海外旅行回想録(21) ー アメリカ(前編)

はじめに

この記事のシリーズでは三十数年前に行った海外旅行を中心に特に思い出に残っている観光の回想録をご紹介しています。

この記事ではアメリカ東海岸への旅行の体験(前編)として主にニューヨークおよびその近郊での観光をご紹介します。

21. アメリカ(前編)

アメリカへの旅行では西海岸、内陸部、東海岸、フロリダ半島など色々な場所を何度も訪れています。私の海外旅行の訪問国としてはアメリカへの旅行が出張・観光旅行を含めて数十回程度あります。出張で訪れた場合でも土・日の休日の時には最大限周辺の観光を楽しみました。

アメリカは先進国の代表であり、ホテル、交通機関、レストラン、劇場、娯楽施設、ショッピング街などインフラがとても整っており、また雄大な大自然にも恵まれ、さらに英語が通じるということが海外旅行の行先としてはとてもありがたい場所になっています。

活力豊かな国

アメリカは移民の国と呼ばれています。1620年にイギリス国教会から迫害されていた清教徒(ピューリタン)102名が自由な新天地を求めてメイフラワー号に乗ってやってきてプリマスに定住した時がアメリカの始まりと言われています。

アメリカ合衆国がこれまでに受け入れた移民の数は世界のどの国よりも多く、合計5,000万人を超え、近年も年間70万人近くを受け入れ続けています。

人生に高い望みと強い志を持ち開拓者精神や勤労意欲豊かな世界の多様な人々が常にアメリカに入ってくることによって、アメリカは継続的な人口増加を保ち、活性化した国力を維持し、経済や産業、科学・教育・文化などを発展させ続けることができる仕組みになっていると思います。

残りの人生をかけて不退転の覚悟で移住してくる人々は性格が概ね挑戦的で積極的です。また性格も楽天的で仕事力、生活力にとても優れていると思われます。

このように昔から能力の高い多様な移住者を受け入れてきたアメリカでは、マンネリ、停滞を許さない風土が築かれて産業、経済、金融、医学、技術、文化など多くの面で世界をけん引する国になっているのだと考えられます。

シリコンバレーなどの例でも良く分かるようにアメリカでは起業がとても活発で実際に世界的な大企業に育っていく成功例もたくさんあります。

少子高齢化と人口減少が進み、社会や産業の変革や改善が慣例重視の古い体質でなかなか進まず、次第に元気がなくなっていく日本から見ればうらやましくも思えます。

2021年7月時点での世界の企業の時価総額ランキングの上位10社は、アップル(米国)、マイクロソフト(米国)、サウジアラムコ(サウジアラビア)、アルファベット(米国)、アマゾン・ドット・コム(米国)、フェイスブック(米国)、テスラ(米国)、バークシャー・ハサウェイ(米国)、テンセント・ホールディングス(中国)、台湾積体電路制造(台湾)となっています。

上位10社にアメリカの企業は7社も入っておりしかも1位、2位を占めています。ここに挙げたアメリカの大企業のうちアップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックは日本でも多くの人が日常的にお世話になっている超有名な企業です。

ちなみに上のランキングで日本の企業がようやく顔を出すのは35位のトヨタ自動車になります。

また英国のタイムズ・ハイアー・エデュケーションの調査によると世界の大学ランキング(2021年)でもアメリカの大学はトップ10位に8校が入っています。一方日本の大学がはじめて顔を出すのは東京大学の36位です。

このように企業活動と教育レベルを見ただけでもアメリカはとても活力のある国だと言えると思います。

車社会

アメリカは以前より「自動車大国」や「車社会」とよく呼ばれてきました。これは自動車生産台数や国内での車の量がとても多いことが理由です。

アメリカの都市部は電車や地下鉄、市バスなど公共交通機関が非常に充実していますが、一歩郊外に出ると公共交通は極端に不便になります。鉄道も幹線のみになりますし、バス便もルートも限られ運航本数もとても少なくなります。

