睡眠の悩み解決

ゆったりと眠りたいよね。あなたの不眠はどの睡眠障害なのかチェック

2021-04-28

日本生活習慣予防協会の調査によると、国民(成人)の20%が慢性的な不眠に悩んでいて、そのうち15%が昼間の眠気に悩んでいるそうですよ。
「昼間の眠気=睡眠不足」と感じ、そういう状態が継続してしまうと「不眠症かも?」と疑ってしまう人も多いでしょう。

ところで、「不眠=睡眠障害」と思っていませんか?

確かに、不眠も人間の睡眠機能に障害を起こしているということで、睡眠障害に含まれることには違いありません。

しかし、睡眠障害は病名ではなく、人間の睡眠機能に障害を引き起こす病気の総称なので、その種類は、自己改善可能な軽少なものから医師の治療が必要な重篤なものまで多岐にわたります。

そこで、この記事では、睡眠障害の種類について解説します。

1.不眠症

睡眠障害の種類

(1)不眠症とは

成人の20%もの人が悩んでいる不眠の症状から紹介しましょう。

  • 寝付きが悪い
  • 何度も目覚めてしまう(中途覚醒)
  • 起床時間よりも数時間早く目覚めて眠れないまま朝を迎える

このような状態が続くと、起きている時間帯の体の症状としては次のような感覚が残ります

  • 朝から疲労感満載で体や頭が重い
  • 起床して3時間以上過ぎても頭がボウッとしてスッキリしない
  • 起きている時間の眠気や倦怠感がひどい
  • 注意力散漫になる
  • 病院に行くまではないけど、なんとなく体調不良が続く
  • 免疫力が低下して病気になりやすくなる

不眠という症状は、実は加齢によって増加していく老化現象のひとつでもあります。加齢とともに、脳を睡眠に誘う「メラトニン(以下「睡眠ホルモン」という)」の生成が体内でできにくくなっていくからです。
あなたの周囲でも、一定の年齢を迎えた人達が、「もう年かな?朝が早くって・・・」と言っている人がいませんか。
しかし、文明の進化とともに、不眠は一定の年齢を超えた人の悩みとはいえなくなりました。10代・20代・30代という若年層の不眠症も増加しはじめているのです。

(2)不眠の原因ともいえるストレスに要注意!

人の脳を睡眠に誘う睡眠ホルモンの量とストレスの量の関係は非常に密接であり、その量は反比例状態になっています。
ということは、ストレスが多いと睡眠ホルモンが減るということになります。
睡眠ホルモンが減ると脳を睡眠に誘う役割が不十分となって、不眠症状へまっしぐらなのです。

つまり、ストレス社会に身を覆いている人ほど、年齢に関係なく不眠に陥りやすくなります。

脳が感じるストレスとは?

ただし、ここでいう「ストレス」は、脳が感じる「ストレス」のことです。
人がストレスだと思うのは、「精神的なストレス」だけですが、脳が感じるストレスは、「精神的なストレス」だけでなく「体が感じる全ての苦痛」を含みます。

この体が感じる全ての苦痛とは、人の痛覚が感じる疲労や筋肉痛、怪我による傷み、病気による苦痛だけではありません。
この状態は、まだ精神的な苦痛の方に近いですね。

しかし、怪我や病気は、体内の臓器や細胞の疲労やウィルスやばい菌による攻撃によって生じた傷や細胞異常等々によって起る症状なので、この細胞の苦痛、すなわち「細胞のストレス」も脳は精神的ストレスと区別なく同じようにストレスだと感じてしまうのです。

だから、ストレスは睡眠の大敵なのです。

2.過眠症

睡眠障害の種類

(1)過眠症の原因とは?

過眠症とは、その名の通り過剰な睡眠になってしまう(寝過ぎてしまう)病気です。
過眠症のケースは、2つに分類されます。

  • 脳の覚醒(目覚める機能)に異常がある
  • 睡眠障害の状態に陥っている

(2)過眠症の種類

①   ナルコレプシー

世界的に見て1000人から2000人に1人、とくに10代で発症しやすい症状です。
特徴的な症状として、30分以内程度、気絶してしまうように無意識に眠ってしまって比較的スッキリ目覚めてしまうので、一見、「居眠りしてる」と勘違いされやすいのです。

だから、大人になってナルコレプシーだと判明した患者さんは、小学生や中学生に発症していたにも拘わらず、そういった病気がある事が世間に知られる前だったので、周囲の大人の無理解から「居眠りばっかりする子供」と悲しい子供時代を過ごした人も少なくありません。

②   突発性過眠症

この症状も昼間に異常に眠くなる症状ですが、これは昼寝が長いのです。1時間以上つづき、目覚めも悪く眠気がずっと続くような感じです。

ベッドに入れば10時間以上平気で眠ってしまうのに、それでも昼間に強い眠気に襲われて眠ってしまうので、病気である事を気付かないまま過ごすと、本人は非常に辛い状況に追い込まれてしまいます。

