第137話 『ニューヨークのバルタン』  (Bパート)

 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【参謀室】
 
6参謀が、集合している所に、
スガノ副長官が、入って来ます。
 
一礼する6参謀。
 
スガノ
「長官は、パリとの対応に、専念されていますが、
 我々の方針は、決まりました。
 
 カジ参謀。」
 
カジ
「はい。」
 
スガノ
「USTに、ニューヨークに飛んでもらいます。
 
 その後、光波バリアドームを越え、
 バルタンへ、攻撃を開始します。」
 
カジ
「はい。
 
 って、え?
 ええっ!?」
 
スガノ
「作戦内容は、ファイルにまとめましたが、
 詳しくは私からも、追って説明します。
 
 スズタニ参謀。」
 
スズタニ
「はっ。」
 
スガノ
「これから、ロシアへ飛びます。
 速いやつを、お願いします。」
 
スズタニ
「わかりました。」
 
スガノ
「最後に、ナガサウラ参謀。」
 
ナガサウラ
「はい。」
 
スガノ
「ボディーガードを何人か。
 
 花見のお供ではありません。
 荒事になります。
 
 腕の立つのを頼みます。」
 
ナガサウラ
「了解しました。」
 
ミシマ
「あのう… 我々は?」
 
スガノ
「今回の作戦では、3軍の出番はありません。
 適当に、やっていて下さい。」
 
ミシマ
「ま、まさか、俺らが、ハブられるとは…」
 
マトバ
「しょうがねぇだろ。
 相手は、海の向こうなんだから。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*

 


 
【UST作戦室】
 
モニターでは、極東支部の見解が、
『ロシア、中国らの、バルタン共栄派の主張は、
 平和優先の観点から、大いに検討の余地が有る。
 
 まずは世界全体の、平和と安全を考え、
 最大多数の賛成案を、構築したい。』
と、発表されます。
 
ちょっと、ショックを受けた様子の、
ゴウリ、ナワテ。
 
ゴウリ
「何、言ってんですか、長官。
 こんな時にまで、優等生みたいな事を。」
 
ナワテ
「今からでも、遅くはない、
 考え直していただきましょう。」
 
そこへカジ参謀を伴って、スガノ副長官が入って来ます。
 
スガノ
「UST、出動して下さい。」
 
思わず顔を見合わせる、全員。
 
ナワテ
「え?
 ええっ!?」
 
スガノ
「どうしました?
 
 一刻も早く、出動したいと、
 手ぐすねを引いてたんじゃ、なかったんですか?
 
 それとも何か、質問でも?」
 
ゴウリ
「いや、それは… そうなんですが。
 
 改まって言われると、別に無いと言うか…」
 
ナワテ
「質問だらけと言うか…」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
地下格納庫内の通路を、移動して来たアーク2号が、
5のゲートの前で止まると、上がっていきます。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【つつじの原宇宙線研究所】
 
望遠鏡が引っ込むと、天文ドームがスライドして開きます。
 
少しすると、垂直に飛び上がって行く、≪アーク2号≫。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【≪アーク2号≫ コクピット】
 
作戦ファイルを見ていたユルガ隊長が、目を上げます。
 
ユルガ
「なるほど。
 
 ≪アーク2号≫で、沖まで行って、
 そこから水中、地中と侵攻して行き、
 ニューヨークの、バリア発生器を破壊する。」
 
クロス
「あれだけ広大な地域に、バリアを張ってるんです。
 
 最初の発生地の、ニューヨークに、
 エネルギー施設となる、円盤を、
 侵入させて、いたわけですね。」
 
ユルガ
「地元のIDM、USTが調べてくれている。
 地下には、バリアは無い。
 
 地下関連は、最初に一度封鎖したきり、
 以降は無人で、放置されているようだ。」
 
ゴウリ
「ゴース星人の時に、してやられた方法を、
 今度は我々で、やるって事か。」
 
ユリコ
「地下作戦なのに、≪エル≫ではなくて、
 ≪アーク2号≫なのは、なぜなんでしょう?」
 
ユルガ
「こっちもノータッチと、思われてるから、
 地下に関心が、行って無いんだろうが、
 ≪エル≫で地上から潜りだしたら、わかるだろう。
 
 ≪アーク2号≫なら、海中から直接地下へ行ける。」
 
ユリコ
「あ、そうか。
 
 でも、≪アーク2号≫の巨体で、
 海からニューヨークまで、潜ったら…
 
 ニューヨークの地下、
 交通機関もライフラインも、あるでしょうに、
 メチャクチャに…。」
 
苦笑するウロス。
 
クロス
「こっちが優先… って事でしょうね。
 
 それに、まさか、
 そんな手段に出るとは、普通思わない。
 
 今度はこっちが、それをやると。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
この作戦は、功を奏しました。
 
