紙のブログ

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ご愛用様さま

ご愛用者さまに聞きました: アマチュア写真家 藤島純七さま

こんにちは、松本洋紙店スタッフです。
多業種にわたる松本洋紙店ご愛用者さまから、今回は
アマチュア写真家 藤島純七さまにご協力をいただきお話をお聞きしました。
当店の写真用紙もお使いいただいています。

ニッコールクラブ仙台支部にて副支部長兼事務局長を務めつつ、「南三陸311メモリアル」にも関わり東日本大震災で被災した南三陸町の復興の歩みの撮影を続けてらっしゃいます。

貴重な作品を5点、掲載させていただきました。
ぜひご一読くださいませ。

Q:プロフィールをお教えください

【略歴】
1949年 宮城県大崎市鳴子温泉(川渡温泉)生まれ、現在仙台市在住
2000年 宮城県の地方銀行に勤務、8回目の転勤で宮城県南三陸町(当時志津川町)に3年間単身赴任(前任地は宮城県岩出山)
海あり山あり、美しく豊かな自然に魅せられ、「写真」撮影開始
2006年 「南三陸町夢大使(観光大使)」を委嘱される
2014年 「南三陸町復興応援大使」を委嘱され、2020年制度終了まで務める

【受賞歴】
2006年 全日本写真連盟宮城県本部主催「宮城写真サロン」で「推薦」(トップ)
2007年 宮城県写真展で「宮城県写真連盟賞」(トップ)
2011年 「日本カメラ」月例コンテスト、カラーの部で年度賞第6位
2019年 「アサヒカメラ」月例コンテスト、組写真の部で年度賞第2位
2021年 全日本写真連盟・朝日新聞社主催、「全日本写真展」で「銅賞」
※同コンテストで2018年~2022年まで、5年連続入選・入賞
2023年 全日本写真連盟・東北ブロック主催、「東北写真サロン」で「最優秀賞」
※「ニッコールフォトコンテスト」ほか入選・入賞多数(累計440回)

【個展】
2007年 大崎市立岩出山中学校(文化祭)で写真展「みちのくの四季・祭り」
※高校の同級生だった校長先生からの依頼で「地元岩出山の再発見」を中心に作
品40点展示。生徒の皆さんが写っていたお祭りの写真が一番人気でした。
2012年 ニコンプラザ仙台で写真展「懐かしの南三陸町」
2013年 ニコンプラザ仙台・スクエアで写真展「街角スナップ」
2017年 ニコンプラザ仙台・スクエアで写真展「南三陸町・復興の歩み 前へ」

【所属団体】
ニッコールクラブ仙台支部(副支部長兼事務局長)
全日本写真連盟宮城県本部(個人会員)

南三陸町に転勤する前はカメラと言えば旅行の際に「写ルンです」で写真を撮るくらい
だったんです。それがたまたま、前任地の岩出山のお客さまからの紹介で地元新聞
社に挨拶に行った際、記事「新任支店長の横顔」コーナーの取材を受け、勘違いで趣
味が写真と書かれてしまって。町の人がみんな、趣味が写真なんですってね、と話し
かけてくださるので困ったな、とヨドバシカメラでミノルタα7を買ったのが始まりです。
その後、これまたお客さまの写真屋さんで仙台青葉祭りに参加していた前任地の岩出山の女子行員のスナップをプリントしてもらったところ、同祭りのフォトコンテストへの応募を勧められました。結果は「初入選」。これから、コンテスト応募の道が開けま
した。

その後、お客様の結婚式に招待された際に撮影して差し上げていた写真が評判にな
りました。また3年間、支店のロビーを開放して町民の皆さんの写真・絵画などを展示
(時々私の写真も展示)し、文化活動を推進しました。その縁で南三陸町の観光大使
に任命されることとなりました。普通は3年毎の勤務地、去ってしまえば再訪すること
はあまりないものなのですが、不思議な縁がずっと続いています。

Q:東日本大震災を経てもずっと通われていますね

震災時、家の中はめちゃくちゃになりながらも写真データなどはすべて無事でした。南三陸町の状況は日に日に情報は入って来たものの、実際に行くことができたのは4月末の第一回目の復興市の日でした。車でまわったものの、ショックで降りることができず。恐ろしく、申し訳ないような、カメラを向けるだけで失礼なような、言葉にならないような想いがいっぱいでした。

