手を離して目を離さない子育て・親育て

自閉症スペクトラム(ASD)親娘の日常(過去・現在)を中心に書いています

お薬の力を借りながら成長中(1)

娘がコンサータ錠を服用して2年が経過しました。

薬を使用することには賛否あり、体質的に合う・合わないもあります。

ここでは我が家の場合…として書いていきます。

ADHD治療薬について

治療薬には、コンサータストラテラ、インチュニブがあります。その中で娘が服用中の「コンサータ」について『コンサータ錠を服用される方(18歳未満)とご家族の方へ』という冊子より一部抜粋して記しておきます。

「AD/HDについて」

脳の発達のかたよりが関係していると考えられており、親のしつけや育て方が原因ではありません。

AD/HDは、脳の機能の発達・成熟にかたよりが生じた結果、症状があらわれると考えられていますが、それがなぜ起こるのかは、よくわかっていません。

AD/HDでは、脳内の神経伝達物質であるドパミンが不足し、神経伝達に異常がおこっていると考えられています。ドパミンが不足すると、「物ごとを順序立てて行う、やることに優先順位をつける」といった「実行機能」が低下したり、「報酬系」と呼ばれる機能が低下して「待つことができない」といった行動があらわれるといわれています。

治療は「心理社会的治療」と「お薬による治療」が2本の柱です。

治療は、AD/HDの患者さんが自分の行動の特徴を理解し、状況に応じた適切な行動を取れるようになるための「心理社会的治療」と、注意集中力の改善や多動性、衝動性のコントロールを目的に行う「お薬による治療」を組み合わせて行います。

お薬は一時的にAD/HDの患者さんが自分自身をコントロールしやすくなるように手助けをしますが、最終的にはお薬の力を借りなくても、自分で行動をコントロールできるようになることが、治療の目標です。

コンサータ錠の特徴と役割」

コンサータ錠は、神経伝達物質の働きを活性化します

コンサータ錠は、メチルフェニデート塩酸塩を主成分とするお薬です。脳内の神経細胞の間で情報を伝える役割を果たしている神経伝達物質ドパミンノルアドレナリン)の働きを活性化することにより、AD/HDの症状である不注意、多動性、衝動性などの症状を改善すると考えられています。

薬の服用を決めた時

保護者向けの研修等で、薬の服用は「6歳以降。処方できる病院・医師は限定される」と学んでいました。

(状況や医師の判断によっては早期から服用されることもあるようです。)

環境を整え、運動等のトレーニングを続けていこう! と親子で取り組み、そのまま薬を服用しなくてもコントロールできる状態に達することができたらいいなぁと思っていました。

しかし、ASDや感覚過敏が原因と思われる行動もあり、日常生活が制限され、QOLが大きく損なわれました。時々ではありますが、同級生とトラブルがありました。「園や小学校からまた電話がかかってくるのではないか? 保護者からクレームが来るのではないか?」と常に怯える日々。

不注意によるミス → 同級生に失敗をとがめられる → 体調不良の上に、自分の気持ちを理解してもらえないことが重なり爆発「大きな声で泣き叫ぶ」 → 「こわい~!」「うるさい~!」 → 「うまくいかない…」自己肯定感が下がる → 失敗体験が重なる

幼稚園や小学校の先生方の理解と、上手に接してくれる同級生数名がいてくれたから、通園・通学できているのだと思います。娘も5歳以降、話しかけて無視されても、チクチク言葉を言われても、手を出すことはなく涙をこらえて耐えていました。それでも上記の悪循環にハマり、親子ともに疲れ切っていました。

私自身の経験から、このまま発達を待っているだけでは関係が悪化し修復できなくなるかもしれない……娘と周りの人たちどちらにとっても好ましくない。そして、二次障害に陥り立ち上がれなくなってしまう!と感じ、小2秋、1年半ぶりの療育センター受診に至りました。

家や学校での様子を話し、娘や私の様子を見て、主治医の先生から

「お薬を使う方法があります。」と提案していただきました。

事前に薬について調べていました。ドパミンについては、亡父が神経伝達物質ドパミンが減少することで起こるパーキンソン病であったので少しだけ知識がありました。

身体の発達もやや遅く、7歳半で満6歳程度に達したのではないか?という思いもありすぐに決断。

「お願いします。」

不注意優勢タイプで、多動・衝動性は少なく、困り事が主に学校であるため「コンサータ」が良いのではないかと説明を受けました。

一番少ない量の18mg、「学校へ行く日」や「休日の習い事等で集中力を必要とする日」に使用。副作用の心配もあるため、休日に服用を始めて慣らしていくことになりました。

     f:id:thebrokenwing:20191017142356j:plainさんによるイラストACからのイラスト)

服用して変わったこと

服用し始めてすぐに、明らかな変化が2点ありました。

多弁が減る

家の中ではずっと何かしゃべってるんじゃないか? 同じことを何度も話してるよ! というのがピタッ!となくなりました。服用前と変わらず、授業中に必要な発言はどんどんしています。頭の中に浮かんだものをすぐに話したい!という衝動が減ったようです。

薬が効いていない時の方がいっぱい話をして楽しそうなので、メリット・デメリットを感じています。最近では、薬を服用しない日でも「必要以上に話す。同じ話を何度も繰り返す。」はほとんどなくなり、自分でコントロールできるようになってきたのかなと思います。

今でも娘がトイレに入っている時や私がトイレに入っている時に「そういえばねぇ~」と頻繁に話しかけてきますが、「トイレが終わったら話そうね。」と言えば中断してくれます。(^-^;

部屋の中を行ったり来たりがなくなる

つたい歩きや一人で歩くができるようになった1,2歳頃から、部屋の中央にある座卓の周りを何かブツブツしゃべりながら、ず~っとぐるぐるしていました。必ずお気に入りのポンポンのような物を持って。ダンナ曰く

「マグロ(回遊魚)みたいだな。」

机を部屋の端に寄せて周れなくしてみたら……、やっぱりポンポン持ってブツブツ言いながら部屋の中を行ったり来たりしていました。(・□・;)

これが、服用始めた日からピタッとなくなりました。

この行動もドパミンの影響だったの!? 薬の効果がない時には、またウロウロ……。

最近になり、マグロ行動も見られなくなってきました。

不注意なミスは多いけど爆発しなくなりました

相変わらずケアレスミスは多いし、連絡ノートを書けなかったり(関連過去記事:連絡ノートを書けない。。。、体のぎこちなさ(関連過去記事:「努力が足りないんじゃない?」っていう目で見られると、けっこうヘコむんです。のように薬では改善できない部分はあります。

しかし、大きな声で泣き叫ぶ“爆発”は減りました。

特に探し物が苦手で、必要な本・鉛筆・消しゴムが見当たらなければすぐに
「うわぁー、ない!! どこ!!??」
とパニックになって大声を出すことがあります。以前は1時間くらいパニック状態が続いていましたが、最近は一度「うわぁ~!」と声を出した後すぐに感情を抑えることができます。

 

薬の効果かどうかはわかりません。。。

ちょっとだけお薬の力を借りながら成長中です。