そこで移動手段としては唯一自動車が活躍することになります。都市郊外や田舎の道路は歩道らしきものは全く整備されていなくて、最初から歩行者を前提としていないようです。このようなところで道路の端を歩いていると、何か事故や犯罪に巻き込まれた人や精神に異常がある人のような認識をされるのではないかと思われるほど特別なことになります。

私自身は不本意にも道路の端を歩くことになった経験も何度かありましたが、横をかなりのスピードで行き交う車がやはり怖く感じることが多かったです。

アメリカに住む人にとって自動車は必須のものです。アメリカ人は皆自分の自動車は「下駄替わり」ですがとても大切にしています。

アメリカ第一の都市ニューヨーク近郊で車を運転する場合、冬季の厳しい季節になると車の運転自体も大変リスクを伴います。吹雪に遭遇すると視界は10~20m以下になり対向車や前後の車の姿が直前まで見えません。またスリップも多発し、道路の端にはあちらこちらに立ち往生した車が雪に半分くらい埋もれていたりしています。

雪道を何十キロか走るうちに車の車輪の周りの車体の内側に雪や氷がこびりつき、見事なツララができたりして加速が極端に悪くなることがあります。またそれが原因で車輪がキーキーと音を立てることもあります。そのような場合には一端停車させて車輪の周りに付いた雪やツララをこそぎ落とす必要があります。

アメリカでは「車には毛布とチョコレートを必ず積んでおくこと」とよく言われます。最初のころは冗談半分で受け止めていましたが、実際に真冬の過酷な環境で運転を体験すると命を守るためにとても重要なことだと納得しました。

車社会であるアメリカでは朝方に大雪が降ると道路が雪で埋まってしまいほとんどの人が家から動けなくなってしまいます。そこでそのような大雪の時には早朝からあちらこちらで除雪車が動き始めます。通勤時間帯までには細い道路以外はちゃんと車が通れるようになっています。

聞いたところによると地域のあちらこちらに除雪車による除雪作業を行うボランティアがたくさんいるようです。そのため早朝に一気に素早くその地域の除雪が完了するということでした。

季節が良いころは思い立ったら車でどこにでも自由に行けるのでとても快適です。アメリカでは田舎でも道路は道幅が広くよく整備されていて運転がとても楽です。またスーパーマーケットなどのお店の駐車場も運動場のように広いところがたくさんあり、駐車で出し入れするのも大変楽です。日本では運転に自信がない人でも気楽に運転できそうです。

アメリカでも交通警察による「ネズミ捕り」(速度違反の取締りを指す俗称)は行われています。しかし日本と違ってとても正々堂々と行われています。

現場では道にパトロールカーの車体の半分くらいを突き出して敢えて目立つように止めて待っているので、遠くからでも「ネズミ捕り」していることが簡単に分かります。

そのためアメリカでかなり車を運転しましたが早めに察知できるので一度も「ネズミ捕り」で止められたことはありませんでした。アメリカでは車が生活上大変重要なので運転者には少し優しくなっているのではないかと思われるほどです。

アメリカでは運転免許が多少の条件付きながら16歳から取得できる州が多いことや、ニュージャージー州、ニューヨーク州、カリフォルニア州など特定の地域以外は日本のような車検制度がないところが多くこれらのこともアメリカが車社会である事情を踏まえてのことであると思われます。

道路を運転していると時々とんでもなくボロボロの錆だらけの車が走っているのを見かけてびっくりするることがよくあります。走行中にエンジン部分が突然外れて道路に落下したという噂話も聞くほどです。

少し田舎に行くと運悪く車に衝突したと思われる野生の動物が横たわっている光景を頻繁に見かけます。たまには鹿のような大型の動物の場合もあります。日本ではかなりの山の中に行ってもそのような事故はめったに見かけませんので、アメリカはまさに大自然の中で生活しているというワイルドな状況だということが実感できます。

とにかくアメリカではリスク管理・対応は基本は自己責任となります。

アメリカ人の性格・気質

アメリカ人は概して積極的で、行動的で、社交的で、明るく元気で、人懐っこくて親切で、思ったことをズバズバという人が多いように感じます。

街中の混雑した場所は別ですが、郊外のちょっとした観光スポットで人が少ないところでは、向こうから来る人のほとんどがすれ違う時に笑顔で「ハーイ!」と挨拶をしてくれます。日本では登山で人気のない山道でたまたますれ違った時に軽く挨拶をすることはありますが、それ以外の場所ではまずありえない習慣です。

