『「消費税35%」でも借金返済に122年かかる…政治家が口にしない"現金バラマキ"の恐ろしいツケ』
(藤巻健史/フジマキ・ジャパン代表)
https://president.jp/articles/-/60927
「(略)2020年度第三次補正予算後の予算は、コロナ禍のせいで112.5兆円の赤字です。これは、とんでもない額です。翌2021年度の予算補正後は、65.7兆円の赤字です。税収が史上最高でも60兆円強であることを考えると、これでも、とんでもないほどの異常な額です。日本は、コロナ禍のような異常時だけでなく、30兆〜40兆円の赤字をバブル崩壊以降、30年以上も毎年続けてきたのです。
それを消費税で穴埋めしようとすると、どの程度の増税が必要か、見てみましょう。
消費税率は現状10%で、2020年度で19.2兆円の税収。1%あたり約2兆円の税収です。毎年30兆〜40兆円の赤字を穴埋めしようとすると、40兆円の赤字を埋めるためには40兆円÷2兆円で、消費税率を20%にしなくてはいけない計算になります。
さらに2021年12月末で1218兆円の借金がありますが、これを10兆円ずつ返すとすれば、122年近くかかる計算です。もし10兆円ずつ122年間で返そうとすると、10兆円÷2兆円でさらに5%、「今の消費税率10%+単年度の赤字解消で20%+122年での返済で5%」で明日から消費税率35%が必要です。(略)」

財政破綻教の信者である藤巻氏が相変わらず幼稚な財政破綻論を振り撒いていますね。

コラムの表題に“「消費税35%」でも借金返済に122年かかる”と書いておきながら、文中では、「ここまで借金総額が大きくなると、支払金利も馬鹿になりません。すぐにではないものの、1%上がると12兆円の支払金利が増えます(1218兆円×1%)。計算するのも嫌になります。消費増税で借金を返済するのは、もはや不可能だと思います。計算上はできますが、この国でそこまで消費税率を上げるのは政治的に無理だからです」と消費税率を35%に上げるのは不可能と白旗を上げるなど主張がコロコロ変動しており、「結局、お前は何が言いたいんじゃあ!」とケツを蹴り飛ばしたくなります。

まぁ、彼の財政破綻論やハーパーインフレ論、日本円紙屑化論などは季節の変わり目ごとに聞こえてくる時候の挨拶みたいなもんですから、「またバカの遠吠えかよ」と軽く聞き流せばよいでしょう。

それにしても、毎度感じるのは、彼のような財政破綻論者や超緊縮論者たちの“際限なき緊縮欲”、“聖域なき歳出カット欲”です。

彼らは、真逆の経済思想を持つ積極財政派の自尊心とかプライドなんてどこ吹く風とばかりに馬鹿げた緊縮要求を突き付けてきますよね。
彼らにとって積極財政派なんて、語るも汚らわしい虫けら以下の存在に過ぎず、こちら側への忖度や配慮など一切しませんし、積極財政派に理や徳を以って訴えかけようといった気など微塵もありません。

これはある意味当然のことで、いま経済論壇でマジョリティを形成し世論の圧倒的な支持を得ている財政破綻論者や緊縮論者たちは、持論と異なる層を丁寧に説得するようなソフト路線など採ろうとしません。
これまで一度でも、彼らが緊縮財政や増税の必要性を懇切丁寧に語りかけてきたことがあるでしょうか?

彼らがやってきたことといえば、
「このままだと財政破綻するぞ!」
「円が紙くずになってもいいのか?」
「ハイパーインフレになってタクシー初乗りが100万円になるぞ!」
「年金大幅カットは免れないぞ!」
と国民を恫喝し、強引に大増税を呑ませ、聖域なき歳出カットを押し付けようとするだけでしたよね?

