「天高く馬肥ゆる秋」とはよく聞く言葉。
空が澄み渡り高く見える秋ごろ、馬たちも過ごしやすく食欲も増してたくましく育つ、といった秋の快適な気候が表現されているそうだが、もともとは「収穫の秋には馬が育ち、その馬で匈奴(きょうど)=異民族が攻めてくるぞ」(中国古典)と、嫌なことが起こるから警告の意味で使われていた、とのこと。
とはいえ、秋のイメージは戦いや収奪には相応しくなく、やはり「芸術の秋」に勝るものはないですね。
我が家のオーデイオと音楽もいよいよ佳境へと入って先日の「初秋のオーディオ試聴会」の続きです。
CECのCDトラポの試聴が済んで、次はお目当てのオーディオ仲間の「Y」さんが持参されたソウルノートの「C1」の試聴に入った。
「(お値段の割には)なかなかいいじゃないですか」と、第一声を上げたが、単独で聴くと違和感は無いのだがCECを聴いた後だとちょっと考えさせられる。
「やや音が軽くてどうも上滑りの傾向がありますね」と率直に申し上げた。少なくとも我が家では「忖度」は御法度なんだから(笑)。
「・・・」、Yさんも釈然としない面持ちで首を傾げておられる。
そこで、次なる手を繰り出された。「このプレイヤーはDACを内蔵していますのでそれで聴いてみましょう」とのご提案。
「いいですよ~」と、応じて「C1」からダイレクトにプリアンプにケーブル(LAN)を接続して聴き直した。
ちなみにソールノートはアップサンプリングを行わない主義だそうで通常の「44.1KHz」のままである。たしかに、それも一見識ですね。
「こちらの方が音がずいぶんとこなれた感じで自然ですよ」と、正直に申し上げたが「Y」さんの愁眉は終始開かれないままだった。
どうやらCECのCDトラポ「TL3 3.0」の堅城は揺るがなかったみたいで・・、幸か不幸か(笑)。
テストを終了し改めてCECに戻して試聴開始。丁度いい機会とばかり真空管の「球転がし」をやってみた。
今回登場させたのは「2A3シングル」アンプで、出力管は「VISSEAUX」(フランス:刻印)。
余談になるが整流管には「5X4G」を使っているが、ブランドがカナダの「ロジャース」とある。
カナダにしてはアメリカっぽい名前だなと思っていたところ、1か月ほど前のMLB「エンゼルス VS ブルージェイズ」戦が行われたのがカナダの「ロジャース・センター」(ブルージェイズの本拠地)。
あれっ、カナダでは「ロジャース」とはポピュラーな名前なのかとネットでググってみたら何と「大手の通信会社」だった。道理で~。
それはさておき、このアンプの前段管はたびたび記したように「6DE7」(テレビ球)である。初段とドライバーの機能を両方併せ持った省スペース・省エネ機能の優れ球である。
手持ちに3種類あるのでテストしてみた。
左から「NEC」「レイセオン」「RCA」。このうちRCAはつい最近ネットで購入したばかり。
この日はずっと「レイセオン」で聴いていたのだが、「RCA」に差し替えてみると、「一転して空にわかに搔き曇り」といった塩梅で、いっこうに冴えずこれはいけませぬ~(笑)。
Yさんも同意で「前段管でこんなに音が変わるんですか・・」
オークション代金が一気にパーになってガックリ~。
転んでもただでは起きないぞとばかり、今度は「NEC」に差し替えてみると「レイセオンよりも情報量が上ではないでしょうか」との高評価。
言い方は悪いが国産の「NEC」ごときがレイセオンよりも上を行くなんてと驚くしかないが、実は「NEC」はその昔ウェスタンの技術を導入してたとかで、その頃の残滓なんだろうか・・。それしか思い当たらない。
いずれにしても「NEC」は4本持っているので、これから「枕を高くして眠られる」(笑)。
次に登場させたのが「6AR6」(三極管接続)アンプ。
久しぶりに前段管を「6SL7」(STC)に戻して試聴してもらった。
「どこといって破綻を見せない優等生のアンプですね。まったく非の打ち所がないです。ただ、思わずハッと息を呑むような美しさはないですね・・」
「それはもうないものねだりというものでしょう。直熱三極管の世界と違いますからね。このアンプはむしろアメリカ系のJBLなどのSPユニットに合いそうな気がしますね」
この日(23日)は「CDトラポの比較」、「球転がし」、「アンプ転がし」などでであっという間に時間が経っていったが、Yさんから「それでは今日はこの辺で・・」と店仕舞いの申し出があった。
まだ、試してみたいアンプがいくつもあるので「まだいいじゃないですか」と引き留めたが、ご用事があるみたいで仕方がない。後日の楽しみにとっておくとしよう。
これで「初秋のオーディオ試聴会」はお仕舞。
第二弾は10月に入ってということで。
あっ、そうそう、つい先日県外の仲間から連絡があって「ようやくコロナも落ち着いたようですし、久しぶりに訪問させてください」
「ハイ、どうぞどうぞ~」
ここ3~4年ほどの間に我が家のシステムは激変している。聴いてもらいたいシステムがいくつも目白押しなので泊りがけで来ていただくとするかな(笑)。