売員向けの職種もあるので、ぜひ。

↓過去にはアパレルから事務に転職する方法について書きました。

rakka.hatenablog.jp

 

アパレルからEC運営に転職

日本中のアパレル販売員が現在、この道に進んでいます

アパレルのショップの閉店が今後進む中で、EC(通販)に力を入れるブランドが増えている昨今。「服を買う」という文化は、リアル店舗の時代を終えて、ECの時代に完全にシフトします。

Webの知識はあるけど服の知識はないというスタッフで運営しているECサイトがまだまだ多い中で、「服の売り方を知っているスタッフがほしい」と考えている通販会社はめっちゃくちゃ多いです。高待遇で迎えてもらえる可能性も高く、おすすめです。

こちらも最低限のPCスキルは必要ですが、決してハイレベルではないので、そこも含めて、一度転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか?

↓3年前に書いた記事ですが今はもっと需要が高まってるはずです

rakka.hatenablog.jp

 

転職のときは絶対に転職エージェントを使った方がいい

f:id:amemaa:20180316045918j:plain

このサイトではずっと一貫して言っていますが、転職のときはプロである転職エージェントの手を借りた方がいいです。

ただでさえ、外出することも対面での面接も難しくなっている昨今、転職先の企業との橋渡しを代わりにやってくれるというのがどれだけありがたいことか。また、たとえば「残業はぶっちゃけあるのかないのか? ボーナスはどのぐらい出るのか?」など、転職先の人事には直接聞きにくい質問にも、代わりに答えてくれます。

私はマイナビエージェントで異業種に転職しましたが、本当にぜんっぜん不満なんてなかったですけどね…。自力でやるよりもメリットが大きいです。

 

ちなみに「転職エージェントはテキトーに企業を紹介する」みたいな口コミをネット上で見ることがありますが、それは違うと思っています。

エージェント側からしたら、転職者のニーズに合わない企業を紹介したところで、すぐに辞められてしまうと、自分の首を締めるだけなんです。そんなことしても転職先企業からの信頼を損ねるだけであって「どうやって転職者も転職先も相思相愛なマッチングができるか?」に本気なはずですよ。市場原理として当たり前にそうなるはずなので。ちなみに、今はPCやスマホを使って、オンライン上でエージェントとの面談ができるようになっているようなので、その点もご安心ください。 

 

>>公式サイトでマイナビエージェントを確認する 

 

命より大切な仕事は存在しない

ということで、コロナウイルスの影響を大きく受けている今のアパレル業界、そしてアパレル販売員という仕事について今回は書きました。

今、店舗で働いているアパレル販売員のみなさんは、とても苦しい日々を送っていると思います。また、休業中の方も「本当に元どおり仕事ができるのか」と不安に思っているでしょう。そんなときは、ただ待つだけではなく自分から行動しませんか?

もともと私は「アパレルから転職してめちゃくちゃ幸せになれた」派なので、簡単に言えちゃうのかもしれませんが、今は自分や家族の命を仕事のために差し出さないといけない状況なわけで、なんというか「仕事ってそこまで大切なものだっけ?」って思うんです。

お金が不安だから今も店頭で仕事しているのなら、なおさら転職活動しましょうよ。アパレルの給料はもともと低いんだから(笑)、転職したら給料は今よりむしろ上がりますし、休日も増えます。私は実際にそうでした。

 

と、勢いのままいろいろ書いてしまいました。今読み返すと、アパレルで働くみなさんの不安を煽るようなことを書いてしまったかなと思いつつも、でもやっぱりこんなことはアパレルの内部の人は思ってても言えないと思うので、私がいうことに意味があるのかなとも思いました。

 

最後にみなさんの健康をお祈りするとともに、自分自身も外出自粛を続け、一刻も早く事態を収束できるよう努めたいと思います。未来を少しでも明るいものにできるようにがんばりましょうね。

 

当ブログの転職関連記事一覧

※コロナよりも前に書いた記事ばかりのため内容が古くなっているところがあります。具体的には「転職活動するなら・競合のアパレル販売 ・異業種の両方」と言った内容をよく書いていますが、当然、今はどこのブランドであってもアパレル販売員を続けるという選択肢はなくなりました。

rakka.hatenablog.jp

↑コロナの状況を受けて少し加筆しました。

  

rakka.hatenablog.jp