その後も毎月足を運び、記録として撮り続けています。また、震災前に撮影したものも
たくさんありましたので、ニコンプラザ仙台で避難した方々に見ていただきたいという
気持ちで2012年、個展を開きました。今年に入り、「南三陸311メモリアル」で震災前の
写真展が開催されるということで南三陸町で皆さんの写真が集められ、私の写真も含
めて展示されました。

ハードは復興したものの、ソフト、つまり精神面では復興はまだ遠い人が多い。とは言え12年も経つと、そのとき生まれた子も中学生になるほど。震災を知らない世代が年々増えていきます。写真を通じて、世代や人々の橋渡しを担うつもりで続けています。

Q:今回の作品について一言ずつお聞かせください

入谷打囃子

(撮影地:宮城県南三陸町志津川入谷)

250年続く京都の流れをくむ華やかな祭りに毎年通い、数回入賞していました。2011年3月11日発生した東日本大震災のショックで、月例フォトコンテストは新作が難しく旧作で対応せざるを得ない状況になりましたが、この祭りの作品で2011年9月号は金賞となり、初めての日本カメラ年度賞(6位)につながりました。こちらの作品は2019年9月撮影分。残念ながら新型コロナの影響で2020年以降3年間中止になってしまいました。復活を熱望しています。

朝市母さん帰り道

(撮影地:青森県八戸市陸奥湊)

朝市で有名な陸奥湊にはカモメの繁殖地・蕪島やえんぶり祭りのついでに時々立ち寄っていましたが、2015年6月、「イサバのカッチャ」と呼ばれるお母さんが朝市の仕事を終えて、帰る途中に偶然出会い、撮影させていただきました。この出会い以降、毎年2回位、この方の案内により朝市内で働くお母さん方の「笑顔」の写真の撮影を続けています。前回撮影の写真をお持ちすると、大変喜んでもらっています。スナップ撮影が難しくなっている昨今、貴重な撮影スポットとなっています。

山あいの田園風景

(撮影地:宮城県大崎市鳴子温泉鬼首)

鬼首地区は私の生まれたところから近い、山あいの場所。カメラマン仲間からの情報
をきっかけに通うようになりました。禿岳(かむろだけ)をバックに田植え(補植)をする
女性を撮影しました。まだ、昔の光景が残る貴重な所です。最近は、高齢化が進み、
稲作をやめる農家さんが増えてきていますので、記録としての意味からもしっかりと
撮影を続けたいと思います。

朝日を浴びて

(撮影地:仙台市泉区丸田沢堤)

3年前、ふとしたことから、白鳥を近くで撮影できる場所を発見。12月から2月までの期間限定のカメラマン仲間と楽しく撮影しています。特に沼の近所にお住まいで、カメラマンの為に沼のほとりの木などを伐採し、道を作り、撮影場所を整備なされているベテランカメラマンとの出会いが大きかったです。この方は、私と同じ大崎市出身ということで、よく指導していただきました。お陰様で、撮影を始めてから3シーズンで「東北写真サロン」の「最優秀賞」ほか6回も入選・入賞となりました。
この作品は、早朝夜明けに沼に行ったところ、すぐ目の前で、朝日を浴びた白鳥が横綱の土俵入りのように羽を大きく広げました。そして、羽の後ろに、太刀持ち・露払いのように偶然、白鳥が顔を出してくれました。二度とないタイミングでした。

夕焼け

(仙台市泉区自宅付近)

新型コロナの影響で、好きな旅行も控えるようになりました。そんな中で、ご近所散歩の道すがら、気になったものを撮ることが、多くなりました。この日(10月上旬17:15)、夕方散歩をしていたら、ドラマチックな夕焼けの光景に出会いました。今後も、必ずカメラを持って、散歩を続けたいと思います。

Q:カメラやプリンタ等こだわりはありますか?

