本条蔵(仮)

「読み聞かせ用の絵本を探してる!」
「どの歌集を買おうか迷ってる!」
というひとの参考になるかも、ならないかも。

『絵本 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子)

2022-08-06 22:48:36 | 絵本
十年以上前のこと。
友人が、インターネット上でこんなアンケートを採ったことがある。
「以下の本のリストのなかで、あなたの家(または実家)にあった本すべてにチェックを入れて送信してください」
リストには、いかにも「いろんな人が持っていそうな本」が並んでいた。
夏目漱石、赤川次郎、向田邦子……などなどの作品が並ぶなか、見事第一位に輝いたのが、この絵本の原作である『窓際のトットちゃん』だった。
……と思う。
だいぶ記憶があやふやではあるが、たぶんそう。

そんな『窓際のトットちゃん』を、大きな字&挿絵で読みやすくアレンジしたのがこちらの絵本。
今で言う「特別支援学校」のような学園で過ごしたトットちゃん(黒柳氏)の小学生時代が、ユーモラスに描かれた作品です。

全二巻で、原作から半分くらいのエピソードをまとめた感じの絵本になっている。
絵本に収録されているエピソードは、学校生活や家族とのあれこれが多め。
逆に抜かれているものは、愛犬や学友との別れなど、しんどいエピソードが多いかも。
一方で、否応なしに戦争に巻き込まれていく様を描いた「ヴァイオリン」「さよなら、さよなら」などは収録されている。
小学校低~中学年くらいの子供が、自分で読むのにちょうどよいバランスなのかもしれない。

読み聞かせにもよさそう。
お弁当の時間のあれこれが描かれた「海のものと山のもの」、小学校の教科書にも載っていた「畠の先生」、声に出して読むのがたのしそうな「はんごうすいさん」などのエピソードは、絵本版にもバッチリ収録されている。
個性とは、教育とは、戦争とは。いろんなことを考えるきっかけになりそうな一冊です。



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