福田美術館

芭蕉と蕪村と若冲

 

この度、松尾芭蕉の貴重な自筆自画《野ざらし紀行図巻》が約50年ぶりに再発見されたことを記念し、福田美術館と嵯峨嵐山文華館が共同で展覧会を開催いたします。本展は、与謝蕪村をキーパーソンとして、蕪村が憧れた松尾芭蕉と、蕪村と同じ年に生まれた伊藤若冲、3人の足跡を辿るものです。
第2会場である福田美術館では、与謝蕪村筆《猛虎飛瀑図》、伊藤若冲筆《蕪に双鶏図》など当館所蔵の若冲と蕪村の作品を展示(会期中展示替あり)。また、幻の名品、芭蕉の直筆《野ざらし紀行図巻》を特別公開します。

 

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紀行文「奥のほそ道」において、「古池や蛙とびこむ水の音」や「閑さや岩にしみ入る蝉の声」などを詠んだことで知られる松尾芭蕉は、俳句という文芸を和歌とならぶ文学的地位へ高めました。

 

 与謝蕪村は20代から江戸で俳諧を学んだ後、およそ10年間かけて、北関東から東北地方を僧侶として遊歴。各地の歌枕や、芭蕉が訪ねた場所を巡りました。42歳頃から京都に定住。以後、中国の南宗画に学びながら山水図を描き、また絵と発句を書き添えた俳画という新しいジャンルを確立しました。

 

 一方、蕪村と同じ年に伊藤若冲は、京都錦小路の青物問屋「枡屋」の長男として生まれます。

蕪村と若冲は四条通界隈の非常に近い場所に住んでいたことがわかっていますが、現在のところ互いの交流を示す史料は確認されておらず、画風も全く違います。が、中国人画家・沈南蘋の絵画を学ぶといった共通点もありました。

 

 

 「朱文公図」与謝蕪村

 

若冲においては言わずもがな、あじわい深さなら芭蕉…

今回の展覧会は“珠玉の蕪村展”!と、言ってしまいたいほど

画家としての蕪村の魅力を存分に思い知る。

 

ほとんどの展示作品が撮影OKな福田美術館

この機を逃してはならぬ!と、蕪村作品を撮りまくり~(^^♪

 

 

 「茶筵酒宴図屏風」与謝蕪村

 鮮やかな赤い机が印象的な絵、貴重な絵の具なのだそう。

右隻にはお酒の宴、左隻にはお茶の様子が描かれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「髑髏図」 伊藤若冲

こちらは何度も見ている作品

若冲が描いた下絵をもとに彫られた版木から制作された拓版画

 

 

 

 「十二神仙図屏風」 与謝蕪村

 

 

 

 

 

 「猛虎飛瀑図」 与謝蕪村

今回一番見たかった作品

南画の影響が窺える細やかな線、蕪村はこういう絵も凄いなあ…と、感心しきり

若冲とも交流があったのでは?といわれている、負けず劣らずな迫力と存在感

この1枚で蕪村を完全リスペクト!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「老松図屏風」与謝蕪村

 蕪村66歳の作品、金箔に墨の濃淡だけでダイナミックに描かれた不老長寿の松

応挙「雪松図屏風」ほどの華やかさは無いが、向かい合う松の素朴な表現が良い。

 

 

 

 

 

48歳頃、俳諧の仲間が中心となって資金を出し合い、蕪村に屏風を描かせる会「屏風講」が結成されます。彼らの篤志により多くの屏風を制作しました。

 

 

 

 

「雲中阿弥陀如来図」伊藤若冲

手に持つのは牡丹の花、ゆるキャラ風な阿弥陀様に♡ほっこり

若冲の珍しい仏画

 

 

 

 

 「呂洞賓図」 伊藤若冲

中国の仙人8選の中の人気の1人だそう。

 

 

 

 

 「鯉魚図」 伊藤若冲

 

 

 

 

 墨の濃淡による花弁のような鱗

繊細見事な筋目書き、若冲の技術に目をみはる。

 

…若冲の“魚図” 未表装のがウチにも1枚あるんだよ。(自慢てへぺろ

 

 

 

 「山水図扇面」 伊藤若冲

拓版画に着色を施している希少な作品

 

 

 

 

 「山水図」 伊藤若冲

わりとシンプルな山水画だけど、これは木島櫻谷が所有していたそうなのでcheck!

 

 

 

 

 「仔犬図」 伊藤若冲

解説のタイトル“かわい…くはない” が笑える。

応挙の描いた犬と同じ紀州犬らしいのですが、応挙のほうがずっと可愛い。

 

 

 

 

 

 「群鶏図押絵貼屏風」 伊藤若冲

「米斗翁」「八十二歳画」の号あり。

上手い筆さばき、躍動感にあふれる鶏たちは何度見てもいつもワクワクする

楽しい作品。

 

 

 

 

 「野ざらし紀行図巻」 松尾芭蕉 (序 山口素堂)