これからの柔道整復師について
近年、TwitterなどのSNSでは様々なキャリアを積んだ柔道整復師が表舞台に出てきました。
しかし、今までの柔道整復師業界といえば閉鎖的で、自分の周りの柔道整復師のキャリアしかイメージできず、将来に絶望してしまう人が続出していました。
要は業界のネガティブなイメージだけが、柔道整復師間で、どうしても先行してしまっていました。
またニュースで不正請求などが取り上げられ、世間の風当たりも強くなり、沢山の柔道整復師達が業界から離れていきました。
その中には活躍する柔道整復師達と出会えないまま、諦めてしまった人達も沢山いたのではないでしょうか。
柔道整復師の様々なキャリアに触れ、選択肢があれば、せっかく目指した柔道整復師としての成功を諦めずに済んだのかもしれません。
しかし、今は時代が変わり、SNSなどで様々なキャリアに触れられるようになりました。
そして、時代の変化とともに活躍の場が広がった今、柔道整復師とはどういう仕事なのか再定義する時がきているのではないかと考えています。
僕はこれまでに柔道整復師、鍼灸師、理学療法士と資格を重ね、柔道整復師でありながら客観的に柔道整復師業界をみれる状況であると思っています。
そんな視点から、柔道整復師について考えてみたいと思います。
ここからは完全な妄想であり、できるできないを無視して書いています。
その点をご理解頂き、以下の文章を読んでいただければと思います。
【柔道整復師の現状】
柔道整復師とはご存知かと思いますが、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった、一部の外傷に対して、健康保険を使って処置や後療法(リハビリ)をすることが許可されている資格です。
柔道整復師は、かつて整形外科が不足していた時代に、そこを補填する役割を担っていました。
しかし、整形外科が充足した今、「整骨院は必要なのか」と考えてしまう人も少なくないのでしょうか。
たしかに、外傷の患者さんは整骨院に来なくなっているという話はよく耳にします。
一部の整骨院を除いて、第一選択は整形外科なのが一般的でしょう。
では柔道整復師は必要ないのでしょうか。
【現代の柔道整復師】
確かに外傷がみれるかどうかは、柔道整復師の主力の武器であることには変わりありません。
しかし、あえて誤解を恐れずに言うと、「外傷の処置=柔道整復師」ではなくなってきていると思います。
ここで外傷処置や保健請求ができること以外の柔道整復師の強みを挙げてみます。
まず国家資格であること。そして、3年間、解剖学・生理学を一定水準学んでいて、整形外科ベースの医療知識について学んでいること。
この答えを聞いて「なーんだ…」と思うかもしれません。
または、他の資格でもあてはまりそうなので、強みと思っていないかもしれません。
たしかに上に挙げた強みは「基礎」としての要素が強く、これだけでは武器にはなりません。
しかしこの基礎があることは間違いなく強みです。例えばまず、これらを一定水準勉強していないと、知識を拡張できません。
具体的にいうと、専門書や文献を読んで知識を得たり、医療職と共通言語で情報交換できません。
じつは、この基礎を得たいと思っている他職種は沢山います。
つまり、身体のケアに関わる職種のベースとなる資格として一定の価値があると言えます。
【柔道整復師の新たな価値】
上記のような柔道整復師の強みを考えると、
柔道整復師は様々なキャリアの基礎となる資格になり得るのではないでしょうか。
言い換えると、柔道整復師を基礎として他資格を取得することで新たな専門性を付与できるのではないかということです。
ここで仮に柔道整復師と親和性の高い各資格を挙げてみます。
例えば、医師を除くと「外傷」は柔道整復師・AT、「スポーツトレーナー」ではAT、「リハビリや福祉」ではリハ職や看護師・ケアマネージャー、「リラクゼーションやボディケア」ではあマ指師、「慢性疾患」では鍼灸師・あマ指師などが思いつきます。
※上記は各資格の一部の役割を切り取っただけですので、あくまで各職種のうち、柔道整復師との親和性が高い部分としてご理解ください。
なんだ…よくあるダブルライセンスか…と思うかもしれません。
しかし、このダブルライセンスこそが柔道整復師の多様性を生み出したきっかけでもあると思います。
【柔道整復師の資格を再定義する】
ここからは、僕自身の完全な妄想です。
こうなったらいいなという程度の内容ですので、どの立場で言うのかと思うかもしれませんが、ご笑覧下さい。
ここまで考えてきて、柔道整復師の多様性はもはや強みではないかと思っています。
そこで、柔道整復師を「各職種の基礎資格」と再定義してみてはどうでしょうか。
整形ベースの柔道整復師の強みは軸として残し、外傷に特化するのもよし、他の専門性を付加して活躍の場を広げてもよし。
それを業界が公認し、養成校のカリキュラムなどを変更して後押ししてはどうかと思うのです。
そして資格を追加でとる、あるいは一定の実績を認定することで、各種「認定柔道整復師」的な上級資格を作ってはどうでしょう。
何に特化した柔道整復師かも分かり易いですし、何より一定の専門性を保障できます。
例えば、もともと柔道がルーツですし、外傷特化というところからも、スポーツトレーナーとはとても相性がいい。これをATを取得することで、一定の実績とみなし認定柔道整復師(スポーツ)としたりなどです。
しかしここで注意したいのは、理学療法士など他職種と職域を食い合うことは避けたいということです。
なので、柔道整復師としての立場を明確にして、他職種との連携も視野に入れていく必要があるかもしれません。
【まとめ】
最後は随分勝手なことを書いてしまいましたが、これからの柔道整復師は何ができるのかを打ち出す必要があると思います。
何ができるかというと、厳しいですが他職種を上回る特化した何かがないのが現状かと思います。(外傷に特化する場合は別として)
しかし、逆にいうと他職種に並ぶほど、様々な方向に特化した人材がでてきているのも事実です。
これを業界で応援していけば、新たな柔道整復師の方向性が見えてくるかもしれません。