Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

地球の静止する日

2022-06-29 | 映画(た行)






◼️「地球の静止する日/The Day The Earth Stood Still」(1951年・アメリカ)

監督=ロバート・ワイズ
主演=マイケル・レニー パトリシア・ニール ヒュー・マーロウ サム・ジャッフェ

SFクラシック映画の秀作。ワシントンに着陸した銀色の円盤。中から現れた異星人クォトゥは、地球人に伝えたいメッセージがあるので、意思決定ができるしかるべきメンバーを集めて欲しいと言う。お供のロボットのゴートは、地球の兵器を無力化するパワーを持っている。軍が発砲して怪我をしたクォトゥは、理解者を求めて街の人々に紛れ、下宿した先でシングルマザーのヘレンと息子のボビーと親交を深める。大学教授の理解と協力を得ることができそうになった矢先、彼を追う軍や政府が迫ってくる。

「ウエストサイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」など、数多くの名作映画を手がけたロバート・ワイズ監督。SF映画がメジャーでなかった時代に問題作「アンドロメダ・・・」を、そして「スタートレック」と、ちゃんとしたSF映画を撮れる人だ。

「地球の静止する日」は、それよりも遥か昔に撮られた作品だが、核兵器開発を止めず侵略を繰り返す人類に警鐘を鳴らす確固たるメッセージを打ち出している。核をチラつかせて隣国に侵攻する国家に世界が揺さぶられている2022年に観ると、そのメッセージはさらに響く。

ドンパチもなく、ゴートの活躍もほんの少しだからと物足りなく思う感想も多いとは思う。しかし、これは娯楽作のフォーマットで世界平和を訴えた作品。そこが大事なところだ。これが製作されたのは1951年。東西冷戦の対立も色濃くなり、朝鮮戦争真っ最中の時期だ。そんな時期に反核のメッセージを訴えているアメリカ映画というだけでもかなり異色作。そのメッセージが今でも通ずるって、世界が何も変わっていないという残念なことでもある。

少年との心の交流や、疑念や欲が人間関係を崩壊させるドラマ部分、ボビーがクォトゥを追いかけて正体を知るシーンの緊迫感。特撮だけでなく見どころは多々ある。ジム・キャリー主演の「マジェスティック」では、この「地球の静止する日」が登場するロマンティックなシーンあり(大好き♡)。







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2 コメント

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Unknown (まかろん)
2022-06-30 06:19:12
>地球の兵器を無力化するパワーを

いいなぁ。そんなものがほんとにあったら、と思います。
ウクライナは狂喜乱舞することでしょう…。
世界は変わらない、というかむしろ後退したような?
いえ、進歩したとおもっていたのが幻想だったのでしょうか。

そうですね、地球(の人間活動)が静止したらいいのに。一瞬だけでも。
いろんなことが、馬鹿げてると誰もが思うのに、
多くの人が関わっているからとやめられないのが
悲しいです。

またの記事を楽しみにしてますね😊
Unknown (tak)
2022-06-30 12:17:39
コメントありがとうございます😊
近頃の世界情勢を思うと、後退と感じられることが多々ありますよね。こうしたテーマのクラシック映画観ると、何にも変わってない現実を悲しく思います。
映画はメッセージを残して、その後地球人がどういう選択をするのかを示さずに終わります。それは映画を観客にも問いかけているのだと思うのです。

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