アメリカのマンハッタンにあるグランドセントラル駅の構内で電車を待っている間にホームレスの人に話しかけられたことがあります。物乞いとかではなく、純粋に世間話がしたかったようです。

アメリカの植物園を散策中に、軽く口争いをしている黒人のご夫婦に突然話しかけられて私の意見を求められたという面白い経験もあります。

私が運転するレンタカーが突然故障して路肩で助けを待っている20~30分程度の間に何と3人の人から「どうしましたか? お手伝いしましょうか?」と優しく声をかけられたこともあります。この3人はもちろん別々の人で皆自分の車をわざわざ近くに止めて歩み寄ってきて声をかけてくれました。

フィラデルフィア美術館に行った帰りに、近くのバス停でなかなか来ないバスを待っているときに、「駅までご一緒に歩いて行きませんか」と一人の見知らぬシニアのご婦人に声をかけられ、20~30分ほど一緒に歩いて行ったということもあります。

アメリカのグランドセントラル駅の案内所で自分が乗る電車の時間とホーム番号を聞いた時の話です。案内所の係りの女性の回答があまりにも早口でしかも駅のどこに該当のホームがあるのか場所が全く見当がつかず、きょろきょろと一瞬戸惑っていました。

するとすぐそばにいた青年が突然「発車時間が迫っているのですぐに行きましょう! こちらですよ!」といって自ら私の大型のスーツケースを引っ張って私の前方を急ぎ足で歩き始め、親切にもホームまで案内してくれました。

このような全くの赤の他人に対する気軽な触れ合いや親切はアメリカでは日常茶飯事ですが、日本ではまず体験することはないと思います。国民性の大きな違いを感じます。

さてアメリカ旅行の回想ですが、前編と後編でニューヨーク、ナイアガラ、フィラデルフィア、フロリダ、ワシントンDC、ケープメイ、プエルトリコなどの観光地をご紹介したいと思います。

ニューヨーク

「摩天楼」や「人種のるつぼ」という表現で有名な世界有数の大都市であるニューヨークは、最初に足を踏み入れた時からその魅力にはまる人も多いと思います。

数多くの高層ビルが立ち並び、その間を碁盤の目のような道路が走り、多くの車と人々の雑踏、あちらこちらの道路沿いから噴き出す水蒸気、頻繁に聞こえるパトカーや救急車などのサイレンの音が混ざり合って独特の活気のある雰囲気を作り出しています。

憧れのブランド店が並ぶ5番街やセントラルパーク、ブロードウェイ、メトロポリタン美術館、アメリカ自然史博物館などと見所も豊富です。色々な心地よい刺激に満ち溢れた街だと思います。

上の写真は当時のマンハッタンのビル群です。左側にある大きなビルが「パンナム・ビル」で右側の尖塔があるお洒落な高いビルが「クライスラー・ビル」です。

どちらもニューヨークの象徴的で有名なビルです。当時の「パンナム・ビル」はパンナムが倒産した後現在は「メットライフ・ビル」に名称変更しています。

このパンナム・ビルの隣にはグランドセントラル・ターミナルがあり、ニューヨークの鉄道の巨大ターミナルで、お店やレストランなども入っていて観光名所の一つになっています。

グランドセントラル・ターミナルにはオイスターバーという美味しい牡蠣が食べられる有名なシーフード・レストランがあります。友人を誘って何度か牡蠣を食べに行ったことを覚えています。当時は庶民的なオイスターバーと少し奥に入った少し高級なオイスターバーの2カ所が繁盛していました。

なおグランドセントラル・ターミナルのメイン・コンコースは天井も高く豪華な造りになっていて数々の映画のロケでも使われてきた有名な場所になっています。

マンハッタン中心部には当時からお寿司屋さんやラーメン屋さんがいくつかありました。お寿司屋さんは韓国系や中華系のご主人のお店が多かったように記憶していますが、日本式のお寿司で味はそれなりに美味でした。

