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先回、お届けした《店舗図面集/紳士服_002》展開図とその関連図はご理解頂けましたか?

今回は、その続きとして店内の各コーナーの造作図と什器図をご覧頂くことにします。

作図自体は、決して難しくありません。逆に初心者の方でも十分理解できると思います。

強いて言うならば、古さが目立ち、図面自体の完成度もかなり低い図面でもあります。

しかし、その中には現在でも十分活用出来る内容もかなりありますので。初心に返ったつもりで進めていきます。尚、各造作図と什器について、以下の指示図にマーキングをしておきます。

ピンクは造作什器。グリーンは単品什器とします。

① 背割れ造作什器

平面図左上のフィッティングルームの下に位置しする背割れ什器です。百貨店ではコーナ分けのためにこの手法を使うことがよくあります。図面自体は前述したように精度の低さを感じますね!

普通は、単品什器で仕切ってもいいのですが、やはりコーナーのイメージを考え、あえて造作什器としました。今考えればどうでもよかった思います。(笑)

什器の断面図を見れば、右側にステージらしきモノが付いていますが、これはやはり自立を考えたのですが、隣のコーナにはステージ無しとのアナウンスが入ったので、あえてステージを付けて強度を図った次第です。

システム使用でフレキシブルさを意識しました。

② コーナーに旨く納まったフィッティングルーム

平面図左奥に設営したフィッティングルーム(以後FR)の造作図です。作図はしっかり描きました。FRの作図としては基本形であって、展開面も全て描きました。

狭い店舗の場合、この事例のように店舗コーナー部に設営することは少なくなかったようです。この店舗も同様にレイアウトの時点からここと決めていました。しかし、繁忙期を考えて右隅にもう一台必要だったと思います。

③ 消防進入口を隠す建具図

上の作図は、建築に消防隊進入口があることから、建築側の鉄扉の前に設置した木製建具です。規制事項だから、仕方がありませんがここはしっかり理解することが肝心です。建具自体は防炎材を使用する程度で良いと考えます。

ここでは、アパレルショップで良く使用される俗に言う「一点掛け」を2段で設定しました。ディスプレーのためにジャケットなどを掛けることが出来ます。

仮に、「一点掛け」以外のアイデアとなると、ミラー貼りで姿見として活用する手があります。いずれにしても、百貨店などでの店舗を設計するときは、事前に現場調査は欠かせません。(何が起こるか分かりません)

④ 壁面ドレスシャツ什器

スーツ売場になくてはならないドレスシャツの壁面什器をご紹介します。 過去にもシャツ什器は多く描いてきましたが、この什器が一番シンプルで使いやすいと考えます。
 
特にこれといったデザインは施していません。
 
しかし、この場合必要ないんですね。 あくまで商品を売るのが目的ですので、什器自体は出来るだけシンプルな作りが良いのです。
 
また、ドレスシャツの場合は「色」「襟のかたち」のバリエーションが多くて大変です。 そこで考えたのがこの什器であって、什器の上部2段でバリエーションをお客様に見て頂くようにしました。
 
ネクタイなどを付けてコーディネートも楽しめます。
 
尚、下部の棚には、上部で展示された商品の色違い、サイズ違いなどを陳列する考え方です。『魅せて売る』ということが大切です。
 
注意点は、上部の「シャツディスプレー」のパネルの角度です。事例を見るともう少し立てた方が良かったかもしれません。(反省事項)

⑤ 店内に配置されたガラス棚什器

店内中央に位置する、ガラス棚什器の姿図とその詳細図ですが、ちょっと窮屈な紙面になっていて見難ささを感じます。

しかし、ひとつずつ見ていくと、しっかりとした納まりが描けています。この場合、右上に描いてあるそれぞれの部分詳細図は、別用紙に移すべきでした。

まずは、什器図として三面図を必ずキープし、詳細図に関しては空きスペースを出来るだけ利用して描いていくことが基本です。

ただ、こような描き方は多くありますので、各自の判断基準で描くように指示しています。ただ、あまり見にくいのは駄目です。

⑥ サービスカウンターの姿図と各断面図

サービスカウンターの姿図と各断面図ですが、一見、何処の売り場でも見受けられるシンプルな什器です。縮尺は別として丁寧に描かれた断面図はOKです。

このスタイルの什器のほとんどは同じ機能が多く見られるので、ここはしっかり覚えておいて欲しいと感じます。

ただ、注意すべきはこのサービスカウンターは百貨店での使用のものです。巾木にある、渡りコンセント(3P)やブレーカーなどには、気を配ってください。

⑦ ⑧ 店内に配置された什器群

シングルハンガーの姿図 ⑦

シングルハンガーの姿図というか三面図です。

このシングルハンガーラックは、このメンズショップのイメージをふまえた上でデザインしました。什器下部にデザインらしきものがうかがえますが、シンプルで使いやすさは他のそれと変わらないものでしょう。

 
後、図面にサイズなどが記されていないことに気が付きます。 チェーン店ということから、この図面はすでに出来ていて、発注時に添付する程度のものです。(マニュアル)
 
周知も理解しているため、あえて細かいことは記していません。手抜き図面のようにも見えますね。

ディスプレイ用ステージ ⑧

こちらの図面は、ショップファサードのトルソーを置くステージです。今では、こういう形でのステージも少なくなりました。余り意味がありませんね。

当時は、ちょっとした工夫だったようですが、今では邪魔もの扱いされそうです。最近はステージを使うより、床からダイレクトに置くようになっています。

ファサードの行灯サイン作図事例 ⑨

最後になりましたが、上の作図はショップの行灯サインです。店頭の柱横に配置されています。今では、時代遅れのような気がします。

私などは懐かしく感じますが、昔はこういうのもあったんだ!な〜んて感じでご覧下さい。

尚、この作図の解説もしたいのですが、長くなりそうなので、今回は割愛します。時間をいただいて詳細図編で投稿しようと考えています。

以下サイトで、ファサードの行灯サイン作図事例 ⑨ の詳細図がありますので、是非ご覧下さい。

メンズスーツショップの行灯サインの姿図と断面図

まとめ

今回の《店舗図面集/紳士服_002》は如何だったでしょうか!なんせかなり過去の図面集から引っ張り出したものですから、何枚かは新に描いた図面もあります。

本業があれば、そんなことやってる場合では無いのですが、今ではリタイアした身ですから読者さんに喜んで頂くことを一心に頑張ってます。

尚、《店舗図面集/紳士服_002》は三部作で終了となります。長々とおつきあいありがとうございました。純恵より!

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