日本人を貧困化のどん底に貶めてもなお、消費税率35%なんて常識外れな暴言を吐くような傍若無人な連中を相手に、こちらから行儀良くヘコヘコと愛想笑いするわけにはいきません。

恫喝してくるヤクザを相手にまともな説法など通用しません。
汚いツバを吐きかけてくる連中は思い切りぶん殴るより他ないというのが、武闘派たる私の持論です。

とはいえ、これはあくまで私個人の考えであって、積極財政を支持する方々に強要するものではありませんし、しても受け容れられることはないでしょう。

それを十分に承知したうえで、破綻論者や緊縮論者に対して、あまりにも弱腰で甘っちょろい態度を取る者には容赦なく“腰抜け”と批判するつもりです。

なにせ、最近の反緊縮界隈を見ていると本当に元気がありませんからね。

いまだにこんなことを言ってるようでは、圧倒的多数派を占める破綻&緊縮信者に一瞬でボコられてお終いでしょう。

「オレにはオレの言い分がある。関係ない奴がオレにやり方にエラそうに口を出すな!」と吠えていた連中もいましたが、それなら御当人も、自分が気に喰わない意見を持つ他者を一切批判すべきではありませんよね?

たまに、「株主至上主義が~」と株ブタを非難したり、「BI信者はネオリベの手先だ~」とBI導入論者を否定したりする輩を見かけますが、御自分は株ブタの言い分を聞こうともせず、BI賛成者の主張にちょっかいを出し、その領域にずかずか土足で上がり込み偉そうに口出ししておきながら、自身が持論を批判され、その矛盾を指摘された途端に、「アタシに構わないでよね(# ゚Д゚)」とツイフェミみたいに逆ギレするのは、明らかに矛盾しています。

株ブタさんから、「株主至上主義はオレにとって最高に心地良いんだよ!無関係なお前から余計な口出しされる覚えはない!」と逆ギレされたら、一体どうするんでしょうかね?

また、彼らは、「カネだけあってもダメ。“カネさえあれば何でも解決出来る”なんてのは傲慢な考えだ。ヒト・モノ・カネの三拍子揃ってこそ本物の豊かさが得られるんだ!」などと宣っておられますが、言い草が小学生レベルの極論です。

そもそも、カネさえあれば無問題なんて言ってる積極財政論者って、一体どこにいるんですかね?

弱体化している国内の供給力や人材という国富を高度化し強靭化するには、食糧や養分、エネルギー源となるカネ(所得や売上に直結するカネ)が絶対に必要だと主張する論者は多々見かけますが、カネさえあれば国内の生産基盤なんてどうでもよいなんて言ってるバカを見たことはありませんよ。

まともな社会人経験のある方ならご理解いただけると思いますが、ヒトの育成や能力開発、生活向上、モノやサービス技術力や生産性向上などを実現するには、すべてカネが必要なのは言うに及ばない事実です。

企業が長期的視野に立って人材育成や生産性投資、研究開発、IT投資に時間とカネをつぎ込むためには、将来にわたる売上と利益の増進見通しが必要です。

カネが無ければ売上も利益も労働者や下請け業者への分配も何もできません。
カネというニンジンが無ければ、ヒトやモノという馬は歩を進める動機を失ってしまいます。
カネという土台があってこそ、経済活動は上手く循環し、ヒトもモノもサービスも輝けるのです。

頭でっかちな労働本位制論者に限って、「供給力さえ強化すればカネもヒトも勝手に後からついてくる、カネなんて無くても日本人が生来の勤勉さと美徳と根性を発揮すれば日本は復活できる」と吞気に信じ込み、まともな給料すら払うとせずに国民に低賃金労働を押し付けようとするものです。

モノやサービスという価値は努力や根性だけで生み出すことはできません。
売上や利益に形を変えたカネの裏打ちなくして、モノやサービスが流通し発展することはありえないのです。

反緊縮論者たちのおかしな言説は続きます。

「30年不況で日本経済は傷み切ってしまい、かつての国力はとうの昔に消え失せた。日本の生産基盤を復活させるには、失われたのと同じか、あるいいは、それ以上の時間が必要だ」という”危機感ゼロ、スピード感ゼロ”のセリフを聞くたびに、反緊縮の旗印もここまで堕ちたのか…と嘆息せざるを得ません。

30年もの長きにわたる不況でボロボロになった日本の社会基盤や生産力を立て直すのに、「30年もしくは、それ以上の時間が必要」なんてずいぶん呑気で悠長な言い草ではありませんか。

平成・令和大不況の間に失われた国民の所得は世帯平均で4000‐5000万円にも上ると推計され、その逸失所得が生むべき需要が創出されなかったせいで、国内産業の生産力も地に堕ちたと言ってよいでしょう。

大手企業で相次いだ企業合併やかつて世界を席巻した電機産業や半導体産業の凋落ぶり、地方の百貨店の死滅などの事象はそうした産業力衰退の一端と言えます。

産業力や供給力の衰退は、日本にとって国富の衰弱そのものであり、その回復や復興は急務です。
それを「30年掛かって弱体化したんだから、立て直すのは30年か、それ以上掛かっても仕方ないのよね」なんて弱音を吐くとは何事ですかね?