ラーメン屋さんの中には味が自慢の繁盛店もあり日本人客で込み合っていました。また日本からプロモーションビデオやコマーシャルの撮影に来たタレントさんなどに遭遇することもありました。

ニューヨークには日本食だけでなく世界中の美味しい料理が食べられる一流のレストランが揃っています。

たとえば私が何度か利用した「ルテス」はニューヨークを代表する正統派の老舗フレンチ・レストランで、当時1,2を争う人気で予約を取るのは至難の業でしたが、料理の味、おもてなしは素晴らしく最高の満足度でした。

「ルテス」で料理を注文するとまずシェフが料理する前の生の食材をもってテーブルまできてそこで鮮度などのチェックをし、火加減や味付けなどの細かい要望を出すことができました。ニューヨークは食通も十分満足できる街だと思います。

なお、マンハッタンの高層ビル群の夜景もなかなか綺麗です。最初に見た時にはつい見とれてしまいました。夜であればJFK国際空港やラガーディア空港の飛行機の発着時に窓から綺麗に見ることができます。

セントラルパーク

上の写真はマンハッタンの真ん中にある緑のオアシスであるセントラルパークです。私たちが訪れた時も日光浴など思い思いに楽しむ人で賑わっていました。また公園内の道路では多くの人がジョギングやサイクリングなどを楽しんでいました。

この公園は街の中にあるにもかかわらずとても広く、各所にある芝生の広場、良く整備された道路・遊歩道、数多くのベンチ、自然の岩や各種の樹木・草花など公園としては理想的な快適な環境を提供しています。

広大なセントラルパークではウォーキングツアーや植物観察ツアーなど色々なツアーが催されていますのでそれに参加するのもよいかもしれません。

   

左上の写真は自然の岩が地面から顔を出している風景です。約2万年前にカナダから流れてきた氷河の氷床でマンハッタン島の岩盤が削られたために表面に溝が見られます。

右上の写真は道路の端が全面ベンチで埋まっている様子です。とにかくベンチの数が多いので、シニアも気軽に訪れることができます。

セントラルパークはとても混んでいる場所とほとんど人を見かけないほど静かな場所が各所に混在していて、訪れる人は色々な目的でこの公園を利用しているようでした。

なおセントラルパークを見下ろす位置にある高層ビルにあるコンドミニアムはその眺めの良さから多くは高額な高級コンドミニアムとなっているようです。

左の写真はセントラルパークの直ぐそばに立っているプラザホテルです。

有名な高級ホテルですが、現在は北側のセントラルパークを臨む部屋はすべて高級コンドミニアムになっているそうです。

1985年9月にこのホテルでG5のドル高是正を目的とした為替レート安定化に関する合意が行われました。そのためこの合意は「プラザ合意」と呼ばれています。

ショッピングで有名な5番街に面しており、グランドセントラル駅方面から散策してくるとホテルの向こう側がセントラルパークになるという目印になっています。

セントラルパークは確かに昼間は市民の憩いの場として多くの人で賑わっていますが、当時は「暗くなったら絶対に足を踏み入れてはいけない場所」だと言われていました。夜は強盗など犯罪の温床になっていたようです。最初に聞いた時は、昼と夜の治安状況が極端に違う特異な場所だと驚いたものです。

ニューヨークの治安

ところでニューヨークは当時はアメリカでもトップクラスの治安が悪い都市でした。この夜間のセントラルパークもそうですが特にハーレム地区は有名でした。

ハーレム地区は昼でも夜でもとにかく立ち入らないように言われていました。車で通過するのはまだしも、夜に一人で歩くことは絶対に避けるようにと注意されていました。

当時危険な場所を歩く時の心得がいくつかありました。

まず「歩道を歩くときには建物からできるだけ離れた位置を歩く方が良い」という注意です。これは建物の陰から突然強盗が現れて、人目に付かない薄暗い横道に引きずりこまれるのを防ぐためです。

また「自分の洋服の外側のポケットに50ドル紙幣を常備しておくこと」という注意もありました。これは万が一不幸にも強盗に襲われてしまった時に慌てることなくすぐにその50ドル(いわゆるホールドアップマネー)を渡してそれ以上の難を逃れるというための準備です。

