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先発投手の立て直しが急務 今永に求められるエースの働き

ベイスターズは2021年、開幕から6連敗。4月に10連敗も喫して早々に借金17を背負った。その重荷に最後まで苦しめられ、最下位に終わった。外国人選手の来日遅れが大きな原因ではあるが、前半戦の先発投手陣の崩壊による影響も少なくなかった。2022年は、ケガで離脱していた今永、東に加えてロメロがシーズン当初からの活躍を期待されるが、先発の立て直しは急務だ。

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ベイスターズは今永のチーム

2016年に球団初のCS進出。そして2017年はCSを勝ち上がり、日本シリーズへ進出した。キャプテン筒香を中心としたチームで2019年には優勝を争い2位に食い込んだ。ベイスターズは筒香のチームと言われていた。実際、筒香がMLBに移籍した後の2020年は4位に後退し、2021年は最下位に沈んだ。

だが、個人的には今永のチームだと思っていて、ベイスターズの躍進は今永がいたからこそだと思っている。三浦という長きに渡って先発として活躍した投手はいるものの、1998年の優勝以降は先発投手の柱が不在だった。

2001年以降の2桁勝利は、三浦を除くと小宮山(2001年)、吉見(2002年)、土肥(2005年)、門倉(2005、2006年)、寺原(2007年)、清水(2010年)、久保(2014年)、井納(2014年)となる。生え抜きは吉見と井納だけで、しかも1回ずつしかない。

そんな中、大学ナンバーワン左腕の今永を一本釣りで獲得。ケガの懸念から他球団が指名を回避したが、そうでなければ競合必至だった。今永は開幕から4連敗と苦しんだが、最終的には8勝9敗、山口がその年に11勝を挙げ、チームは史上初のCS進出となった。そして、山崎から続く大卒ルーキーの活躍も濵口と東がそれぞれ10勝、11勝を挙げて続いた。

年度チーム成績今永の成績備考
20163位 69-71-03 .49322試8勝9敗 防2.93
20173位 73-65-05 .52924試11勝7敗 防2.98
20184位 67-74-02 .47523試4勝11敗 防6.80
20192位 71-69-03 .50725試13勝7敗 防2.91
20204位 56-58-06 .4919試5勝3敗 防3.238/15に離脱
20216位 54-73-16 .42519試5勝5敗 防3.085/23に復帰
チームと今永の成績

チームと今永の成績はリンクしている。今永が入団しローテーションを守った2016年にCS進出、初の2桁勝利を挙げた2017年は貯金8をマークし、日本シリーズにも進出した。2018年は今永の不振とともにチームもBクラスに転落した。そして、2019年はエースとして13勝を挙げて最多勝を争い、チームの優勝争いに大きく貢献し、2位に押し上げた。

2020年も今永が最後の先発となった8月15日時点では25勝22敗2分の2位、2021年も今永が初登板となった5月23日以降は、42勝44敗10分と5割近い成績を残している。ハマスタ最終戦で3回5失点と崩れて防御率が3.08となったが、前の試合までは2.77と彼らしい数字を残していた。

今永だけで勝てるわけではないが、今永という先発の柱がいると、投手陣全体に相乗効果をもたらし、安定する。「野球は投手」とも言われるように、試合の流れを決める先発投手は重要な役割を占める。筒香がキャプテンとしてチームをまとめ、チームをCSへ導いたのは間違いないことだが、このチームの浮沈の鍵を握るのは今永だと思う。

そして、今永の能力を高く評価しているからこそ言わせてもらえば、ここまでの6シーズンは全然物足りない。前述したように、もともと肩の故障持ちでの入団であり、2020年には左肩のクリーニング手術という大きな故障もあったのは確かだが、2019年のような成績をコンスタントに残せるだけの投手だと思っている。

優勝チームには大きく貯金をもたらす先発投手が不可欠で、2019年のプラス6というのは最低ラインになって来る。門倉がFAを行使した時の話ではないが、「10勝しても10敗する投手」だけでは貯金はできない。もちろん、ローテーションの4番手、5番手といったところにそういう投手は必要だが、エースと呼ばれる存在は勝率で言えば7割近くを求めたい。

今永はそれができる投手だと思っている。あと少し、ここぞという場面での勝負強さが欲しい。

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2桁勝利をマークする先発が必要

2021年に優勝したヤクルトは、9勝を挙げた小川と奥川が最高で2桁勝利の投手はいない。2年連続最下位からの優勝というのもそうだが、これもなかなか珍しいこと。奥川を中10日以上空けて回したことや、故障などにより一部の投手が通年でローテーションを守れていないこともあるが、8人前後の先発投手をうまくやりくりし、今野、清水、マクガフを中心とした強力なリリーフ陣に繋いで勝利を掴んだ。

