朝、目覚めたのは5時13分。目論見からすると1時間くらいの寝坊になります。
それでも十津川温泉の宿に泊まっているならば、出発前のひとっ風呂をしないでチェックアウトするのは大・冒涜なのであります(笑)。加えて、自前朝飯採ったり荷造の時間も有ったりで、退館したのは7時前。
この日は熊野古道小辺路のゴールとなる熊野本宮大社にはお昼前後に着く見込みで、その先は那智大社まで翌日中に到達しようと強引スケジュールを組もうとして、どこでテント貼れるか等を昨晩一生懸命ネットで情報を調べ、答えが全然見つからない…そんな事情で見事に寝過ごした訳です。
取り敢えず十津川温泉を後にして本日の行脚開始なのですが、前方の分岐点は三大美人の湯・龍神温泉に繋がる方ではなく、左折して橋を渡ることになります。
橋を渡ったところで果無山脈の雄姿が見えてきました。全く反対側だが中辺路を歩いた時の終盤に遠望し、この山並みに見惚れてしまったのがこの小辺路にも挑戦しよう、となった大きな動機なのです。
登山口はすぐ確認できました。石畳の上り階段から始まります。
20分ほど登ったところで振り返る十津川温泉街。川の濁りは相変わらず取れていません。
ズンズン進んで行くうちに見えてきた二本の門柱。いよいよ、果無集落に足を踏み入れます。
民家の間もルートになっていて、麗しき水場を発見。田植え前の準備段階の水田も有りました。
こちらも麗しき石畳風景。いやはや何とも、最高の天気でこの天空の郷っぷりを味わえた己の果報者っぷりよ!
ここが世界遺産の碑のある振り返りスポット。この集落散策のクライマックスです。ほんの短区間であったが、崇高かつ純朴なる桃源郷が味わえ、万感の思いでした。
集落を過ぎた先に見えるは果無”峠”(標高1114m)。あそこを乗り越えればこの小辺路の難所をすべてクリアする事になります。
やがて見えてきたのは観音堂という中腹スポット。
しばらくしたら「◎△$♪×¥●&%#~!」
という、何の動物の叫び声だろう? というのが聞こえてきました。
敢えて書くのもナンだが、鍵が閉まらない仮設トイレに女性が入っていて、それに気付く筈も無いであろう別の男性が扉を開けたんだか、の顛末だった様です。この当事者二人だけでなく、俺も相当ビックリさせられた。
果無峠に到着。特に何かの施設は無い、質素な処でした。
以降は下り。膝の痛みが出ない様、段差下りの箇所などは特に慎重に歩く(妙な横歩きをしたり…)が、意外と巻き道的な、傾斜の緩い道に恵まれた様で、助かったー
そうこうしてると熊野川が見えてきたではありませんか。
熊野川沿道まで下りてから、舗装道路を長々と歩くことになります。今度は登山靴の長時間着用による足裏の痛みが堪えてきます。こっちの川色も泥々な事とも相俟った残念感が有れど、ひたすら天気はサイコー(笑)。
川沿い道路から少し離れると、発心門という地名表示が… 中辺路歩きの終盤にあった王子名の一つで、だいぶゴールに近付いてるのだな、と実感。
ヤッホー、脚休めにも絶好な道の駅が視界に入ってきた。
丁度お昼時で、お手頃な弁当が売られていて有難い。冷えた みっくちゅじゅーちゅ もエネルギー補給に持って来いでした。
ひと段落して進み、三軒茶屋跡(+ 九鬼ヶ口関所の門)が見えてきて、そこを左折すると前回歩いた中辺路の道と一体化するのです。
後は以前歩いた道をそのまま進んで熊野本宮神社に入り、熊野古道・小辺路としてはゴールとなりました。
下図で三点丸印しているのは、上から高野山(起点)・熊野本宮(現在地)・那智大社(最終目標)。本宮から先は青色で四角囲いさている大雲取越・小雲取越という二か所連なる区間にして、標準コースタイムはそれぞれ休憩加味して、7H(14.5㎞)・5H35M(13km)であり、丸二日かけるのが通常の模様。
これを明日中に終わらせられないか(つまり一日半で)、と道中ずっと頭の片隅に置かれていたものです。
先述の通りで、あと何時間か歩いた先でテント張れる処が有るのか、について調べが付かないまま来ていました。
もう一つの選択肢として、この本宮で今日は一旦終わりにして近場で寝る場合(こちらもテント泊しか選択肢がないと思っていて)、数キロ歩いた川湯温泉キャンプ場にも当たりを付けていたが、当日の混雑状況がネットでも調べられ、「激混み」だと。
あれこれ判断に迷っているうちにどんどん時間が過ぎて行くし、この先も体が持つのかわからない・小辺路を完遂できただけでよう頑張ったものだ、との自己判定によって、熊野古道関連の歩きはここで終了、としてしまいました。
いやはや、お疲れさまでした(セルフ労い)。
<当日の行程>
十津川温泉・民宿やまとや6:54→7:14果無峠登山口→7:40果無集落→7:47世界遺産石碑→8:27雨水田→8:37山口茶屋跡→9:02観音堂→9:37果無峠→10:21二十丁石→10:23三十丁石→11:20八木尾→11:35三里橋→11:40道の駅熊野古道ほんぐう12:08→12:30三軒茶屋跡→13:10本宮大社
その後はー
熊野本宮大社の正面側がバス停エリアになっており、前々日の避難小屋で一緒だった人2~3名とも再開。別方向のバスに乗る人、渡良瀬温泉(川湯温泉より更に先になるがどちらもバスで行ける)のキャンプ場でテント張る算段付いた人(彼は折り目正しい若者で、明日はオフとしてのんびり過ごし、その次の日に俺が行こうとした那智大社方面の行脚を再開とすると…)とも、いずれどこかでお会い出来たらヨロシク…の挨拶でお別れです。
新宮駅にやってきたが、観光案内所で聞いても界隈の宿泊所に空きは無し。熊野川河川敷等でのテント貼りの敷居も高そうだったし、近隣駅の紀伊勝浦に移動する事にしました。
紀伊勝浦駅に着いても宿が埋まっているのは変わらずで、取り敢えずここで一晩明かし翌朝に那智大社にバスでアクセスしてみる事としました。
駅~勝浦港エリアの夕食時は主にマグロ目当てだろうが、行列が出来てる店が幾つも有りますね。
我はこの中華屋さん(店名:璃王)で店屋物を頂きます。昨日、宿の食事を取っているものの、外食の久々感が込み上げてきます。
ニラだの野菜たっぷりのラーメンです。店に近付いた時点でニンニクの香りが漂っており、スタミナ補給に持って来いでした(但し、チャーハンに味は殆ど感じず)。
受注・会計役にチャーミングなお婆さんが立ち振る舞っているほのぼの雰囲気の店でした。
結局…、2~3か所ある足湯施設に浸かりながら一晩凌ごうという事になりました。やっぱり長距離歩行後の足湯の恩恵は大重宝!
夜中になると、何処に泊まってんだか何だか…という若造ドモがギャーギャーはしゃぎがてら寄り集まって来るものなのですね。
そんな五月蠅さを回避したり、寒さを感じる時間帯になった際は、ほぼ誰も利用しないであろうフリーのトイレに座り込んで過ごしてしまいました(ここだけの話…、ン?)
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