実は過去に一度だけ思いもよらない手違いでまさにハーレム地区を夜に一人で10分ほど歩かなければならない羽目に陥ったことがあります。

その時はポケットの50ドルをちゃんと確認したうえで、できるだけ建物から離れて歩きました。その10分間はあまり経験することがない極度の緊張でとても長く感じられましたが運よく何事もなく無事に駅まで行くことができました。

空港、駅、レストラン、ホテルなどで最も多いのが荷物の置き引きだと思います。カバンなどの持ち物はいかなる場合でも手や体から離してはならないといわれています。置き引きを狙っている犯人は常に現場で待機していて人々が一瞬油断するのを虎視眈々と待ち構えています。

ホテルのフロントで宿泊書類に記入する手続きをしているときは荷物を手放すことが多いので特に要注意です。よくある防犯策はその手続きの間両足にアタッシュケースやカバンを挟み込んでおくという方法です。

空港などでは高額の料金を請求する怪しげな白タクや、歩いていると故意にぶつかってきて自分のワインボトルを落として割り、その賠償金を請求するボトルマンなどという犯罪の例などがありました。

アメリカに行くときには飛行機を降りて入国した瞬間から自己責任でリスク管理をちゃんと行うことが重要です。

バッテリーパークと自由の女神

マンハッタン島の最南端から西側に広がるバッテリーパークという素敵な公園があります。色々なモニュメントが点在し、またそこからは自由の女神への観光フェリーも発着しています。

      

左上の写真は自由の女神の方向を向いて立つ堂々としたイーグルの銅像が特徴的な「イースト・コースト・メモリアル」で、第2次世界大戦中に大西洋で戦士した兵士のモニュメントです。この写真の背景にあるビル群は現在は一部建て替えられて風景が変わっています。

上の中の写真は観光フェリーから見たリバティ島に聳え立つ自由の女神の風景です。また右上の写真はリバティ島に上陸して近くから見た自由の女神です。

自由の女神はニューヨークで一番の観光の目玉で多くの観光客を魅了しています。

自由の女神の内部には階段があり上の方まで歩いて上がることができます。女神の頭の上の王冠には窓がしつらえてあり、そこが展望台になっています。階段の入口には体の調子が悪い人はご遠慮くださいという注意書きがありました。

上の写真は自由の女神の展望台から下の方を見た景色です。私たちが訪れた時は秋の盛りで紅葉がとてもきれいに色づいていました。

残りの人生を賭けて自由の国アメリカに移住してきた人々はこの堂々とした自由の女神像を見てとても勇気づけられるのではないでしょうか。

ニューヨークの橋

マンハッタン島は西はハドソン川、東はイースト川とハーレム川の3つの川に囲まれていますので橋がたくさんかかっています。

   

左上の写真はイースト川に架かるブルックリン橋です。ブルックリン橋は1883年に建設されたアメリカで一番古い吊り橋の一つです。 また、鋼鉄のワイヤーを使用した世界で初めての吊橋でその長さは1,834mあります。

何度か車で渡ったことがありますが、マンハッタンの摩天楼が綺麗に見えて風景がとても素敵です。橋の造りも歴史を感じられる重厚な雰囲気を出しています。

右上の写真はハドソン川に架かるジョージ・ワシントン橋です。1932年に完成したこの吊り橋の中央支間は1067メートルもあり、世界で初めて支間1000メートルを超えた橋として知られています。この橋もニューヨークを代表する橋の一つとしてブルックリン橋とともに多くの映画のロケに使われてきたそうです。

右上の写真はハドソン川のクルーズ船に乗って橋をくぐるときに撮影した写真です。

マンハッタン島からジョージ・ワシントン橋を渡るとすぐにニュージャージー州のフォート・リーという街があります。実は当時そこにヤオハンという日本の巨大なスーパーマーケットがありました。一度だけお買い物でそのお店に行ったことがありますが、日本のスーパーで売られているような普通の日本食品が豊富に取り揃えられていて日本でお買い物をしているかのような錯覚がありました。

