種を残すために、市民農園で昨年秋から育てていた小松菜を、先日、泣く泣く、種を取るところまで辿り着く前に片づけました。
半年で私の背を超える大木に育ってました。
たくさんの菜の花を咲かせ、鈴なりに種の子どもが入った鞘をぶら下げていました。
で、でも・・・、種を取るには、すっかり枯れないといけない。なのに、ちっとも枯れる気配は一切なし。すくすくすくすく天に向かって伸びていっていくばかり。
この小松菜の“木”が占める面積は、1m×2mくらい。その生命力に頭を下げながらも、次の夏野菜用の場所がなぁ・・・、と自分都合のことを考えていた矢先、先日の嵐で地上1メートルくらいのところで折れてしまい、ついに採種を断念しました。
一人3坪、2年で返却という制限のある市民農園という制約の中で、イノチをつなぐことの難しさを知りながらも無念でした。
ゴミ収集車にもっていってもらうためには、枝や幹(茎というには逞しすぎるので)短く折るのがルールです。
天に向かってすっくと伸びた幹の直径は3㎝くらい。手で折れる強さではなかったので、ノコギリを使いました。切ってみたら、なんと中は空洞。幾筋もの細い白い筋が幹の内壁を覆ってました。その幹から伸びる直径1.5㎝くらいの枝もほとんども空洞でした。
なのに、その枝からも次々にみずみずしい脇芽を出し、花を咲かせ、実をならせ、1本の小松菜が一坪くらいの菜の花畑を作り上げていたのです。
その根元には、3種類のテントウムシが同居していました。
幹を抜こうとしたら、土の中では名も知らない虫たちが慌ててうごめきました。
目に見えないおびただしい数の微生物たちもこの巨大な小松菜の「木」と共存していたのでしょう。
いつもいつも植物の逞しさ、賢さには感服するばかりなのですが、仕事名が「小松」なだけに、この小松菜の生きざまにはうなりっぱなしでした(笑)。
とりとめもなく日常の感動を綴ってみました。