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米独の戦車合意が「微妙すぎる」理由──アメリカの真の狙いは2023年1月31日フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

2023-02-01 14:02:18 | 連絡

<ようやくウクライナへの供与が決まった最強戦車、実は消極的だった両国の思惑と決断の皮算用は> 
アメリカが米陸軍の主力戦車「M1エイブラムズ」をウクライナに供与する一方、ドイツは世界最強とされる自国製の「レオパルト2」戦車を提供し、欧州内のレオパルト保有国の供与も認める──。
1月25日、米独両首脳がそれぞれ、そう発表した。両国の間で合意がまとまったのは、その前日のことだ。
ドイツのオーラフ・ショルツ首相は国民の反対の声やロシアの反発を懸念し、レオパルト供与には後ろ向きだった。アメリカも主力戦車を供給するのでなければ、ドイツとしては応じられない、と。
今や折り合いはついた。
アメリカが提供するのはウクライナ軍の戦車大隊1個分を編成可能な31両。配備は数カ月先の予定で、実際には1年ほど後になる可能性がある。
時間がかかるのは、新規調達する必要があるためだ。
米陸軍はエイブラムズ約4400両を保有し、既に多くを欧州内に配置している。既存の戦車を即時供与し、新たに製造したものと後で交換することにしなかったのはなぜか。
複数の米高官に尋ねたが、明確な回答は得られなかった。
在庫から供給する場合、部分的な変更が必要になるのは確かだ(輸出版エイブラムズは米軍用と同水準のテクノロジーを装備していない)。
それでも、新規に調達するより時間がかからないだろう。 
  米国防総省やホワイトハウスの高官は従来、供与に反対していた。
彼らに言わせれば、エイブラムズは構造が複雑すぎて(故障しがちであり、特に燃料補給に際して、補給ラインへの依存度が高すぎるため)ウクライナ軍が運用・維持管理するのは難しい。
1月20日の時点でも、あるホワイトハウス関係者は筆者に、米政権が供与に踏み切ることはないと語っていた。
〇現実的な効果は未知数
反対派は意見を変えたわけではない。
米国防総省内では今も、ウクライナでの戦争に適していないと主張する向きが多い
それでもドイツにレオパルト供与を決断させるには、エイブラムズを提供しなければならないと、ジョー・バイデン米大統領は判断し、多くの側近が同意した。
形式的な措置として、ごく少数だけ提供してはどうかという外部からの提案もあった。
だがこれには、あまりに見え透いたやり方だとの異論が供与反対派からも出た。
その結果、戦況に目に見える変化をもたらすのに十分な規模、つまり戦車大隊1個分を提供する妥協案がまとまった。
とはいえ、実際にどれほど変化が生まれるかは不明だ。
主な目的は「ウクライナの長期的な防衛体制強化」だと、米政府高官の1人は発言する。
エイブラムズは「今後数カ月、数年」単位で同国の安全保障を強化するという。
 一方で、レオパルトについては、ウクライナの「短期的」防衛需要に応えると述べている。
ドイツ、および欧州内の保有国(ポーランド、スペイン、ノルウェー、フィンランドなど)は早ければ2~3週間以内に、予定された供与分の一部を配備する予定だ。 
〇アメリカの真の狙いは 
第1段階として、ドイツは14両を即座に引き渡す。
ほかの保有国と合わせた供与総数はおよそ80両で、2個戦車大隊を編成しても余る規模だ。
イギリスは1月14日、英陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」14両を提供すると明らかにしている。
昨年11月、アメリカとオランダが、ウクライナ軍の使用する戦車と類似した、チェコの所有する旧ソ連製T72戦車計90両を、改修して供与すると発表した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は感謝を表明するとともに、ロシア軍に反撃して領土を回復するには欧米製戦車300両が必要だと主張している。
だがその根拠は、はっきりしない。
ウクライナには何が、どれほど必要なのか。
戦況を追う当局者の間でも、意見は分かれる。
加えて「ウクライナ当局が公式に求めるものと、ウクライナ軍が非公式に必要だと言うもの、重要度が高いとアメリカが判断するものには隔たりがある」と、ある防衛アナリストは筆者に語った。
戦車大隊1~2個分では、大した支援とは思えないかもしれない。
だが「少数の優れた戦車によって、熟練兵士が戦闘で成し遂げられることを目にした経験から言えば、意義は大きい」と、アフガニスタン・イラク駐留米軍司令官を務めたデービッド・ペトレアスは指摘した。
歩兵隊や工兵隊、防空システム、電子戦、ドローン(無人機)と連携した場合は特にそうだ。
 エイブラムズが配備され次第、実戦で運用できるよう、ウクライナ軍は「可能な限り早期に」操縦訓練を開始すると、バイデンは供与表明演説で語った。ウクライナ軍兵士の一部が、おそらくドイツに配備済みの同戦車で訓練を行うことを示唆する発言だ。
 
演説の冒頭、軍事的義務を果たすことに「力を尽くしている」と、バイデンはドイツを評価した(ドイツのウクライナへの経済的・軍事的支援の規模は、アメリカに次ぐ2位だ)。
欧米各国間の「団結のために強力な」役割を果たしていると、ショルツ個人を称賛することも忘れなかった。
エイブラムズ供与の本当の目的はそこにある。
レオパルト提供に気が進まないショルツを決断に踏み切らせ、見返りとして公の場で盛大な賛辞を贈ることだ。
同時に、NATOや米国防総省が主催する「ウクライナ防衛コンタクトグループ」の政治的結束の維持も狙いだった。
昨年4月に第1回会議を開催したコンタクトグループは今や参加国が50カ国を超え、予想をはるかに超える形で定着している。
ドイツのレオパルト供与拒否はグループの存続を脅かしていた。
取りあえず一安心だ。
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