2019年2月東大阪市のセブンイレブン加盟店オーナーが、本部の同意なしに勝手に24時間営業を止めて時短営業を始めたことが話題になりました。メディアにも大きく取り上げられ、この本部と加盟店との営業時間を巡る争いは、フランチャイズが抱える基本的問題としてその後の加盟店訴訟にも影響を与えています。

 

 この時短営業に対しては本部側が、19年12月にフランチャイズ契約の解除を行いました。店舗の明け渡しをオーナーに対し求めています。20年1月には本部側が提訴、2月にはオーナー側も提訴に踏み切っています。この年9月、公正取引委員会が「24時間営業の強制は独禁法違反」という見解を公表しました。

 

 21年5月には、本部側がオーナーの店舗の隣に仮店舗を造って営業を始めます。そして今回、大阪地裁はオーナー側に対し「契約解除に伴う損害金1450万円と、契約解除後に店舗引き渡しに応じなかったことによる損害金1日当たり11万円の支払い」が命じられました。

 

 本部と加盟店による訴訟合戦によって争われたのは、セブンイレブン本部による契約解除の正統性でした。判決では、本部が時短営業を容認する意向を示し、契約内容の変更を持ち掛けたにも関わらず、オーナーは応じなかったこと。そのうえ、来店客にオーナーが乱暴な言動をしてセブンのブランドイメージを傷つける対応があったとも言っています。

 

 これは開業にあたっては、オーナーとしての対応が慎重であると同じように、裁判を起こすときも慎重な対応は欠かせません。この裁判を見ていて感じたことですが、オーナーの裁判を起こす目的が明確でなかったことです。コンビニ大手3社のなかでは、最も強行と思われたセブンが時短容認の姿勢に転じたことで、当初の目的は達したと思われたのに欲をだし過ぎたとしか思えません。

 

【ひと言】

 多分、本部に逆らって勝手に時短営業をするなど、相当チャラの立ったオーナーだったようです。またキャラの立つような人でないと、本部の指示を公然と破るようなことはできないのかも知れません。裁判のようなときは、オーナー個人が戦略の立案と実行とをするより、何人かのチームの力で本部と渡り合わないと、オーナーと弁護士だけで立ち向かうのは無理があります。今は、一人で全てを取り仕切るのは難しい時代です。

 


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