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「魂の退社」 稲垣恵えみ子

2021-02-28 | 読書

以前、ときたまテレビでも見ていた朝日新聞論説委員の著者が50歳を期に退社するに至った顛末。

勉強していい学校へ入り、大企業に就職して仕事に頑張る。その仕事の中で、この生き方、なんか違うと思う小さな違和感が次第に大きくなり、高松総局へ転勤になったころから一度、この人生を下りたいと思うようになる。

きっかけは高松での暮らし。香川県の人はうどん食べて無駄遣いせず、世帯当たり貯蓄高は2008年の統計で全国一。都会のように遊ぶところもないので山歩きするうち、歩き遍路の老人と出会う。讃岐は88所の最後の国、札所の寺院は涅槃の道場と呼ばれている。苦労して歩いて来て最後に澄み切った笑顔になる。物を持つのが幸せではなく、捨てていくのが幸せでいないかと、啓示を受ける。

それから何年もかけて決心を固め、50歳を期に退職する。潔ぎいいなあと思った。高給取りから無職になるのである。人生のリセット。

その後はどこへも属さず、ものも必要最小限しか持たない暮らしを実践し、その立場からいろいろと発信している。著作もいくつか。

アマゾンのレビューでは、一生困らないだけのお金がたまったので無職でも安心、好きな暮らしができる・・・と批判的な意見もあったけど、その立場であえて退職するのが面白いと思った。

その後の暮らし方の本も読んでみたいものです。

大新聞の社員って、恵まれているんだなあとこの本でしたのは新たな発見。服買いまくり。パソコンも携帯も会社が与えてくれて設定もしてくれる。退職するまでしたことなかったそうで。

この私、誰もしてくれないのでネットでテキトーにパソコン買って自分で設定。昔よりは簡単になったけど、年とともに億劫になる。いいなあ、大企業。

それと笑えたのは香川県ではうどん一杯が基軸通貨。ランチで千円出すならうどんが何杯食べられると計算する。と著者はいう。確かに。私にもそういうところがあるかも。

香川県の人はしっかりお金貯めているけれど、家と車はよその土地より贅沢しているかも。家は土地が都会に比べて安いので、その分お金かけられるし、電車バスはそう走ってないので、高校卒業したらほぼ全員車に乗るのでは。一家に一台ではなく、一人に車一台。私の実家の周りではそうです。だから物を持たないというのでもないのですが。冠婚葬祭は昔は派手で、法事もきちんと盛大にしていたけれど、今はそれほどではない。

でもやはり私が感じていたように、余裕があるのは確かですね。あくせくしない暮らし方に、著者は感化されたのでしょう。

この中では電気代かけないために夜も電気つけない。遠くの明かりで目が慣れるとか冷蔵庫持たないとか。面白かった。お金がなくてできないのと、お金があっても節約するのは大違いだけど、みんながこの暮らし方していたら原発も要らないのでは。一つの問題提起。

余り批判せずに、なるほど、簡単に暮らそうと私は教えてもらいました。

うどん食べて、山を歩いて、お金は残して、そこで満足できる。そういう境地に早くなりたいものです。


耳は左側だけ、一時間に一度くらいずずずずーと小さな音がする。初めは金曜日だったかな。土曜日日曜日と少しずつ良くなったけど、明日午後から耳鼻科受診の予定。心理的ストレスと不規則な睡眠も原因かな。

メンタルは強いつもりだったけど、年取るといろいろなことがあるようで。