それでも、やはり優勝を目指して行くには2桁勝利を挙げられる先発を複数、確立する必要があるだろう。ベイスターズは2021年、先発の最多勝利が6勝の大貫という惨状だった。2011年に高崎と三浦が5勝ということがあったが、それに次ぐ先発投手陣の崩壊だった。

今永が肩の手術で出遅れたというのはあったにせよ、2020年に2桁勝利を挙げた大貫が春先に不振に陥り、開幕投手の濵口も7月に脇腹を痛め、最後までローテーションを守れないなど、規定投球回数に達した投手がゼロというのが示す通り、通年で働ける投手がいなかった。

2021年の開幕ローテーションは、濵口、京山、平良、大貫、上茶谷、入江でスタートしたが、平良が早々に離脱してトミージョン手術に至った。代わって阪口が入ったが、上茶谷、入江は1勝もできずに離脱。坂本、中川、ピープルズが加わって来てもなかなか安定しなかった。

新外国人投手のロメロは、来日後に急ピッチで調整しゴールデンウィーク明けに初先発を果たしたが、3試合で未勝利のまま再調整。交流戦前に今永が復帰したものの、6月になってもローテーションが安定しなかった。球団はロッテとのトレードで有吉を獲得し、先発投手の補強を図った。

7月になると有吉が移籍後初登板、再調整していた大貫とロメロが戻り、交流戦の最後に初勝利を挙げた今永と駒が揃い始めた。後半戦は今永、大貫に加えてロメロが安定した投球を見せて軸になった。しかし、濵口がケガで離脱し、有吉もオリンピックによる中断期間での負傷が響いて復帰できず。支配下登録された宮國がスターナイトの読売戦で勝利する活躍はあったが、最後までローテーションは安定しなかった。

下記の表は、先発投手別のチーム成績。自身に勝利は付かなくとも、ゲームを作ってチームの勝利に結び付くことが重要だが、ここでも2桁の勝利をもたらした先発がいなかった。

投手勝率打率防御率平得QSHQS
濵口17692.400.2513.993.492
京山154110.267.2574.783.952
平良21011.000.2621.503.000
大貫218121.400.2534.224.0103
入江4040.000.2055.292.000
上茶谷7151.167.2646.494.021
阪口8341.429.2843.343.310
坂本16871.533.2574.664.141
中川5212.667.2834.506.410
ピープルズ7331.500.3164.655.021
ロメロ14842.667.2502.634.173
今永19784.467.2593.803.9147
有吉1010.000.1673.381.010
宮國3210.667.2805.335.700
石田1010.000.1884.002.000
3120.333.1802.521.722
143547316.425.2584.153.95822

先発登板した日に最もチームにプラスをもたらしたのがロメロだった。それでも最多がプラス4というのは寂しい。開幕投手を務めた濵口は、チームの平均得点に対し、先発した試合では3.4点と下回っている。序盤で失点してしまうことが多い点も影響しているとは思うが、援護もあまりなかったと言える。

19試合先発のうち14試合でQSをマークした今永は、さすがの安定感。そのうち半分で7回自責点2以下のHQSをマークしていながら、チームとしては7勝に終わってしまっているのは大きな課題だろう。肝心な時に1点を取ることができなかったし、勝ち切れない試合が多かった。

開幕ローテーションに入った京山、入江、上茶谷でマイナス15というのが、今季序盤の先発陣の崩壊を象徴している。中川自身はプロ初勝利はならなかったが、先発した5試合で一度しか負けておらず、平均得点も6.4点と際立って高いのが印象的。と言っても5回を投げたのは一度だけで、先発投手として貢献はできておらず、2022年は救援に回ることが予想される。

貯金8をマークした2017年は、ウィーランドが+13 (16-3)、今永が+2 (13-11)、濵口が+1 (11-10)で貢献。2位となった2019年も今永が+5(15-10)、上茶谷が+2 (12-10)と貢献している。ウィーランドほどは難しいにしても、2桁の勝利を生み出しプラスをもたらす先発投手が、上位進出には不可欠だろう。

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中6日の6人ローテなら長いイニングを

下記の表は、2021年ベイスターズの月別の投球回数、防御率、それに対する先発と救援の内訳、さらには先発の1試合当たりの平均投球回数と総イニングに占める先発の占有率を計算したもの。