③   反射性過敏症

非常にまれな症状ですが、この症状も10代で発症するケースが多いといわれています。ただし、どういうわけか男性が発症するケースが多いのです。

「昼間の眠気」というレベルではなく、3日~3週間という長い期間単位で、強い眠気が続く期間を不定期に繰り返します。

この非常に強い眠気のある期間のことを「傾眠期」というのですが、余にも不定期に訪れるので、傾眠期から解放されて快適な日々が続いていたかと思えば、本人が忘れた頃に再び傾眠期が訪れてしまいます。

このように不定期で傾眠期が現れ、その頻度も予測できないので、睡眠の専門医でないと病院に行っても単なる寝不足や体調不良と誤診されてしまうことも珍しくないのです。

反射性過敏症だと知らなければ、居眠りばっかりのやる気のない人間であるように、誤解されてしまって、社会の一員として非常に困った状況になってしまいます。

3.夜中に何度も目が覚めるのは睡眠時に息してないかも?

睡眠障害の種類

(1)睡眠時無呼吸症候群とは

「睡眠時無呼吸症候群」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
何らかの原因で、睡眠中に息が止まってしまうことが何回もある状態です。

睡眠専門外来のある病院で一晩泊まって、睡眠時の脳波検査をして、通常1時間に5回以上無呼吸の状態が生じた場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。そして、成人病にかかりやすい世代に多い症状だといわれています。

睡眠中に無呼吸状態になる人の場合、一概にはいえませんが、睡眠中に筋肉が弛緩してしまった舌が、気道を塞いでしまうことで窒息状態が生じてしまうケースが多いので、枕を調整したり、気道を確保できるような寝姿勢を保つという工夫することで改善される事も多いですよ。

ちなみに私の知人は、枕を低めにして、交通事故のむち打ち治療で使った「首ネック」をはめて寝たら改善されたそうです。
首ネックは誰でも持っているものではありませんし、首ネックに違和感を感じて眠れない人もいるかもしれません。

しかし、首ネックの代わりになるもの(例えば厚紙にタオルを巻いて首に巻いてみる等)で代用してみて、違和感なく眠れるようであれば、気道を確保する寝姿勢を保つ効果を維持できて効果がありそうですね。

(2)睡眠時無呼吸状態で睡眠が浅くなるメカニズムとは

①無呼吸は生命の危機!脳が警報を鳴らし脳が安心するまでの体の状態

そもそも睡眠中は、細胞レベルで体のメンテナンスを行なっているのですから、その時に細胞の燃料ともいえる酸素が不足するということは、細胞のメンテナンスも不十分になってしまいます。

また、酸欠は生命の危機です。どんなに眠りが深く(ノンレム睡眠状態)でも、無呼吸状態が続くと、本能レベルで生命の危機を脳が察知し、脳が大慌てで体中に警報を鳴らし、身体中の筋肉を目覚めさせるのです。

ノンレム睡眠(深い眠り)中は全身の筋力が緩みきって動けない状態ですが、体中が火事場の馬鹿力状態で、緩みきった筋肉が急ピッチで目覚めの体勢に突入するのです。

こうして呼吸を遮っている状態を脳が探し、その状況を排除し(舌が期間を塞いでいるなら舌を動かす)、無理矢理横隔膜を引き下げ呼吸再開です。ここまでがんばって、生命の危機から脱出したと脳が判断したら、脳は安心するのです。

②   睡眠中に呼吸が止まると自覚症状は?

呼吸が止まった時間が長すぎると、窒息状態が長かったわけですから、酸素を求めて大慌てでハアハアと呼吸をします。その間に完全に目覚めてしまいます。中には、喉の異様な乾燥や横隔膜周辺の鈍い痛みによって「息してなかったかも!?」と自覚する人もいます。

しかし、無呼吸の時間が短くて、呼吸が再開するだけで息苦しさが解消した場合では、一旦脳の警報で全身が目覚めているものの、まだまだ寝起きの寝ぼけた状態です。

そんな普通の寝ぼけ状態では、生理現象としてトイレに行きたくなってしまったことだけ意識に残って、トイレで目が覚めたように思ってしまう人もいます。
もはや息苦しかった無意識状態の脳の警報なんて忘れてしまうことの方が多いかもしれませんので、「昼間の眠気と夜中のトイレは、睡眠時の無呼吸の重要なサインかも?」と頭の端っこに置いておいてくださいね。

無呼吸状態が、完全に目覚める(覚醒)前に改善された場合は、目覚めないこともあります。目覚めてもすぐに眠って一瞬目覚めたことを、朝には忘れてしまっていることもあります。

睡眠時に無呼吸の人は、いびきが酷い人も多いようです。
だから、いびきが酷いと家族から言われている人は、家族に「いびきが止まってるのに気付いたら息してるか確かめて」とお願いしてみrうのも一つの方法です。息していたら安心ですね。

③睡眠時無呼吸の状態で、脳の睡眠サイクルはどうなる?