江戸期の享保・寛政・天保の3大改悪が悉く失敗に終わったのは、「オレは百年先の将来を見据えて改革(※実態は単なるカネの出し惜しみによる不況促進)をやるんだ~!」と意気込んだ挙句に、眼前にある庶民の生活を滅茶苦茶に壊して収入を落としまくったからにほかなりません。

その後も「消費撲滅=改革」と勘違いしたバカな扇動家たちが、「伸びんがために縮むんです」とか「コメ百俵の精神が~」と喧伝し、”いま(現在・現代)の収入や財産、生活をすべて鋳潰して消費を減退させれば、やがてそれが養分になり百年後に花が咲く”という大嘘を事あるごとにまき散らしてきましたよね。

常識ある大人なら解ることですが、いま目の前で苦しんでいる国民を救おうともしない連中が、百年後の国民を救えるはずがありません。
いまの延長線上に”将来や未来”があるのですから、将来や未来の起点や基盤となる”いま”を蔑ろにして無事に済むはずがありませんよね。

そういう観点から考えると、30年も不況を味わわされ、生まれてこのかた不況しか経験していないという国民の割合もどんどん増えているのに、腰抜け論者にはそういった非常事態に対する危機感がまったくないとしか思えません。

この先30年も40年も掛けてのんびり不況脱却ゴッコをやっていては、かつての好況期を体験し経済成長の真価を知る中高年層は死に絶えてしまうし、30~40代くらいの働き盛り世代は不況のまま現役時代を終えざるを得なくなってしまいます。

ほぼすべての日本人が好況をまったく知らないという最悪の事態を放置してよいのでしょうか?
たまたま不況期と就職時期とが重なったというだけで正職員ルートから排除された就職氷河期世代を「お前らはジジイになるまで派遣暮らしでもしていろ」と切り捨て、見捨てるつもりなんでしょうか?
コロナ禍でリストラされたり失業した不幸な人々に対して「お前らは一生貧乏なままで我慢しろよ」と言い放つつもりでしょうか?

30年もの間不況に苛まれ続け、その間に日本人が失った富や所得の累積額は膨大な量になります。

日本の経済復興を放棄し、くだらぬ言い訳をグズグズ並べ立てる暇があるのなら、将来に向けて日本が再び世界のトップランナーとして経済成長し、日本人が世界有数の豊かな国に暮らす民族として諸外国から羨望の眼差しを集めるための努力をこそすべきです。

そのためには、経済敗戦による痛手を超短期で癒すべく、膨大な量の貨幣を所得や売上としてバラ撒く必要があります。

所得勃興を起点とする需要喚起を通じて、供給サイドの強靭化や技術開発競争、輸入資源や食糧の国内生産振興に取り組み、日本を再度世界に冠たる経済発展国に押し上げねばなりません。

かつて関東大震災により灰塵と化した首都の復興、太平洋戦争で焼け野原となった主要都市の復興、東京五輪に向けてわずか5年で開通させた東海道新幹線といった近代史のみならず、江戸期に起きた大飢饉や大噴火、東南海トラフ地震などの災害時において、現代とは比べるべく見ない超脆弱レベルの生産力しかなかった当時の人々は、「大災害の後始末なんやから、30年くらい掛けてゆっくり復興しようや!」、「新幹線なんて初者なんやから、オリンピックに間に合わんでもしゃーないやろっ!」なんて惚けたことを抜かす者はいなかったはず。

現下の不況の深刻さを真に理解できておれば、悠長なセリフなど吐くこともなく、「国民の生活を絶対に守るんだ!」と息巻いておきながら、国民の生活良化に効果のあるBIに対して感情的に反発するような愚行も犯さないはずです。

彼らには、自身が述べる経済論の目的が奈辺にあるのか、冷静になってよく考えてもらわねばなりません。