投球回防御率先発回先発率救援回救援率先発平均先発占有率
35435.65245.25196.164.855.8%
4262264.70124.15.36101.23.904.855.0%
5221934.6299.15.3593.23.844.551.5%
6221904.59104.25.4285.13.594.855.1%
71195.22.9260.22.52353.605.563.4%
8141233.8877.23.5945.14.375.563.1%
924211.23.78138.23.38734.565.865.5%
10191663.36110.13.8355.22.435.866.5%

3月は石田の不振もあって、救援も数字が悪いが、先発に関しては6月まで5点台半ばの防御率が続いていた。平均投球回数も5回を割っていた。4月は平良が離脱し、入江と上茶谷が勝てずにファーム落ち。代わって阪口と坂本が奮闘したが長いイニングは投げられなかった。

5月は坂本、阪口が相次いでケガで離脱し、ピープルズとロメロが上がって来たが、ロメロは結果を出せず。大貫が大不振に陥りファームで再調整となり、先発がさらに苦しくなった。中川を短いイニングで交代させながら先発として使った時期もあり、平均投球回数を下げる結果になった。

6月に今永が復帰して軸ができ始め、再調整していた大貫とロメロが戻った7月は、中断前の11試合だけではあるが、先発投手は非常に安定して来た。ここから先は投球回数も平均で5.5回、イニングに対する先発投手の占有率も60%を超えて、平時に戻った。

先発投手は、シーズン当初の崩壊状態から時間を追うごとに良くなっている。逆に8月以降はクローザーを中心に救援が苦しんで勝ち切れない試合があり、最終的には借金を減らすことができなかった。7月以降の先発投手陣を支えたのは、防御率1.92をマークしたロメロ。9月20日には完封勝利を挙げるなど、10試合中7試合でQSをマークし、HQSも3試合あった。

そして、今永が13試合で2.63、大貫が11試合で2.40と左右の両輪として活躍した。打線、救援も含めて勝利に繋げることができないことも多かったが、先発投手の構成としては3本柱ができていた。ここに10試合で3.76の京山が加わって来ればというところだったが、好不調に波が大きかった。最終盤に復帰した東も援護がなかったが、2.29と復活を予感させる内容だった。

10月にはそれらの要素が数字に表れ、平均で5.8回、占有率も66.5%となった。中6日の6人でローテーションを回すのであれば、少なくともこれくらいは欲しいところ。

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2022年の先発争い

2021年の後半戦を支えた3枚、今永、大貫、ロメロが中心となって来るだろう。そこへ最終盤に復帰した東が、年間を通してローテーションを守ることが期待される。2021年に開幕投手を務め、ケガで離脱した濵口も入って来るだろう。

今永
大貫
ロメロ
東
濵口
----
京山
上茶谷
阪口
有吉
宮國
坂本
石田
----
徳山
三浦
小園

先発投手で5枚が計算できると非常に楽になって来る。ただ、ここ数年も駒は揃ったと言われながら、開幕してみれば壊滅しているような状態なので、6枚目を争う投手たちの突き上げが非常に重要。

2021年は随所にポテンシャルを感じさせながらも、好不調の波が大きかった京山が、どこまで成長できるか。最終盤に何とか1勝を挙げたが、不振の1年となった上茶谷は、ケガのリスクを抱えながらも本来の投球フォームに戻すことを決意したが、ローテーションに食い込めるか。右肘のクリーニング手術を受けた阪口は、無理に開幕に合わせる必要はないが、待望のプロ初勝利を挙げ、さらに飛躍を遂げたいシーズンになる。

有吉、宮國の移籍組も経験は十分なだけに、先発6番手の座を狙う。左腕の坂本も3年目となるので、安定感を身につけて年間を通した活躍を見せたいところだろう。石田は先発なのか、救援なのかはっきりしない状況が続いているが、年齢的にもどちらかで腰を据えて勝負したい。

これらの投手たちに、大卒ルーキーの二人がどこまで割って入るか。小園はもちろん良ければ先発で使いたいが、まだ見てもいないのでどちらとも言うことはできない。この3人はキャンプでのお楽しみということで。

平良がいないのは痛いが、昨年よりもさらにローテーションを争う投手の駒が増えているし、レベルも一段上がったかなという印象。中川、入江あたりはリリーフで戦力になってくれたらと期待している。

昨年のヤクルトという特例はあるが、やはり先発投手が安定することが勝率を上げる一番の要素となる。できれば先発投手自身が2桁をマークして欲しいが、少なくとも先発した試合でチームが2桁勝利となる先発投手が3人は欲しい。もちろん、これらの投手で貯金を作ることが求められる。ホームランは打たなくていいから、ロメロがウィーランドくらいの無双をしてくれないかな。

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