理学療法士が知っておきたい介護保険での住宅改修について



年齢を重ねていくと、何も掴らないで立ったり、歩いたりすることが困難になってくることがあります。そこで、住宅改修で手すりや段差を解消することで、安全に日常生活を送ることが可能になります。介護保険ではこの住宅改修費が補助される制度があります。

今回は、住宅改修費の補助の対象や条件、申請の手続きについてまとめました。

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介護保険での住宅改修の概要

介護保険制度のサービスの一つとして住宅改修費の支給があります。

これは加齢に伴う身体能力の低下から、安全に在宅生活を送るのに手すりや床の段差の解消が必要になってきますが、要支援・要介護認定がなされている場合は、この住宅改修費用が補助される制度です。

支給の限度額は20万円までで、20万円までは住宅改修を1割の自己負担で行うことができます。

支給の対象となるのは要支援・要介護認定されており、在宅生活をしていることが条件になります

 

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介護保険サービスでの住宅改修の対象者

要支援1~2、要介護1~5の認定を受け、在宅で生活されている方

要介護認定のために申請と認定調査を受ける必要があります。それらの解説はこちら

要介護認定の申請場所、用意するもの、流れは?

介護保険の認定調査とは?準備すること、注意点のポイント

介護保険は40歳以上65歳未満でも申請可能?特定疾病の詳しい病名を解説

※病院や施設に入所中の場合

退院が決まっていれば、事前に申請し住宅改修をすることができます。しかし、住宅改修費の支給は退院して在宅に復帰してからになります。退院が決まらない・退院したが他の施設に入所するばあいなどで在宅で生活されない場合は支給がされません。

住宅改修費の支給限度額

200,000円/回(自己負担額:20,000円/回)

※要支援・要介護ともに同額。

※また、上限金額である20万円を1回の改修で使い切らずに、数回に分けて使うこともできます。

※利用者がいったん改修費用の全額を支払い、その後に申請をして保険料・税金による補助分(9割または8割)の支給を受けるという、いわゆる「償還払い」を原則としています。

 

再度20万円までの支給を受ける条件

この住宅改修の費用補助は原則1人1度までとなりますが、要支援・介護度の段階が3段階以上あがったとき(例:要介護1の人が要介護4になった場合など)や、転居した場合などは再度20万円まで利用することができます。

 

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介護保険での支給の対象となる住宅改修

 支給の対象となる住宅改修は決められています。以下の6つの項目になります。

スロープや置き型手すりは介護保険サービスでのレンタルの対象になります。くわしくはこちらの記事をどうぞ

1.手すりの取り付け

玄関、廊下、階段、トイレ、浴室、洗面所などの屋内に設置する手すりの他、出入り口から道路までの屋外手すりにも適用されます。

2.床段差の解消

引き戸レールや敷居の段差を撤去したり、玄関や浴室、出入り口などの段差をスロープや踏み台、床工事などにより解消する場合に適用されます。

3.滑りの防止、移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更

車イスが利用しにくい畳床や、歩行時に滑りやすい床を、フローリングや固い床材などに変更する場合に適用されます。

4.引き戸等への扉の取替え

介護を必要とする人が開けにくいとされる開き戸を、引き戸や折れ戸、アコーディオンカーテンなどに変更する場合に適用されます。また手首を傷めていたり、握力が低下している人でも操作しやすいドアノブや戸車の設置も含まれます。

5.洋式便器等への便器の取替え

和式便器よりも介護しやすく、かつ介護されやすい洋式便器への交換や、便器の高さを変更する必要がある場合の洋式便器の取替えに適用されます。

6.その他上記の住宅改修に付帯する工事

・手すり取付けのための壁の下地補強

・浴室の床段差解消に伴う給排水設備工事

・床材変更のための下地の補修、根太の補強

・扉を取替えるための壁または柱の改修工事

・便器を取替えるための給排水設置工事(水洗化または簡易水洗化に係るものを除く。)や床材変更 ほか

 

住宅改修費の支給申請の手続き

介護保険の住宅改修の制度を利用するためには、あらかじめ自治体に申請をする必要があります。

ケアマネージャーか地域包括支援センターの担当者に相談し、住宅改修が必要と判断されると書類を作成し申請の手続きが行われます。

では以下に手続き、支給までの流れをまとめてみました。

 

  1. 住宅改修の相談(事前申請)

 工事について、ケアマネジャー(地域包括センターの担当者)へ相談し、改修内容の検討、必要書類の作成の依頼を行います。

 

2.介護保険課に申請

 申請の際には

・住宅改修が必要な理由書

・見積書

・改修前の住宅の写真

・住宅の見取り図

・住宅改修費の支給申請書

などの書類が必要になります。

3.住宅改修の承認

4.着工

5.支給申請

ケアマネジャーが市へ申請手続きをします。

このときに

・支給申請書

・領収書

・請求明細書

・改修箇所の写真

などの書類が必要になります。

6.支給

 事後申請に不備がなければ指定された口座に住宅改修費が振り込まれます。