当時比較的住環境が良かったフォート・リーには日本からの駐在員家族がかなり住んでいるということでこのヤオハンにも日本人がたくさんお買い物に来ていました。

ヤオハンは当時世界規模の小売チェーンで、ニュージャージー州のこのお店は多分アメリカ最大規模だったと思います。残念ながらその後ヤオハンは会社として海外展開に失敗したようでほどなくして倒産してしまい、このお店も今はありません。

ワールド・トレード・センター

マンハッタンの南端にあったワールド・トレード・センターのビル群の中でも特に110階建てのツインタワーはニューヨーク市、マンハッタンのシンボル的存在で、映画やドラマなど数多くのロケに使われ、常に多くの観光客で賑わっていました。

上の写真は2本のツインタワーが聳えるワールド・トレード・センターのビル群の風景です。ニューヨークを初めて訪れた時にエンパイア・ステート・ビルと共に最も訪問したいビルの一つでした。

直方体のシンプルな2本のビルが近未来的な美しさを放っていました。何枚も写真を撮りましたがそのうちの一部をご紹介します。

   

左上の写真はちょっとした裏通りからツインタワーを望み撮影した写真です。この写真の右側にある茶色のビルの一階にあった小さなレストランで当時お昼にカレー&ライスを食べたのを今でも覚えています。

とにかく高さが高いので直ぐそばでこのビルを眺めたり撮影したりしていると首が痛くなるほどでした。ビルの内部はどのような様子かと1階のロビーに入って見ましたが、さすがに巨大なオフィスビルらしく出入りする多くのビジネスパースンでごった返していました。

北タワーの106–107階には「ウィンドウズ・オン・ザ・ワールド」と呼ばれる有名な展望レストランがあって、そこからの眺めは高さがあるためにとても素晴らしいものでした。

当時アメリカの友人に誘われて初めてそのレストランで食事をしましたがその時その友人がレストランの海側の窓際まで案内してくれて「自由の女神像が目線よりかなり下に見えますよ!」とうれしそうに教えてくれました。その後そのレストランには家族などと一緒に再度改めて訪れてマンハッタンの絶景と料理を堪能しました。

しかし残念ながらそれから約12年後の2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生し、標的の一つとなったこのツインタワーは最終的に崩壊してしまいました。当時朝のTVの生中継で様子を見ていたので、まさかの出来事に全く信じられず唖然としたことを覚えています。

現在はご存じの通り同じ場所に新しいワールド・トレード・センターのビル群が再建されています。

ピア17 サウスストリート・シーポート

ピア17 サウスストリート・シーポートはニューヨーク、マンハッタンの歴史的な旧港エリアにある有名なショッピングモールです。ブルックリン橋や摩天楼の風景を望む絶好のロケーションに位置しお買い物や食事、お散歩など特に休日には多くの人が訪れていました。

上の写真はピア17の中心付近の風景です。ウッドデッキが広く整備され、心地よく歩ける場所になっていました。

上の写真は近くに停泊していた帆船です。この場所の雰囲気作りに一役買っていました。

ピア86 イントレピッド海上航空宇宙博物館

イントレピッド海上航空宇宙博物館はハドソン川沿いのピア86にあり、古い空母イントレピッド自体が博物館となっています(上の写真)。館内には太平洋戦争関連など、飛行甲板上には各種航空機が展示されています。また近くには潜水艦なども展示されています。

太平洋戦争関連で最も興味をもったのは、日本海軍とのミッドウェー海戦の様子が精巧なジオラマで紹介されていたことです。

ハワイのパール・ハーバーと同様に日本人として多少居心地が良いとは言えない見学にはなりましたが、警備していたアメリカ人に記念撮影をしていただいたりと親切にしてもらいました。

ニューヨーク植物園

ニューヨークで動物や植物を見たければ、ブロンクス動物園とニューヨーク植物園がお勧めです。ブリンクス区の隣り合わせの位置にありますので同時に両方を楽しむことができます。

ブロンクス動物園は世界最大の都市動物園です。動物園にいる動物のかなりの数が絶滅危惧種のため、特別な動物のコレクションを目ることができます。

ニューヨーク植物園は世界でも先端的な植物学研究所を持っていて手入れがよく整った植物園です。約1平方kmの広々とした植物園でニューヨーカーの緑の憩いの場になっているようです。

