第313話 『頭脳宇宙人 エグデルウォンク』  (Bパート)

 

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【静岡県 AUA-50地点】

 
ユリコ

「科学が発達して、発達しつくして。
 
 星中の人が、一人の、この姿になり、
 何でもわかって、何でも出来る事が、
 虚しくなって、旅に出たの?」
 
エグデルウォンク星人球
「まあ、そんなとこだな。」
 
ユリコ
「何でも、出来るのなら…
 
 何だって、出来るじゃない?
 
 なぜ、その力を、平和のため、
 誰かのために、使わないの?」
 
エグデルウォンク星人球
「使ってどうなる?
 ただの、自己満足にすぎない。
 
 次から次へと、いくら助けても、
 キリは無いし、意味もない。
 無駄で無意味な事だ。
 
 助けても助けても、次で滅ぶ物は滅ぶ。
 それを防ぎたければ、助け続けるしかない。
 虚しい限りだ。
 
 何が栄ようが、滅びようが、
 すべてわかるし、同じ事の繰り返しだ。
 
 石を積み上げ、崩れたらまた積むのと、
 何も変わらない。
 
 そんな事を、永久無限に繰り返して、
 一体、何になる?
 自己満足すら、どこにも無い。
 無駄で無意味だ。」
 
ユリコ
「あなたは…
 本当に何でも、出来るのかも知れない。
 
 そして、本当に何でも出来たら、
 そんな考えに、なってしまうのかも知れない。
 
 でも、幸か不幸か、
 私はとても、そんな境地には無いわ。
 
 ここであなたと、禅問答をしてるくらいなら、
 隊長とゴウリさんを、助けに行きます。」
 
去っていくユリコ。
 
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エグデルウォンク星人球、
ナワテ、クロスの3人になると、
少しナワテとクロスで、顔を見合わせた後、
クロスが話し始めます。
 
クロス
「ぼくも… ユリコ隊員と同じ考えだ。
 
 力を、使っても使わなくても、虚しいなら、
 誰かのために、精一杯使っても良いと思う。
 
 それで自己満足だって、良いじゃないか?
 自己満足は、別に悪じゃない。」
 
エグデルウォンク星人球
「満足する事自体が、出来なくなるんだよ。
 
 その意味では科学は、諸刃の剣。
 飲めば飲むほど、喉が渇く、
 海水のような、物だった。
 
 発展途上の、過程と言うのは良い。
 
 だが、極め切って、先が無くなると、
 そこでもう、終わりだ。
 
 すべてがわかり、すべてが出来る。
 神になる事が、虚しい事だと、
 近づくにつれて、薄々わかっても、
 科学の進歩を、止める事は出来ない。
 
 かくて虚しい、孤独な神の出来上がりだ。
 アルファであり、オメガである存在にとって、
 すべては虚しく、意味の無い物だ。
 無駄で無意味だ。」
 
クロス
「そうなのかも知れない。
 
 君の立場では、本当にそうで、
 何も嘘は、言ってないのかも知れない。
 
 でもぼくも、ユリコ隊員と同じで、
 そんな究極の境地には、至っていない。
 
 出来ると、わかっていても、
 出来ないと、想像つく事でも、
 自分がしたいと思う事なら、したい。
 
 ましてや、凡人のぼくには、
 君と違って、わからない事はたくさんある。
 
 隊長達が、勝てるかどうかわからない。
 ぼくが加わっても、勝てるかどうかわからない。
 
 だから、戦って来る事にするよ。」
 
去っていくクロス。
 

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エグデルウォンク星人球と、ナワテの2人だけになります。
 
エグデルウォンク星人球
「さて、残るはお前さんだけだが…
 
 どうするね?」
 
ナワテ
「あのう…
 
 もし、あなたが本当に、
 科学のすべてを、極めたのなら…
 
 ぼくに、教えてくれませんか?」
 
エグデルウォンク星人球
「なんだって?」
 
ナワテ
「すごい超科学なんでしょう?
 
 お願いします。
 少しでも良い。
 
 そんな、星人さんじゃ、
 欲しい物なんか、無いでしょうけど。
 
 ぼくに出来る事なら、何でもしますから、
 あなたの極めた科学を、教えて下さい!」
 
エグデルウォンク星人球
「聞いてどうする?
 