【カメラ】
2000年からのネガ時代はミノルタα-7を使っていました。南三陸町志津川から仙台
に戻って、志津川の写真仲間から自家現像グループの岩手県一関市の「フォト道場
オバタ」を紹介され、2004年入会。撮影会と例会で本格的に勉強しました。写真雑誌
への挑戦の扉も開けていただきました。感謝です。その後、フルサイズのデジタルカメ
ラ・ソニーα900を使いました。

2010年ニッコールクラブ仙台支部に入会。当初はフルサイズデジタルカメラ・ニコンD700でした。現在はフルサイズのニコンD610とミラーレスカメラ Z50です。高性能のニコンのフルサイズ・ミラーレスカメラを使っている方もいて、羨ましいと思いますが、  現在の分で不自由はありません。

【プリンター】
エプソンEP-10VAを使っています。複合機で使い勝手がよく、仕上がりも良い。モノクロにも対応できるので、使っています。現在、コンテストはA4サイズが主流になっており、不自由はありません。

【印画紙】
「富士画彩」や「ピクトリコ」を使っていた時期もありましたが、現在は「松本写真用紙(絹目調)」です。前から月例コンテストで「松本写真用紙(絹目調)」を使っている方が多く、気にしていましたが、モノクロプリントにも取り組むにあたって、宮城県内の写真仲間から勧められて、使っています。カラーでも仕上がりが落ち着いており、満足しています。在庫が気にならないよう、A4・200枚を注文しています。

【印刷のこだわり】
パソコンでソフト「フォトショップ」を使って、レタッチしております。青木竹ニ郎さんの著書「フォトレタッチ実践講座」やニッコールクラブ仙台支部でのプリントが得意なベテラン会員講師による「プリント研修会」受講などで、レベルアップを図っています。ニッコールクラブ仙台支部例会の互選時における酒田市土門拳文化賞受賞者であり仙台支部顧問の海老名和雄さんの講評や本部でのプロ講師による審査指導もレタッチに役立てています。とにかく「他人の意見に耳を傾ける」こともモットーにしています。

基本は自分が見たものに近づけ、撮影意図が明確になるよう、レタッチしています。派手にならないよう「薄化粧」を心掛け、また、組写真については、色調を合わせるようにしています。

Q:Facebookを活用されてらっしゃるそうですね

2020年1月のアサヒカメラ年度賞表彰式出席を契機にFacebookを開設。紙のブログの「ご愛用者に聞きました」コーナーに登場している荒井俊明さん、有田勉さん、宮崎豊さん、樋口良夫さん、和田喜博さん、室田あいさん、山中健次さん、青木竹ニ郎さんをはじめ約150名の方にお友達になっていただいております。皆さんから流れてくる情報、作品に毎日刺激を受けています。

私は、週3回アップを目標にしています。アップするためには、撮影しなければなりません。撮影の上達には、数多く撮影することが必要です。Facebookを上手く、活用して、自分を高めたいと思います。

Q:今後の作品づくりについてお聞かせください

写真は記録という観点から、東日本大震災で被災した南三陸町の復興の歩みを継続して、撮影してゆきたいと思います。現在(2023年3月)「南三陸311メモリアル」で写真展「あの頃(震災前)に会いに行く 南三陸の暮らし展」が開催中で私も約20点出展しています。この会場で「私の個展」という話も、未確定ながら、出ているそうです。もし実現すれば、精一杯頑張りたいと思います。

そして、テーマ性のある作品作りも考えています。遠くに行かなくても、身近な情景、
自然をみつめて、撮影したいと思います。そのために、現在「フォトブック」の作成に取
り組んでいます。とりあえず、自分だけの1冊、「白鳥」の分を作成し、白鳥カメラマン
仲間にみてもらいました。いろいろアドバイスをいただき、勉強になりました。形にする
ことが重要であることを学びました。続けて、作成したいと思います。

健康でなければ、撮影はできません。これからも、健康に留意して、いろいろチャレンジしたいと思います。

松本洋紙店スタッフより

毎回思うことですが、写真家の皆さんとお話するのは本当に楽しい。今回は東日本大震災のこともありましたので楽しいばかりではありませんでしたが、それも含めて摩耗しがちな感性のようなもの、その錆を優しく落としていただけるような時間でした。

藤島さまの写真ライフはとにかく不思議な縁がつながっていく。最初から決まっていたかのように、ひょんな勘違いから、人から人へ、出会いから出会いへ。訪れるものに対してとてもオープンで開かれてらっしゃるからこそなんだろうなと思いました。きっとそれが、豊かな人生の秘密に違いない。

2023年3月9日の報道ランナーという情報番組で藤島さまがおっしゃっていたこと。
「何もないのが一番の幸せ」であるということ。今日が明日も続くとは限らない。今日が何もない一日であれば、なんと幸せなことなのか。忘れずにいたいと思いました。

ちなみに藤島さまご愛用の写真用紙、よろしければこちらからご覧ください。
フォトコンテストに使える写真用紙のページはこちら