ニューヨーク、グレートサウス湾沖でアメリカ艦隊と合流、
一度補給をした≪アーク2号≫は、静かに潜航。
 
海中から地中を潜り、そのままニューヨークの、
エネルギー施設の役をしていた、バルタン巨大円盤に、
体当たりをして、半壊させます。
 
これでニューヨーク~ワシントンDC間を、おおっていた、
コンパウンド光波バリアーフィールドが、消滅。
 
時を同じくして、バリア外周でカモフラージュしていた、
各地区のIDM、USTが突入。
 
それぞれの地域ごとで、戦闘が起こりますが、
今度はバルタン側が、虚をつかれた形になり、
徐々に、掃討されて行きます。
 
極東USTも、バリアーフィールド破壊後は、
≪アーク2号≫を降りて、コマンド作戦に移っていました。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
意外にもワシントンDCが、先に奪回されます。
 
こちらの方が、バルタンの駐留勢力が少数だった上に、
アメリカの威信をかけて、精鋭チームが来ていたのもありました。
 
反面、ニューヨークでは一体のバルタンが巨大化、
周囲の部隊の攻撃を、物ともせず、
360度に重力荒らしを吹きだして、抵抗していました。
 
ビルの陰に入ると、周りを確かめ、
ウルトラホープを、フラシュさせるクロス。


 


 

 

閃光と共に、ゾフィが現れます。

自由の女神を背に、対峙するバルタンとゾフィ。
 
スラッシュショットを放ちながら、突っ込むゾフィ。
バルタンも同じように駆けよります。
 
スラッシュショットが弾かれたのを見て、
一瞬、おや?と言うような表情を見せる、ゾフィですが、
バルタンのハサミの付きをかわすと、そのまま腕を持ち、
いなすように、投げ飛ばします。
 