 今も言ったように、科学を極めても意味は無い。
 それはかえって、夢も希望も無くなる。
 
 何の意味も見出せない、目標も夢も無い、
 すべてが無価値な状態に、なる事だ。
 
 科学など結局は、無駄で無意味だ。
 発展途上の間だけ有効な、ささやかな自己満足にすぎない。」
 
ナワテ
「それは違う。
 
 違う… と思う。
 
 ぼくは今まで、ぼくなりに、
 科学の力を、役立てて来た。
 
 救えた人もいる。そう信じている。
 科学の力は、素晴らしいんだ。」
 
エグデルウォンク星人球
「だからそれは、5が10になる過程での話だ。
 
 無限大に、行きついてしまったら、
 そこで全て、無意味の境地になってしまうんだ。」
 
ナワテ
「ぼくだって、まだそんな境地はわからない。
 だから本当だとしても、ずっと先の話だと思う。
 
 それなら今、優れた科学の一つや二つ、
 教えてもらったって、大差ないじゃないですか?」
 
エグデルウォンク星人球
「エルゴード仮説や、ゴールドバッハ予想、
 モノポールや、量子もつれが知りたいのか?
 
 教えてどうなる?
 それこそ引き換えに、君が提供出来る物はなんだ?
 
 人間の命で換算すれば、100や200じゃ済むまい。
 君が、その一人になるのか?」
 
ナワテ
「お、教えてもらったって、
 ぼく自身が死んだら、それこそ意味無いじゃないか!」
 
エグデルウォンク星人球
「他の人間に伝えて、役立てれば、
 君は、英雄になれると思うが?
 
 そうだな…
 
 そんなに言うなら、こうしよう。
 
 今の君の世界での未解決問題を、一つ教えると引き換えに、
 君の残りの寿命の、半分をもらおう。」
 
ナワテ
「な、なんだって!?」
 
エグデルウォンク星人球
「二つ教えれば、さらにその半分。
 三つなら、さらにその半分だ。
 
 いくつ教えるかは、君が任意に決めて良い。
 
 どうだい?
 かなり君にお得な、交換条件だろう?
 
 理論的には、全て教えても君は死なない。
 どれ一つとっても、君が半生かけても、
 解決出来るかどうかといった、問題だ。
 
 こんなチャンスは、一生でもう二度と無いぞ?」
 
ナワテ
「ちょ、ちょっと。
 
 ちょっと、待ってくれ…」
 
エグデルウォンク星人球
「良いとも。
 ゆっくり考えるが良い。
 
 考える時間は、大サービスで無限大だ。
 
 ただし、
 どんな答えでも、一度決定したら、
 取り消しや、やり直しは無しだ。
 
 有効回答の権利は、一度だけだ。」

天を仰いで、考え込むナワテ。
 
その向こうでは、相変わらず、
二大怪獣とユルガ隊長、ゴウリ、ユリコ、クロスが、
一進一退の、戦闘を続けていました。

 

 


 
ナワテ
「失礼かも知れないが、念のために聞くよ。
 
 君は本当に、科学の全てを極め、
 何でもわかり、何でも出来る。
 地球上の未解決問題を、全て解いた。
 
 以上、ここまでの前提は、
 間違いなく全部、本当なんだね?」
 
エグデルウォンク星人球
「間違いなく、本当だ。
 
 私自身の、存在をかけて誓おう。」
 
しばらくウロウロと、歩いた止まったり、
頭をかいていた、ナワテですが…
 
ナワテ
「あ~~~っ、決めた!」
 
エグデルウォンク星人球
「どうするね?」
 
銃を取るナワテ。
 
ナワテ
「教えてくれなくて良い!」
  
エグデルウォンク星人球
「なぜだ?
 命が、惜しいからか?
 
 だが、教えてもらった方が、圧倒的に得なのは、
 君なら、理解出来るだろう?。」
 
ナワテ
「それはわかる。
 理屈はわかるよ。
 
 間違いなく『全部教えてくれ』が、
 一番、得だ。
 
 それで寿命が、残り数日になっても、
 得た知識で、寿命をのばす事は可能だろう。
 だから損得で言えば、これが一番得だ。
 
 だから… そのう、
 何て言うか… 気に入らない。」
 
エグデルウォンク星人球
「なんだって?」
 
ナワテ
「何か、気に入らないんだ。
 駆け引きだけで、得を手にするって。
 
 それにこれで、ぼくが得をしても、
 君には得は、無いだろう?
 
 君は当然、不死に近い命、寿命を持ってる。
 ぼくの命なんか、なんの得にもならない。
 
 君はぼくを試すか、からかってるだけで、
 本気で命が、欲しいわけじゃ無い。」
 
エグデルウォンク星人球
「それで…断るのか?」
 
ナワテ
「そうだよ。
 
 それにね、
 そりゃあ、ぼくは、まだまだだけど、
 今、一瞬、
 
 『駆け引きで、うまく勝てれば、
  すべてを、得られる?』
 と、想像した瞬間、
 確かに、何だか、
 それじゃあ、つまらないような気がしたんだ。
 
 すべてがわかり、すべてが出来るとつまらない。
 君の気持ちが、少しだけわかったような気がした。
 
 ちょっとでも、そんな気持ちを垣間見れ、
 わかったような気に、させてくれただけでも、
 君の質問は、ぼくには値千金だった。
 
 なんせ、死ぬかと思ったからね。
 感謝してるよ。
 
 だからぼくも、自分の出来る事をする。
 
 実は新兵器、持って来てるんだ。
 まあ、
 君から見たら、ゴミみたいなもんだろうけど。」
 
エグデルウォンク星人球
「私が何でもわかり、何でも出来る、
 神相当の存在と、認めると言う事か?
 