園内には、砂漠、湿地帯、北部森林地方など、北米大陸や世界の植物が栽培され展示されています。中央付近には温室があり、熱帯のヤシの林、ジャングル、果樹園、サボテンなどが見られるようになっています。

この記事ではニューヨーク植物園を観光で訪れた時の様子をご紹介します。

上の2枚の写真は植物園の中にある日本庭園の風景です。池や石、家屋、四季の花々を取り揃え、とても本格的な庭園に仕上がっていました。日本庭園のエリアはかなりの人気のようで写真でも分かるように遊歩道が歩きにくいほど混雑していました。

個人的にはイングリシュ・ガーデンと並んで日本庭園が好きなのでここでかなりの時間をゆったりと過ごしました。

   

左上の写真はツツジと藤の競演です。藤棚も立派に整備されていました。

右上の写真はツツジと石を配した庭園です。日本の京都のお寺にもありそうな雰囲気を出していました。

   

左上の写真は温室です。右上の写真は温室の中にあるシャボテンコーナーです。

私たちは朝に車で訪れましたが、先にブロンクス動物園を回り、その後ニューヨーク植物園を見学しました。一日たっぷりと楽しむことができます。

幾つかの広場では屋台のホットドックなども出ていて、昼食はそこでいただきました。とにかくちょっとフレッシュしたいときに気軽に訪れると良い場所だと思います。

ところで植物園を散策中にアメリカならではの面白いことがありました。このエピソードはこのブログの「旅先で体験した小さな交流(2)」でも紹介しています。

植物園内の広い芝生の上を歩いていた時のことです。前の方からアメリカ人らしい黒人のご夫婦が歩いて来ました。

お二人はなにやらしきりに言い争いをしていて、少しいやな予感がしましたがそのまま静かに通り過ぎようとしました。

その時突然に、ご主人の方が私に向かって「ニワトリは飛ぶことができますよね!」と聞いてきました。

どうもお二人はニワトリが飛べるかどうかで言い争いをしていたようです。

私はご主人に「はい。飛べます。」と答えてあげました。するとそのご主人は奥さんの方を向いて「ほらご覧、飛べるじゃないか!」と誇らしげに言いました。

すると奥さんは納得がいかないようで、すぐに私のほうに近づいてきて大声で「ニワトリは飛べませんよね!」と強く同意を求めてきました。

困ってしまった私はしかたなく「ニワトリは普通は飛びませんが、驚いたり急に逃げたりする時にはほんの少しだけ飛ぶことができるようですよ。」と詳しく言い直してあげました。これは私の家が昔ニワトリを飼っていたころの記憶に基づいての回答でした。

この答えを聞いたお二人はやかましい口げんかはとりあえずやめて私とは別れたものの、まだ完全には納得していなかったようで、遠くの方でまたなにやら口論を始めていました。

ニューヨーク郊外

ニューヨークは、摩天楼が立ち並ぶマンハッタン地区を出て郊外に進んでいくと大平原の中に所々に人家があるようなのんびりとした風景が増えてきます。

   

上の2枚の写真はいずれも郊外のハドソン川流域の風景です。左側が夏の風景で右側は晩秋の風景です。雑踏が似合うマンハッタンから少し車で離れるとこのような静かな雄大な景色を見ることができるのは少し不思議な感じです。

   

上の2枚の写真はさらに郊外の田舎にあるちょっとした牧場テーマパークです。それほど広くはない牧場の敷地に馬、羊、アヒル、牛などを飼っていて、見学したり触れたりして楽しむことができます。

それほど知名度はなく主に周辺に住む人々が訪れているようです。動物がいるということで小さな子供を連れた家族連れをよく見かけました(右上の写真)。お天気の良い日に遊歩道をゆっくりと散歩するだけでも楽しめるのんびりとした雰囲気の良い場所でした。

また田舎の方では、夏には各地に点在する池や湖では泳いだり、日光浴をしたりする多くの人を見かけました。

   

