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“Invest in Kishida!” に大門みきしがツッコむ

岸田首相が5月5日にロンドンで行った講演があまりにもデタラメだったので、共産党 大門議員からツッコみが入った。
2022年05月10日参議院 財政金融委員会から大門みきし議員の質疑から。
(なお、枠内の発言は国会の正確な書き起こしではありません。)

 

大門氏「岸田首相がロンドンの金融街シティで講演をしまして『貯蓄から投資へ』ということで、日本の個人金融資産2千兆円を、貯蓄から投資へ誘導すると。なおかつ『資産所得倍増プラン』というのを始めると表明されました。金融庁、これはいったい何を仰っているのですか?」

 

官邸サイトの講演内容書き起こしから、大門氏が触れる部分をを引用する。

 

そして、もう一つ重要なストック面での人への投資が、「貯蓄から投資」です。我が国個人の金融資産は2,000兆円と言われていますが、その半分以上が預金・現金で保有されています。この結果、この20年間※で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になったのに、我が国においては1.4倍にしかなっていません。ここに日本の大きなポテンシャルがあります。
私は、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現いたします。そのために、NISAの抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員して「資産所得倍増プラン」を進めていきます。

2022年5月5日「ギルドホールにおける岸田総理基調講演」

 

金融庁総合政策局立案制作審議官イトウ氏「人生100年と言われるように急速な高齢化の進展や働き方を含めた人生の多様化など社会環境の変化が生じている。こうした中、各個人が生涯にわたって豊かな人生を送るためには、老後の人生やさまざまな資金を確保するため、安定的な資産形成に取り組むことが重要だと考えている。こうした背景から富裕層に限らず中・低所得者層を含めたすべての方々が資産形成に取り組みやすい環境整備をすることが必要だとして、金融庁も貯蓄から資産形成へという方針を掲げている。」

 

すごいね、低所得層もですって。

 

大門氏「資産所得倍増というのはどういう意味ですか?」
イトウ氏「利息だとか配当などによる金融所得を倍増しようということ」
大門氏「貯蓄から投資だから、今まで預金しかしていなかった人が、利息、年間100円くらいですかね?その人が株に投資をしたら200円は確保してあげますよ・・・ということなんですかね?それ、ロンドンまで行ってする話ですか?『資産所得倍増』の根拠は?」

 

たしかに。「資産所得倍増」とはいったいなんだろう。

 

イトウ氏「日本の家計の金融資産は預金が大きな割合を占めている。預金には現状ほとんど金利が付いていない。当然、投資にはリスクがあって必ずしも増える場合だけとは限らないが、長期分散で積み立てていけば比較的、預金をしているよりも平均的にも利回りが良い。」

 

厳密に言えば、一国の総理が他国の金融街で「資産所得が倍増する」などと確約することがそもそも非常識で、もしこれが証券マンや銀行員だった場合「必ず倍増する」と勧誘したら法に触れることだってある。

 

大門氏「Invest in Kishida!というのは、安倍さんがニューヨークでBuy my Abenomicsと言ったのをまねたのだと思うが、あの時は株価が急上昇していた。今は・・何もないですよね。なんで急にこんなこと言ったのか、鈴木大臣、何か相談されましたか?」
鈴木財務大臣「聞いておりません」
大門氏総裁選挙の時に『所得倍増』ということを公約として掲げられていたが、所信表明演説ではすっぽり抜け落ちて、なくなってしまった。『1億円の壁』と一緒ですよね。『所得倍増』も3%の賃金引上げだったら、倍にするには二十数年かかる。そんなことを簡単に仰って簡単に取り下げる。去年の12月なんかは、経済三団体の新年祝賀会に出席されて、今度は『若者所得倍増』、これはもうほとんどだれも注目しなかった。こういうことを繰り返し一国の総理が『所得倍増』『なんとか所得倍増』などと発言されるのはいかがなものか。」

 

岸田首相は「倍増」という言葉を、その時々いろんな形で打ち上げ、そのたびに知らん顔でなかったことにしている。

 

大門氏「首相は講演で、日本の個人資産の半分が現預金で保有されて、この10年間でアメリカでは家計金融資産が3倍になったと。英国は2.3倍になったのに、わが国では1.4倍にしかなってないと言われたが、なぜ日本は伸びていないのか?アメリカと日本を比較して、なぜ家計貯蓄に投資が占める割合がアメリカでは高いのか、これには理由がある。これはリスクを取りたくないとかではなく、高齢化が一番の原因。アメリカでの65歳以上が占める割合は14.6%、日本は26.6%で、若い人は長期のリスクが取れるが、高齢ではそれができない。だからこの構成比は教育して変わるようなものではない。
そして各国とも金融資産運用が伸びているのはなぜか?これは『準富裕層以上』と言われる人が増えているからだ。この部分が大幅に伸びている。『日本は伸びていません』というのなら、日本では富裕層が他国ほど伸びなかったということになる、総理の講演に金融庁の人が関わっていないのなら、官邸の周りの人が勝手に言ったのかもしれないが、認識やデータが間違っているということを伝えるべきではないか。」

 

しかし、今思うとあの現行は官邸周りのどういう人が書いたのだろうか。
岸田官邸になって、財務省出向の官僚が増えたと思うが、どうも金融のことにはあまり詳しくない人がノリで書いたように見える。経産省当たりの役人か?

 

大門氏「小泉政権下、不良債権がとんでもないことになっていて、銀行の間接金融というのはリスクがあると。だからこれからは直接金融、家計から企業に直接投資してもらおうと、間接から直接金融への流れを作ろうという機運があった。それはみんなの所得を増やしてもらおうということではなくて、金融機関の都合から始まっている。しかも家計が株を買ったって、市場に出回る株を売ったり買ったりするだけで、その資金は企業には行くわけではない。新株発行を買い付けでもしない限り、企業に行くことはない。ただ株式市場に呼び込むだけ。誰がこれで得をするのか?金融機関です。預金も貸し出しも金融機関にはリスクがある。しかし、家計から直接投資商品を買ってもらって、リスクは買った人が負う、金融機関は手数料が稼げる。そういうビジネスモデルの転換があった。『貯蓄から投資へ』というのは、実は金融機関のために始まった戦略案なのだ。これで金融機関はリスクを取らずに手数料だけを稼げる。」

 

小泉政権下から始まったこのビジネスモデル、当時は駅前にある銀行や証券会社のような金融機関の店舗が手数料を取りながら商売をしていたが、昨今ではオンラインでの取引が多くなり、大手の金融機関ではこの手数料の売り上げさえもが減っていることが想像される。
高齢者が株を買うとなれば、当然銀行員などから対面・おすすめによる購入になるだろう。手数料はオンラインよりもはるかに高いだろうし、売り上げ成績などの理由で販売員に悪意があった場合、なにより高齢者が危険にさらされる。

 

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