 その上でその私を、ほったらかしにするのか?
 
 私は地球を、破壊するかも知れないぞ?」
 
ナワテ
「本当に出来るのなら、
 ぼくとしゃべってる、最中だって、
 どうやったって、出来るはずだし、
 防ぐ方法なんて、無いんでしょ?
 
 だから、ぼくが話し続ける意味は、
 それこそ、無いよ。
 
 ぼくを必要としている場は、あっちだ。」
 
エグデルウォンク星人球
「お前さん、苦労性だな。」
 
ナワテ
「うーん、それはぁ… 性分みたい!」
 
去っていくナワテ。
 

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2大怪獣と戦うUST。
 
やがて、閃光と共に、ゾフィが現れます。


 


 

 

 

 

2体の怪獣と、巧みに戦うゾフィ。
USTも、ゾフィが地底怪獣と戦っている時は、
宇宙怪獣を攻撃しと、援護を続けます。
 
やがて、地底怪獣は、
サブグレイダーで、頭、両手を切断されたところで、
M87光線を浴びて、大爆発を起こし、
宇宙怪獣は、ナックル・ショット、
ウルトラフロストで、動きの止まったところで、
USTの攻撃で、爆発四散しました。
 

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USTが、再び集合した時、
頭上にはあの球が、浮かんでいました。
 
エグデルウォンク星人球
「おもしろかったよ。
 
 ま、ほんの少しだけ、暇つぶしにはなったかな?」
 
ゴウリ
「そりゃ、どうも!」
 
ユリコ
「暇つぶし… ね。」
 
ゴウリ
「暇つぶしで地球が、無くなるところだったぜ。」
 
エグデルウォンク星人球
「そうだよ。
 
 君達は、億万長者にでもなり、
 何でも出来て、毎日遊んで暮らせたら、
 どんなに、良いかと思って、
 それを、目指すんだろう?
 
 そして億万長者の、気まぐれの一言で、
 多くの命が、左右されかねない。
 
 でもね、
 実際に全てかなうと、こんなもんだよ。
 覚えておくと良い。
 
 その上で自分の寿命を、どう使うのか?
 そりゃ、本人の自由さ。」
 
そう話すと、エグデルウォンク星人球は、
空の彼方から宇宙へ、飛び去って行きました。
 

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【つつじの原宇宙線研究所 バルコニー】
 
マキノハラ
「うわぁ、会いたかったなあ。」
 
ナワテ
「こっちは、生きた心地もしませんでしたよ。
 
 でも博士、本物なんでしょうかね?」
 
マキノハラ
「わからんねえ。
 
 科学レベルのような物は、
 下はどの程度下か、それなりにわかる物だが、
 上は、一段階上か十段階上か、見分けにくい。
 
 絶対的な、完全無欠・全知全能の神にはなれなくとも、
 科学レベルの、開きがあるほど、
 相対的には、事実上の神になれる。
 
 絶対的な、完全無欠・全知全能の神を、
 装う事なら、相当程度可能だ。」
 
ナワテ
「ですよねえ。
 少なくとも我々よりは、上っぽかったし。
 
 でも、知能指数や科学レベルって、
 上なら高潔ってわけでも、無いんですね?」
 
マキノハラ
「まあね。
 
 ある程度のタイプや、傾向はあると思うが、
 こう言う物は、絶対ではない。
 
 地球人だって、知能指数の高い者が、
 例外なく高潔や、聖人とは限らない。
 
 金持ち喧嘩せずって、ありゃ方便だよ。」
 
ナワテ
「でも…
 科学がどんどん進歩したら…
 
 それに、反比例して、
 虚しくなっちゃう日が、来るんですかね?」
 
マキノハラ
「まず我々が生きてる間は、そんな心配いらんよ。
 
 出来ない事の方が、ずっと多いし、
 卑近的、俗っぽい事で、悩まされるもんだ。」
 
と、呼び出しチャイムが鳴ります。
 
『あ、所長、
 2研に、行って下さい。
 
 新調したバイオプローラの、画像処理が、
 青寄りになって、うまく行かないとかで…』
 
マキノハラ
「ほらね。」
 
面倒くさそうな顔で、パイプをひっつかみ、
早歩きで出て行く、マキノハラ博士。
 
苦笑しながら、ゆっくり空を眺めるナワテでした。
 
【第313話・終わり】

 
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