1024:[癌予防]喫煙はガンなどの疾病リスク高め、治療を妨げる！

上グラフは令和２（２０２０）年の日本人の主な死因を多い順に示したもので、●はたばことの関連が指摘されます。

１位は男女とも「●悪性新生物（ガン）」で、男性死因の３割強、女性死因のおよそ４分の１を占めます。男性死因の２位は「●呼吸系疾患」、３位「●心疾患」、４位「●脳血管疾患」、５位「老衰」となり、女性の２位は「●心疾患」、３位「老衰」、４位「●呼吸系疾患」、５位「●脳血管疾患」でした。

死因１位のガンの部位別罹患(りかん)者数（元年）と死亡数（２年）を罹患者総数の多い順に整理した結果を表に示します。◎は、たばことの関連が確実、△は関連の可能性の高い部位です。

男性のガン罹患者の多い部位は１位「△前立腺」、２位「△大腸」、３位「◎胃」、４位「◎気管・肺」、５位「◎肝臓」です。女性は１位「△乳房」、２位「△大腸」、３位「△子宮・卵巣」、４位「◎気管・肺」、５位「◎胃」です。上位は◎や△の部位が占めています。

ガン死亡数の多い部位は男性では１位「◎気管・肺」、２位「◎胃」、３位「△大腸」、４位「◎肝臓」、５位「△前立腺」で、女性は１位「△大腸」、２位「◎気管・肺」、３位「△乳房」、４位「◎胃」、５位「△子宮・卵巣」でした。

統計年が１年違いますが、表のデータで罹患数と死亡数の比を計算してみました。第１位「胆のう・胆道80.2％」、２位「肝臓◎66.6％」、３位「◎気管・肺59.7％」、４位「◎食道41.6％」、５位「◎膀胱39.2％」となり、◎の部位が上位に並びました。

ガン治療（標準治療）には、外科手術によるガン病巣の切除、抗がん剤でガン細胞を攻撃する化学療法、Ｘ線・ガンマ線や重粒子線などを照射してガン病巣の縮小を図る放射線療法などの方法があります。

手術はガン治療だけでなく、さまざまな病気やけがの治療でも実施されます。喫煙が、そうした手術に悪影響を及ぼすことから、日本麻酔科学会は平成２７（２０１５）年に「周術期禁煙ガイドライン」を制定し、手術を受ける患者は禁煙を求められるようになってきました。周術期とは手術が決定してから入院し、手術を受け、退院して社会復帰するまでの期間をいいます。

同ガイドラインによりますと、喫煙者は術中での喀痰(かくたん)量・合併症・死亡率が高いうえ、術後にも合併症が多くなり、禁煙すると周術期合併症は減少します。手術が決定した患者の禁煙指導は必須であり、手術の４週間以上前からの禁煙が理想であるといった記述がみられます。術前の禁煙介入の仕方は一般の禁煙外来と違いはありません。ガンの化学療法や放射線療法でも、喫煙は治療を妨げるので禁煙が求められます。

喫煙者はガン、呼吸器疾患や心疾患、脳血管疾患などの罹患リスクが高いうえ、治療成績悪化のリスクも抱えています。たばこを吸わなければ、自分自身のこうした疾患の罹患リスクだけでなく、周囲の人に与える受動喫煙による健康リスクも減少できます。禁煙は自分の健康だけではなく、周囲の人々の健康への貢献でもあります。

是非とも禁煙をお勧めします。