線路と道路が交わり、鉄道を身近に感じられる場所が踏切です。
立体交差化によって減少が続いていますが、小田急には現在も多くの踏切が設置されています。

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開かずの踏切の問題や、保安上の課題があることから、減ることはあっても、増えることはないのが近年の傾向といえます。
小田急の踏切は、昔と比べてどれぐらい減少したのでしょうか。

現在設置されている踏切の数

小田原線と江ノ島線には、現在合計で229ヶ所の踏切が設置されています。
多摩線は全線が立体交差となっており、開業時から踏切は一つもありません。

現在も残っている踏切は、全てが第1種甲の踏切となっており、通過する全ての列車に対して道路の交通を遮断するものです。
近年は安全対策の強化が進められており、オーバーハング型踏切警報機や大口径遮断かんの導入、どの方向からも見えやすい閃光灯の設置等が進められています。

人や車が行き交う踏切は、その特性上どうしても事故へと繋がりやすいため、何重もの安全対策を行うことで事故の発生を防いでいるのです。
しかし、事故の発生を完全に防ぐことはできないことから、最も確実な対策は少しでも減らすことであり、近年は廃止が進められています。

小田急の踏切は昔と比べてどれぐらい減ったのか

ここからは小田急の踏切がどのように減ってきたのか、年度ごとの数を見ていきたいと思います。
全ての年度の資料があるわけではなく、間隔も一定しない点はご容赦下さい。

各年度ごとの踏切の数は、以下のとおりとなります。

【2020年度】
第1種甲:229ヶ所

【2009年度】
第1種甲:239ヶ所

【1999年度】
第1種甲:261ヶ所

【1991年度】
第1種甲:276ヶ所
第1種乙:2ヶ所
合計:278ヶ所

【1981年度】
第1種甲:266ヶ所
第1種乙:4ヶ所
第3種:17ヶ所
合計:287ヶ所

【1976年度】
第1種甲:224ヶ所
第1種乙:4ヶ所
第3種:63ヶ所
合計:291ヶ所

1976年度と現在を比べた場合、62ヶ所もの踏切が廃止されたことになります。
44年間で62ヶ所ですから、1年に1ヶ所か2ヶ所が廃止されているペースということのようです。
これを多いと考えるか、少ないと考えるかは難しいところですが、確実に減っていることだけは間違いありません。

興味深いことは、1976年度の時点で63ヶ所もの第3種踏切が残っていたという点です。
踏切警報機はあるものの、遮断機がないのが第3種踏切であり、この当時でこれだけの数が存在していたのです。
1981年度の時点でも17ヶ所ですから、地道に遮断機の設置を進めていたことが分かります。

1990年代以降は減少のペースが加速していますが、これは複々線化に合わせて立体交差化が進められたことが大きく、小田急も踏切の廃止を強くアピールしていました。
今後は減少のペースが落ちると思われますが、減らす努力は地道に続けられていくのでしょう。

おわりに

廃止によるメリットが多いため、減少を続ける小田急の踏切。
それ自体は歓迎すべきことですが、鉄道が好きな身としては、身近に電車が見られる踏切が減ることは、少し寂しいのも本音です。