~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「かちかち山」 すばらしく美麗な日本画のかちかち山、そして太宰治

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

かちかち山
尾竹 國観 (著)

二十一世紀に残したい「講談社の絵本」。 現代の絵本と違って、絵のすみずみまで丹念に描かれた一流の日本画家の手による「講談社の絵本」は、初めて見る人も懐しむ人をも感動させる。小学低学年~一般。

 

 

 

 

妹子「またたくさん借りてきて、これぜったい寝落ちして、あたまに角がささるやつ」
わたし「いいから読んでよ」

(妹子の言う、「あたまに角がささる」というのは、本の四隅が当たることを言います)

 

妹子、「かちかち山」を手に取りました。

 

妹子「え…かちかち山。何これ。すご。この絵なに?ガチか」

 

昔懐かしの「講談社の絵本」の復刊なのですが、どれも高名な日本画家さんが挿し絵を担当されているらしく、じつにみごとな出来栄えです。
中でもこの「かちかち山」と、あと「安寿姫と厨子王丸」は、個人的好みですが、特別にすごい気がします。
たしかにガチです。
気合が入っています。

 

Amazonのページに、「芸術作品として再度刊行しました」と書かれていますけど、わかります。
これは、芸術です!

 

この「かちかち山」、どこまでも緻密な、すみからすみまですばらしい絵と、たぬきのユーモラスな仕草とが、うまいミスマッチで、何ともいえないおかしみをかもしだし、見ていてほんとに楽しいです。

 

こんな真面目な絵なのに、たぬきの仕草が!フォルムが!
まるくて、おなかもぼてっとしていて、とてもカワイイ。
おばあさん殺されちゃうのに……。

 

おばあさんの「あーれー」という感じのしぐさも、緊迫感がなくてユーモラスです。

 

しかし、このおばあさん、美人だな……。
これは、おじいさんが悲しんだのも無理はないかもしれない。

 

 

わたし「これさ、最後に説明(解説)が掲載されてるんだけど、そっちもガチでね。例えばさ、このおじいさんがもってる『くわ』なんだけど、ぜんぶ鉄じゃないわけ。先だけが鉄で、あとは木をくっつけてあるタイプなんだよね。ここだよ」

 

まず、おじいさんが持っているくわである。これは風呂鍬ふろぐわと呼ばれる鍬で、鉄製の刃が木製の刃床部にはめこまれた構造になっている。貴重であった鉄を節約するだけでなく、刃が減ってしまっても刃部だけ取り外して鍛冶屋で刃先を付け足してもらうことができ、いつまでも使うことができたのである。風呂鍬は日本でももっとも一般的な鍬であった。

 

妹子「そんなこと、子どもの誰が読むんだよー!」

わたし「いや、たぶんルビもふってあるし、昔が懐かしくて買った大人だけが読むんじゃないと思うんだよね。子供でも興味を持つ人がいるのかもしれない……歴女とか歴男とかの子どもたちが……」
妹子「いやいやいや、これ読むの保育園児とかでしょ!?保育園児が『ふろぐわ』に興味持つと思う!?」

 

 

その後、読み進めていた妹子ですが、こんな風に言います。

 

妹子「話がぜんぜん頭に入ってこない。絵がすごすぎて」
わたし「すごいよね」
妹子「この臼もさ、すごいよね、持ち手が描いてあったりさ、これもきっとすごい臼なんだろうね」
わたし「あっそれもね、特別な臼だって書いてた」

 

脱穀用の臼は餅搗もちつき用の臼に比べて穴の彫りが深く、いても中に入れた穀類などがこぼれ落ちないように、縁が狭く、中が広がった”みかん彫り”に……

 

妹子「何を目指してるんだよ~~~!!」

 

その後も、色々とすごいですし、説明もすごいです。
こちらもよく気を付けて観察すると、あちこちに何気なく置いてある道具が非常に詳細ですし、後書きも詳しく説明してあります。
これは興味深い。
歴史オタクはぜひ読むべきです。

 

家も、日本家屋ですが清潔で広めで、ふすまを見ていても、割と裕福な感じの家です。

 