左上の写真はある貯水池の風景です。ここも地域の人々の憩いの場になっていました。

右上の写真は小さなワイナリーです。ワイナリー見学&試飲には多くの人が訪れていました。ただしここのワインは一風変わっていて、元のブドウのワインに色々なフレーバーを付けて特徴を出していました。個人的にはどのフレーバーも微妙で、純粋なワインの方がおいしいのではないかと思いましたが、周囲の訪問客はおいしそうに飲んでいました。

ところでニューヨーク州は、アメリカの中でもワシントン州に次いで2番目に生産量が多いりんごの産地です。郊外のあちらこちらを観光で訪れているとりんごの即売をしている場所が目につきます。

一度そのような即売のお店でりんごを買ったことがありますが、りんごのサイズがとても小さいことに驚きました。握ると手のひらにほぼ収まってしまうほどです。

りんごが小さいのでたくさんのバケツに山盛りに盛られて売られていました。日本よりかなり安く、またバケツのりんごを自由につまんで味見することができました。もちろん買うときはバケツ単位でした。

スーパーでの果物の味見

アメリカのスーパーマーケットでお買い物をしているときに面白い経験をしたのでご紹介します。

あるスーパーマーケットの果物コーナーで色々と見て回っているときのことです。たまたま近くにいた若い男性の店員が突然近寄ってきて、すぐ横に置いてあった商品のブドウの房の一部をもぎ取って「このブドウはとても美味しいのでちょっと味見してみませんか?」と言いながら私に手渡しました。

ありがたく味見をさせてもらいましたが、従業員にもらったとはいえ試食品でもない商品を勝手に味見しても大丈夫なのかなと心配になりました。すぐその後アメリカのご婦人がブドウ売り場に現れて、ごく自然な感じで自ら勝手に商品のブドウを少しちぎって味見をしていました。

どうやらアメリカでは試食品でなくても常識の範囲で気軽に商品(果物だけ?)の味見ができるような慣習があるようでした。日本では考えられないことで、さすがに懐の深いカジュアルな国であると感心しました。

上の写真はニューヨーク郊外にある池の写真です。ニューヨーク州の北部にはいたるところにこのような池や湖がたくさんあります。ほとんど人目に触れないような池も多くあり上の写真の池もそのようなとても穏やかで静かな佇まいがうれしい穴場になっています。心が落ち着く素敵な晩秋の風景です。

ニューヨークの冬と夏

ニューヨークは緯度的には日本の青森県と同じくらいです。真冬になるともちろん東京よりもはるかに寒い気候になります。

ある冬の日私たちはマンハッタンの5番街に観光へ出かけました。朝の天気予報では雪でしたが何とかなるだろうと楽観視していました。

5番街に着くころには歩道にはかなり雪が積もっていて街中も歩いている人はあまりいませんでした。お店もかなり臨時休業で閉まっていました。

それでも歩道を歩き続けているうちに靴に付いた雪が解けて、靴の中にしみ込み、それが凍り始めるという厳しい状況になりました。街中にあった温度表示板を確認するとなんとマイナス15度くらいまでに下がっていました。

このような予想外の寒さの中を普通のウォーキング・シューズで歩き回るのは生まれて初めての経験で、そのうちに足の感覚が怪しくなってきました。これはもしかすると凍傷になるかもしれないと思い近くの開いているお店を探しましたがなかなか見つかりませんでした。

そうこうしているうちに運良く教会を見つけました。急いでドアまで行き開けてみるとちゃんと開きました。早速中へ入り暖をとらせていただきました。教会のありがたさを感じ感謝した一日になりました。

ところで夏はニューヨークではそれなりに気温も上がりますが、日本とは違って空気は湿気が少なくカラッとしています。そのために常に喉が渇くのか、夏にある程度の期間ニューヨークに滞在した時には毎日コーラと大量のアイスクリームが欠かせませんでした。

このような習慣は日本にいる時には全く考えられません。コーラは子供のころに何回か飲んだ経験があるだけで、またアイスクリームも夏にときどき少量を口に入れる程度です。

日本とアメリカではやはりかなり気候に違いがあると思い知らされました。

この回想録は「海外旅行回想録(22) ー アメリカ(後編)」に続きます。

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