【206Sの実車展示は国内唯一?】
4年ほど前、漫画「サーキットの狼」の主人公、風吹裕矢の歴代の愛車の車種と、そのミニカーについて投稿したが、風吹のフェラーリ・ディーノ246GTを改造した設定のディーノRSのモデルとなった車は、フェラーリ・ディーノ206コンペティツィオーネ(「コンペティツィオーネ」はレーシングカーの意味)で、それは高知県香南市の四国自動車博物館に展示してある旨、その記事で説明したと思う。
しかしそれに疑問を抱いていた者もいるはず。そう、見た目がやや違う。’21年時、同博物館に行った際は、その展示車、ディーノ206S(「S」はスパイダーの略)コンペティツィオーネのテールはあまり気にしてなかったが、去年、再訪問した際、壁のミラーに映ったテールを写真に撮り、帰宅後、パソコンで明るさを上げて拡大してみると、京商のフェラーリ・コレクションでミニカー化されている206等と比べると全く違う。
尚、RSのモデルとなったディーノ206コンペティツィオーネは、プロト・レーシングの206Sをもとにピニンファリーナが手掛けたコンセプトモデル。
そこで206じゃなく、206Sのミニカーをネットで探すと、イタリアのミニカーブランド、アートモデルの1/43のものがヒットした。テールやボディのスタイルも四国自動車博物館のものと同じ。ただ、ヘッドライト周りとサイドダクトの形状がやや異なる。
四国自動車博物館の当該車の解説板には、206Sは1966年から製造が開始された旨、説明されていたが、展示車自体の年式は未記載だった。V6エンジンで最高出力220hp、最高速度270km/h、総排気量1986cc。
一方、ミニカーの方の車は1966年式、218hp、最高速度286km/h、総排気量1986cc。もし年式により、スタイル等、異なるのなら、ミニカーの方は初期型、博物館の方は後期型かも知れない。
後期型の方が、最高速度が低下している点はやや気になるが、1967年からレースのレギュレーション変更により、必要となった量産体制をフィアット社の協力の元、成し遂げたということだから、それに伴い、一部スタイルや性能に変更があったことも考えられる。
車をミニカー化する場合、初期型を商品化するケースが多いから、アートモデルでは1966年式物をミニカー化したのだろう。
因みに記憶では、2~3年前、このミニカーと全く同じスタイルの実車の写真が、岡山県のマビ昭和館前で撮られていた。倉敷旧車倶楽部関係者の車なのか、はたまた館長の知人の車か。ただ、今ではいくら検索してもその写真や情報はヒットしない。
ミニカーの出来栄えについては、同じイタリアの「ベストモデル」のような雑さは見られない。各パーツが歪んで設置されていることもない。ただ、ルームミラー全体がアクリルで作られていて、その作りがやや雑。ボディの赤の上から塗った、水色のセンターラインの塗装の劣化も早い。
車内の再現度もベストモデルよりは劣る。それでも2ミリほどのパーツはかなり精巧に出来ている。この精巧さはベストモデルより優れている。
前述記事でも記したが、四国自動車博物館では風吹裕矢の歴代の愛車、ロータス・ヨーロッパ、フェラーリ・ディーノ246GT、ランチア・ストラトスを展示している他、スーパーカーブーム時のキング・オブ・スーパーカー、カウンタックLP400や前期と後期(ボディ以外は前期の試作車)のトヨタ2000GTまである。
これらを展示しているのは、西日本ではここだけだろう。東日本では「サーキットの狼ミュージアム」位だろう。狼ミュージアムでは、劇中の架空の車、ディーノRSを改造により、仕上げて展示しているが、モデルとなったディーノ206コンペティ・ツィオーネ或いは、その元のモデル、プロト・レーシングの206Sを展示している施設は国内では、四国自動車博物館以外にあるのだろうか。
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