お元気でらっしゃいますか?
すっかり涼しくなりましたよね。


本日から、
「不可解なエピソードシリーズ」を
再開しますので、皆さまどうか、
よろしくお願いします!!








世の中には、現代の科学を以てしても
解明できない、不可解な事象が起こる
ものである。

私は幼い頃から、結構な頻度で
前述の不可解な体験をしている。

本日は本シリーズの八回目。

いつもの悪い癖で、予告もなく  突然に
シリーズを、お休みしてしまった当ブログであるが、しかし、今回ばかりは、自らの浮気癖を反省しつつ、「不可解なシリーズ」の再開とさせて頂くこ
とにした。


そこで、
今回もまた例の如く――

数ある体験談のうちから、一つの経験談を、
皆様に、ご紹介させて頂こうと思う次第である。



――本日の主役は、我が娘……。
四十を間近に控える年齢となった、
我が娘にまつわる、実に不可解な
現象についてである――




二〇〇二年の秋酣に、
娘は、男の子を出産した。

それと同時に 私は。
弱冠 四十五才の若さで、否応なく、
「ばあば」と呼ばれる身となった😆

(孫には、せめて “ グランマ ” と、
エレガントな響きで 呼んでもらいたいのだが、
しかし何故か 、孫からは “ オバンバ ” と
呼ばれている🙄  )


今回の主役……。
つまり我が娘にまつわる、不可解な現象が
起ったのはその三年前、娘が 十七才になる年の
初夏のことであった。

その日の朝に、娘は。

「今日は、試験の後で寄る所がある」と言い
また、「午後四時頃には戻るよ」とも言い、
そそくさと  外出してしまった。

しかしその同日の、午後二時を回った頃。
突如として 階下から、娘の甲高い声が、
「ただいま~!  」と響いたのである。

「あら? ずいぶんと早かったのね?」

そう声を掛けたが
しかし、返事がない。 

「?」と、不審に思い玄関を覗くが、
しかし、娘の靴がない。

「気のせいかな?」
そう思った矢先に。

何処からともなく、
「エヘッエヘッ、エーン……」と……。
赤ん坊の、愚図り泣くような声が聞こえた。

しかし最初は、戸外から
聞こえてるんだろう、などと思った。

だが……。

それにしては、ヤケに近くで
泣いてる感じに聞こえるし……?

そう思い、耳を澄ましてみると、
その声はどうも、娘の部屋から
聞こえてくるらしいことが  判明した。

「!?」

思わず、不審な気持ちがつのり、
思いきって、娘の部屋のドアを
開けてみる。

そしたら、
なんと不可解なことに!

刹那に目に、
飛び込んできた光景は、

短めのボブヘアーをブラウン系に染め上げ、
淡いピンク色の  サマーセーターを着て、
かなり  ふくよかな体型となった娘が、

白地に、青いラインの入ったベビー服を
着て、愚図り泣きする赤ん坊を抱っこして
いる姿だったのだ!

その光景を、私は目の当たりし、

「ちょ……ちょっと……」と、
かすれた声で叫んだきり、言葉を失い。

しかしどうにか、気を取り直し、
改めて、その方向を見てみたのだが、
しかし……。

なんと部屋の中には、誰も居ないのだ!

確実にこの目で  目撃したはずの、
娘と、そして 赤ん坊もろとも、 

まるで、掻き消したかの如くに
居なくなって しまったのである。

……私は……
あまりのショックに腰を抜かし、
思わず、立ち竦んでしまった……。

が、しかし……。

……先ほど見た娘は、朝、出掛ける時の娘より、
ほんの少しだけ、大人びた感じだった……。

……それにましてや、半日以内で
あんなにまで太ることなど、
如何なる暴挙に出ようが、不可能な話だ……。

いや……多分あれは、幻だったのだ。
恐らくは、昨今の睡眠不足が祟って、
幻覚を見たのに違いない……。

その時は必死で
そう思い込もうとした。
が……その後に。

午後四時を大分回った頃に、
帰宅した娘の顔を見た途端、

やはり、打ち明けたい衝動を
押さえきれなくなり遂には、
一部始終を、話して聞かせたのだが、

しかし娘は――。

「また、例のタイムスリップ説?
またいつもの、
世にも奇妙な物語的なヤツね笑
おかーさん、例のビョーキが再発
しちゃったんだ。。 」

とかなんとか。

辺りにキンキンと響くような、
真っ黄色な声で 笑い転げ、
盛んに  ウケまくっていたようだが。

しかし、こんなにも露骨な言い方で、
頭がイッちゃってる人扱い された所が、
唯一、引っ掛かる点ではあるのだが……😒


ともかくも、年月は流れ。
その日より二年後に娘は結婚し、
翌年には、男の子を出産した。


ある日のこと、拠ん所ない理由で、
娘が孫を、私に預けることとなった。

嬉しいことに、孫は。
ずいぶんと 私に懐き、

うどんやら、軟弱野菜を炊き合わせた 
手作り離乳食も、「うーうー」と
可愛い声を挙げつつ、大きな口を開いて、
美味しそうに パクパクと食べたりもした。

生まれて初めて経験した、
筆舌に尽くしがたいほどの、

孫を愛しむことの喜びと感激の、
まさに、夢のような日々は、

驚くほどに 速い速度で過ぎて行き、
孫が来てから、半月あまりも経った頃。

「午後には 息子を引き取りに行く」と
娘から連絡が入り、そして同日、
午後二時を  まわった頃。

到着した娘の甲高い声が  階下から、
「ただいま~」と、響いたのである。

「あら? ずいぶんと早かったのね?」

咄嗟に 応じた私は、
階段を上り詰めた娘を見て、
思わず、ドキッとしてしまった。

なんと、娘は……!

産後太りの 大分ふくよかになった体に、
淡いピンク色の サマーセーターを着て、

多分、
美容院にでも行ってきた帰りなのだろう。
肩の下辺りまで伸びた髪を、短めのボブにカットし、黒褐色だった髪は、ブラウン系に染め上げて、かなりお洒落な姿に変貌していたのだ。

しかも両手には、白地に青いラインの
入ったベビー服を抱えていたのである……!

「なんで? あの日と同じ……!?」

思わず、そう呟いてしまい
すると娘が、その様を目にするなり、

「あー、例のタイムスリップ説? 
世にも奇妙な物語的なヤツね笑
おかーさん、例のビョーキが再発したんだ。。」

とかなんとか、茶化してくるので、
「前に一度、聞いたことのあるような
セリフだな?」 などと思いつつも、

こちらもついつい、いつものノリで、
ギャグの混じった弁明で、
返そうと言う気になってしまい、

透かさず室内を見たのだが、その結果、
更に腰を抜かす羽目に、陥ってしまった
のである。


なんと、
あの日と同じ光景が……。


部屋の中を見た途端、
あたかも、電光石火の如く
目に飛び込んできた光景は――

三年前の、あの日に見た光景と、
まるで 同一の光景――

娘が、白地に青いラインの入った、
涼しげなベビー服に 着替えた孫を
抱っこしていて、しかも孫が、
「エヘッエヘッ、エーン……」と
愚図り泣きをしている、
例の光景だったのだから……。


……それゆえ私は
「ちょ……ちょっと……」と……。


たった一言、そう呟いたきり、
後は、その場に 立ち竦んでしまい、

そして その、
私自らの  言動さえもが、

あの三年前の、
再現シーンそのものとして、
実現してしまっていたと言う
ミステリーである。




最後までお読み頂き、
心から感謝申し上げます。