振り向く隙をついて、スラッシュショットを2連しますが、
やはり同じように弾かれると、バルタン星人は笑いながら、
左右横にどんどん、分身して行きます。
 
ナワテ
「スペルゲン反射鏡だ。
 
 スペルゲン反射鏡を、開閉後の胸だけでなく、
 全身くまなく、コーティングしたんだ…。」
  
ネオアタックビームで、端から掃射すると、
全ての分身が消えて、笑い声だけが残ります。
 
キョロキョロとバルタンの行方を捜す、ゾフィの足元から、
ふいに炎が立ち上がり、渦を巻いて襲うと同時に、
上空には吹雪が、逆向きに渦を巻き出し上下を閉ざします。
 
その狭間で苦しむゾフィですが、やがて姿が消えます。
 
そのまま、炎と吹雪の渦巻く空間で、
どこからともなく移動音、衝突音が聞こえると、
当然、空中に現れたゾフィとバルタンが、
組み合ったまま、落ちて来ます。
 
唖然とするゴウリ。
 
ゴウリ
「こ、これじゃ、援護のしようが無いぞ!?」
 
離れた瞬間、M87スパークソードを作り、
真っ向から切り下す、ゾフィですが、
ハドソン川の中に、垂直に沈んで避けるバルタン。
 
ユリコ
「隠れる水深なんか無いのに…。」
 
地面から現れた、ハサミのみが口を開け、
重力荒らしを吹きかけると、側転で避けるゾフィ。
 
再びスラッシュショットを放つと、今度はハサミに命中し、
爆発して消えますが、笑い声は続いて、
反対側の地面から、スーッと垂直に現れます。
 
ハサミを開けると、光線を放つバルタンに、
M87光線で押し返す、ゾフィ。
 
M87光線に押される物の、命中の瞬間に、
光波バリアーを張り、光波バリアーと、
スペルゲンコーティングで、M87光線を防ぎきるバルタン。
 
一度、M87光線を、諦めたように止めると、
再びバルタンは笑いながら、正面から向かいます。
 
ゾフィが構えると、また光波バリアーを張るバルタン。
 
ゴウリ
「駄目だ。
 
 バルタンの方が、速い。」
 
が、
ゾフィが上に向かって、手から何かを出すと、
それを線状に収束させて、降り下ろします。
 
線は光波バリアーを突き抜け、バルタンを真っ二つにしました。
 
異様な煙を吹きながら、2つに分かれた中から、
さらにもう一体の、バルタンが現れ、
バリアーを張りながら、飛んで逃げます。
 
ゾフィは落ち着いて、スパークショットを放つと、
今度はバリアーを、破壊して命中。
 
炎を吹きながら、墜落したバルタンは、
地上で改めて、大爆発を起こしました。
 
ゴウリ
「ゾフィの最初のは… 何だったんだ!?」
 
ナワテ
「光波バリアーは、あらゆる光波・熱線を跳ね返す。
 
 そうか… ウルトラ水流ですよ。
 ウルトラ水流を集束させ、高圧の一本の線にしたんです。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
ニューヨーク~ワシントンDCは、大被害を受けた物の、
事件が終わるや、急ピッチで復興は進められました。
 
また、ロシアや中国、イラクなどのIDMも、
当初の声明は、回線をバルタンに乗っ取られていた、
あるいは代表・スポークスマンが、
バルタンにすり替わられていた、あるいは操られていた、
として、事情を説明。
 
何とか徐々に、沈静化を取り戻しつつありました。

 


 
【UST作戦室】
 
カジ
「今回はみんな、ご苦労だった。」
 
そこへ、
フジハラ長官、スガノ副長官が入って来ます。
 
フジハラ
「良くやってくれた。
 
 何とか命運を保てたよ。」
 
ゴウリ
「しかしロシアや中国は、ちょっと調子よくないですか?
 
 あわよくば合衆国を、弱体化させて…なんてスケベ心も、
 本心では何割か、あったんじゃ?」
 
フジハラ
「さ、どうだろうね?
 
 ただ、それが、どんなに怪しくても、
 はっきりさせて、プラスが無いなら、
 彼らのメンツを立たせてやるのも、選択肢の一つだ。」
 
ヒデコ
「真実を暴いて、親バルタン派をあぶり出し、
 世界がまたギスギスしたり、きな臭くなるより、
 対面を保った方が、良いって事ですか?
 
 大人なのかも知れないけど、何かいやらしいわ。」
 
フジハラ
「親バルタンと言う、わけでは無いさ。
 どの国も単に、付け込まれただけでね。」
 
ナワテ
「それで説得工作の、時間を稼ぐ事も含め、
 極東は、どちらにもよらずに、
 親バルタンと、抗戦派の、
 間を取り持つような立場に、いたんですね?」
 
フジハラ
「間を取り持っていたのは、嘘では無いよ。
 
 表面上の理由と、本音の理由が違っていても、
 取る行動が同じなら、勘繰られにくいだろう?」
 
ナワテ
「長官が策士だとは、知りませんでした。」
 
フジハラ
「大きな声では言えないが、今回の策は全部スガノ君だ。
 私は表舞台に、追われていただけでね。」
 
ナワテ
「す…。」
 
一瞬、真顔で、声を詰まらせ、
スガノ副長官を見やる、ナワテとゴウリ。
 
スガノ
「次があったら、こうは行きません。
 
 みなさん、気を引き締めて下さい。」
 

ヒデコ
「これでバルタンが全滅…とは、
 限らない物ねえ…。」
 
ナワテ
「ふんどしを締めて、かかりませんとね。」
 
ゴウリ
「ふんどしを、締め直すだろ?
 
 今からふんどしを、締めるんじゃ、
 これまでは、丸出しじゃねえか。」
 
妙に神妙に始まった、ささやかな打ち上げですが、
失笑と共に、空気が和らぐと、
気を取り直して、飲み物と軽食を取る一同でした。
 
 
【第137話・終わり】

 
☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ にほんブログ村  特撮ランキング