 

妹子、仏頂面で後半を読み始めました。

 

わたし「見て。後半でたぬきがとつぜん着物を着てるの」
妹子「ほんとだ。ここまでまっぱだったのに。おなかがふくらんでてかわいかった」

わたし「このあとがきでは、もともと二つの話をくっつけたんじゃないか、と考察されてるね。でも、この絵がいきなり前半と後半で裸から服きてるのは、この後書きを書いてる人(武士田忠さん。日本民話の会会員)にも意図はわからないらしいんだよね……」

 

妹子「やけどのくすりもってきてとうがらしとか、たぬきも気付けよみたいなさあ……ていうか……ねえ、これさあ」
わたし「うん?」
妹子「これもし、前半と後半で違うはなしだったら、何の罪もないたぬきをうさぎがころしたみたいな感じでうさぎひどいよね」

 

確かに~!!!

 

わたし「それよ!よく聞いてくれたよ。太宰治が、カチカチ山をお話として書いてるんだけどね、うさぎは美少女で、たぬきはブサメンっていう設定なのよ!それで、うさぎが好きなんだけどウザいから、残酷な気分になって、寄ってくるたぬきをころしたみたいな話にされてるの!」

 

妹子「本家のかちかち山どこいったんだよー!」

 

青空文庫のリンクです。

www.aozora.gr.jp

 

 

 

 

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かちかち山―Click‐clack mountain (Kodansha children’s classics)
尾竹 国観 (イラスト), ラルフ・マッカーシー (翻訳)

A thieving badger meets a dreadful fate for his mistreatment of a farmer and his wife

 

 

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安寿姫と厨子王丸 (新・講談社の絵本) (日本語) 単行本 - 2002/3/20 須藤 重 (著)

21世紀に残したい名作絵本シリーズ第2期。昔をなつかしむオールド世代から、精緻で美しい絵に驚いたという若い母親層まで、大好評を博した復刊シリーズの第2期。

 

 

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桃太郎 (新・講談社の絵本) (日本語) 単行本 - 2001/5/18 齋藤 五百枝 (著)

二十世紀の名作「講談社の絵本」を新編集。「講談社の絵本」を懐しみ育った世代の方にも、小さな子供にも、本物の絵の美しさと丁寧さを見ていただきたいと思い新しく編集し、刊行した。小学低学年~一般。

 

 

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鉢かつぎ姫 (新・講談社の絵本) (日本語) 単行本 - 2002/2/18 広川 操一 (著)

大きな鉢をかぶせられたむすめは、父にもすてられ、さまよっているところを中将どのにすくわれた。…『御伽草子』に描かれた日本のシンデレラ物語。

 

 

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花咲爺 (新・講談社の絵本)
鰭崎 英朋 (著)

優しいおじいさんとおばあさんの飼い犬しろが、ここほれわんわん、という。その場所を掘ると、小判がたくさん。昭和10年代に一流の日本画家によってすみずみまで丹念に描かれた「講談社の絵本」を現代仮名遣いで再現。

 

 

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舌切雀 (新・講談社の絵本)
鴨下 晁湖 (著)

怪我をした雀を助けたおじいさん。しかし、おばあさんは米で作ったのりを食べてしまった雀に腹をたて、雀の舌を切ってしまう。昭和10年代に一流の日本画家によって丹念に描かれた「講談社の絵本」を現代仮名遣いで再現。

 

 

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牛若丸 (新・講談社の絵本)
近藤 紫雲 (著)

平家と戦ってやぶれた源義朝の子、牛若丸は、打倒平家を誓って鞍馬山の山中で剣の稽古に励んでいた。心が躍る英雄物語。一流画家が描いた名作絵本を現代かな遣いで再刊。

 

 

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一寸法師 (新・講談社の絵本)
笠松 紫浪 (著)

1寸の小さい姿で生れた男の子が、おもいがけない能力を発揮して成功し、鬼退治で手に入れた打ち出の小槌によって立派な若者に成長する物語。笠松紫浪が描く。1937年刊を現代仮名遣いにして再刊。

 

 

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