俺は今、少々納得いかない。


「はぁ・・・ったく、何で自分の誕生日に自分で誕生ケーキ作んなきゃならねぇんだよ。」


アイツが作ったケーキがあんな事になって、悲しい顔のまま終わらせたくなくて・・・。


自分の誕生日にアイツには笑っていてほしいから。そう思ったら勝手に手が動いた。


「わぁ~!!!」


そんなアイツは風呂から出てきて、テーブル上のケーキを見て目を輝かせた。


「チャンミン、凄い。」


俺以外のを世界一だなんて、二度と言わせねぇからな。


「チャンミンの作ったイチゴケーキ、初めて食べれる。」


そう言って、おまえはスマホで写真を撮りまくってる。


「あ、そうだ。ユンホさんに写真送ろうっと。」


「はあ?!何でヒョンにそんな事する必要があるんだよ?」


「だって、チャンミンとの事心配かけたし。」


「関係ねー。」


「関係ある。本当に色々と親身になって相談に乗ってくれたんだよ?チャンミンが最近冷たくて家でもなかなか会えないし、手さえも繋いでくれないって事とか・・・色々・・・。」


「うっせー。おまえのせいだろ、バカ。」


「え、何で?私、何かした?」


「何かした?・・・じゃねぇ。タチの悪い事しておいて。」


「タチの悪い事?」


おまえは首を傾げる。


「何にもしてない。」


「・・・・・・。」


「ねぇ、私何したの、教えて?」


「・・・去年のクリスマスイブ。」


「クリスマスイブ?えー・・・っとその日は確かチャンミンはお仕事で、私は・・・あ、東方神起のコンサートに行った日だね。」


その通り。
店は1年で最も繁忙を極める日。
おまえは俺とデート出来ないとブツブツ文句を言って、でも大好きな東方神起のコンサートに行くからいい・・・と多少拗ねて家を出て行った。


俺だって出来ることなら時間を作ってやりたかったけれど。そういう訳にはいかなかった。


だから、せめて少しでも早く帰って少しの時間でもおまえと過ごせたら・・・。


最後の客が帰ったところで、侑さんやエリカに冷やかされるという屈辱に耐えてまで速攻家に帰った。
クリスマスプレゼントも用意して、雪の中走って帰った。


けれど肝心のおまえはいない。


帰ってきたのは日付が変わった頃。
終演後、ファンの友人達と飲み会で盛り上がり、大層ご機嫌なおまえ。


ー「チャンミーン、会いたかったよぉ!」


帰ってくるなり俺に抱きついた。


ー「チャンミン、チャンミン、大しゅき。」


ー「わかったから離れろって!」


いつもの様に俺を好きだと言うおまえ。


ー「イヤ~。たんみ~ん♡」


煙たがってはみるものの、甘えるおまえは嫌いじゃない。いやむしろ・・・。


でも、次の瞬間


ー「たんみん、今日もすっごくカッコよかったよ。あの衣装すごく似合ってたし、ダンスも歌も感動した。たんみん、世界でいっちばん大好き!!」


そう言って、俺にキスをした。



「おまえが世界一好きなのは《東方神起》の《チャンミン》なんだろ?」


「え・・・ええー?!」


目を丸くするおまえ。全く覚えていない、そんな顔だ。


「私、そんな事言っ・・・」


「言った。」


「チャンミンの事じゃない?」


「俺が歌って踊るかよ?」


「う・・・。」


動揺するおまえ。


「で、でも・・・その・・・お酒飲んでたから・・・だからその・・・えっ、てゆうか、それで怒って手も繋いでくれないくらい冷たくなったって事?」


「世界で二番目に好きな男に触られたって不快なだけだろ。」


「何言ってるの、二番目だなんて?!チャンミンが一番に決まってるでしょ!」


焦ってる。
浮気がバレた旦那みたいな顔してるし。


「でも、だったらハッキリ言ってくれればいいじゃない。仕返ししなくたっていいじゃん。それに誕生日にまで他の女の子優先して意地張るなんて・・・ひどい。」


「誕生日はそのせいじゃねぇよ。」


「じゃあ、何のせい?」


「別に・・・。」


「教えてよ。」


「言わない。本当に忙しかっただけ。ほら、もう食おうぜ。」


俺は話を切り上げて、ケーキにろうそくをさす。


「あーっ!!」

そこでおまえが悲痛な声を上げる。


「チャンミンの誕生日終わっちゃった・・・。12時過ぎてる。」


しゅんと項垂れるおまえ。
そんなに落ち込まなくたっていいのに。


むしろ俺はその方がいい。


2月19日、この日の方が俺にとっては特別な日だから。


俺は、ろうそくに火をつける。


「ほら、消せよ。」


「え・・・?!」


おまえは目を見開いて、そしてハッとする。


「まさか、忘れてたの?バーカ。」


「チャンミン・・・。」


おまえの目は涙の膜が張っている。
泣くなよ、今日は特別な日なんだから。


「チャンミン、一緒に消そう?」


「いいよ。」


せーの、で
俺とおまえは同時にろうそくの火を消した。


真っ暗になった部屋の中で


「ハッピーバースデー。」


今日、誰よりも一番最初に
おまえに言葉をかけて


そして
誰よりも一番最初に
おまえにキスをした。


キスはこの先、誰にもさせない。
最後のキスまで俺のモノ。


今日は一日中おまえと一緒に過ごす。
だってその為に、休日と自分の誕生日を返上して仕事に明け暮れたのだから。

まぁ、この事実は
恥ずかし過ぎるから
口が裂けても言えないけど・・・。



ハッピーバースデー
俺の大切なイチゴケーキ。



今夜、俺は
二つのストロベリーショートケーキを食べる。




(終)



最後までお読みいただきありがとうございました。ツンデレヤキモチ王子のチャンミンとの恋話はいかがでしたか?

明日あとがきを掲載しますので
よかったらそちらも読んでいただけたら嬉しいです。

ではでは、おやすみなさい流れ星



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