囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

政治の心得㋭

2021年09月23日 | ●○●○雑観の森

 

【享保の改革を支えた名奉行のはなし の巻】

 

 

大岡越前守忠相が江戸町奉行だった時、

儒学者の荻生徂徠(おぎゅうそらい)を

招いて供応のうえ、

「私は天下の大役を仰せつかっていますが、

学問がなくて、

諸事に行き届かぬことと思います。

先生の門に入って学びたいものです」

と言った。

 

徂徠は、

「あなたは優れた裁きをされています。

今から学問の道にお入りになると、

学に傾き、

お役目のほうがおろそかになり、

かえってお勤めが粗略になる恐れがあります」

と答えた。

 

その言葉に越前守は、

「学問をする者は、

お役目が務まらぬ

と申されるか」

と尋ねた。

 

すると、徂徠は答えた。

「学問は大道であって、

ある時、急に思い立って始めても

役に立つものではありません。

なまじ、理屈がわかると、

万事が悪く見え、

かえって役に立ちません。

奉行のお役目は

天下の風俗を取りさばき、

正邪をただすことにあります。

これまでのお裁きで十分です。

もし、学問をなさりたいのなら、

ご隠居後でよいと思います。

元来が優れた方ですから、

どのようにも達成できることでしょう。

ご子孫への戒めにもなりましょう。

決して無益なことではありません。

当分の学問は、

かえって妨げになりましょう」


         (出典:八水随筆)

 

 


   *  *  *

 

 

就かせてはいけない人に

権力を握らせるとどうなるか。

意欲ばかりが先走りしても

出来ないものは出来ない。

余計な事をやらかしても

世のため人のためにならぬ。

 


人材払底の蛸壺の中で

ちまちまと選択肢を探るのは

もうそろそろ限界である。

かといって他の既成政党を

見渡しても……。

帯に短し襷(たすき)に長し。

 

 


哲人王 プラトンは中期対話篇「国家」で<理想国家にふさわしい君主像>を提示した。将来の王は、育成するべきであるとし、適性のない者をふるい落とし、厳しく選抜することを説いた。候補者たちは数学、体育、音楽などの基礎科目・予備学科を習い、その過程で克己心や清貧などの徳を身につけることを前提に、さらに哲学を学ばせ、最終的に全てを身に付けた者に理想国家の統治を任せる。この哲人王による統治が最も優れているとした。

 


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