このように眠っている間の脳の頑張りに気付かなかったとしても、酸欠状態を察知して一旦脳が警報を出した以上、たとえ一瞬だとしても運動神経が全身を駆け巡ったのですから、眠りは目覚めるだけの浅い状態(以下「覚醒準備状態」という)になってしまっています。

下のグラフ(図1)は、健康で良質な睡眠の人の脳波から睡眠の深さをグラフ化したものです。そして下のグラフ([図1])の浅いノンレム睡眠中の緑色部分が「覚醒準備状態」といえます。

脳が警報を鳴らしたら、ノンレム睡眠状態から一気に覚醒準備のためのレム睡眠状態となろうとするのですから正常な睡眠サイクル([図1])が乱れてしまいのは当然です。

[図1]健康で良質な睡眠のとれる人の睡眠サイクル

【引用元】眠りのメカニズム(図4)|eヘルスネット(厚生労働省)

睡眠時無呼吸が頻繁に起こるような睡眠時無呼吸状症候群になてし待ったら、もはや脳は酸欠でしょっちゅうたたき起されているような状態といえます。どんなに睡眠時間が長くてもレム睡眠状態ばっかり長くて、不眠状態とさして変わりないといっても過言ではありません。

(3)睡眠時無呼吸が引き起こす病気がある

また、睡眠時無呼吸になってしまう人は、高血圧、脳梗塞等になる可能性が高いともいわれますので、成人病予備軍年齢(35歳以上60代くらいまで)に達している人で、少しでも思い当たる人は、念のために一度睡眠外来のある病院で検査を受けてみるのも、成人病予防のひとつです。

4.体内時計が狂ってしまう概日リズム睡眠障害とは

(1)太陽光を浴びることで改善できるうちはまだ軽傷

体内時計が狂ってしまうということは、自分が眠りたい時間に脳が眠る体勢になっていない状態です。だから、目が冴えて寝付きが悪くなるのは当然ともいえます。

寝付きが悪いと、寝付いてすぐに深い睡眠には入れませんので、正常な睡眠サイクル([図1]参照)を形成しにくく、不健康な睡眠になってしまいがちです。

ここで「良質な睡眠?」「睡眠サイクル?」と思った人は、下記記事を読んで下さいね。

■ 睡眠障害の判断基準は睡眠時間ではなく良質な睡眠だったかどうかです ■

体内時計が崩れやすい生活スタイルとは、昼夜逆転生活、深夜までの夜更かし習慣、高齢者に多いの異常な早寝早起き習慣等があげられます。このような状態は、体内時計を正常に戻す規則正しい生活を送ることで、多くの場合改善が期待できます。

三交代・二交代等の交代勤務で昼夜逆転生活を余儀なくされている人は、体内時計が崩れ安い状況を余儀なくされ、生活習慣を改善できにくい環境にいる人は、もはや睡眠障害は職業病ともいえるでしょう。

(2)体内時計が太陽光でもリセットされなくなった

一方、脳の体内時計を司っている部分に異常をきたしているケースも考えられます。
通常、健康な状態では、脳は太陽光によって体内時計はリセットされます。

地球は25時間で1周しますが、人の1日は24時間です。
この1時間のズレを脳は太陽光を浴びることで毎日リセットしています。
不規則な生活が原因の体内時計の乱れは、カーテン越しでも良いので太陽光を10分以上毎日浴びることで通常改善されます。

太陽光を毎日浴びても改善されない場合は、脳の病気によって体内時計のリセット機能が弱くなっているかもしれません。

5.その他睡眠障害

(1)体の不快感や動きで目が覚めてしまう

むずむず症候群や周期性四肢運動障害です。

これらの症状が起きてしまう原因は未だ不明であり、睡眠に大きく悪影響を及ぼすだけでなく、その症状は非常に不快で辛い状況だと思います。四肢運動障害は大人になると自然と治ることもありますが、それまで我慢するのは辛すぎるので、我慢せずに医師に相談しましょう。

①   むずむず症候群

寝ている間に脚がむずむずして、気持ち悪くて目覚めてしまうことです。

無意識に足でかいて解消して寝続けることができる場合もありますが、1度で終わるわけではないので、こういう状況が何度も続くと、もはや脳にとっては生命の危機とはいわなくても、むずむず解消のために脳が警報を鳴らしている状態にあります。

こうなると、程度の差こそあれ、睡眠時無呼吸状態と同様に、夜中に何度も目覚めたりして、睡眠に悪影響を及ぼし、昼間の眠気の原因となります。

②   周期性四肢運動障害

寝付いたばかりの頃に筋肉が軽い痙攣が起きて、ピクンと体が動く状態をいいます。これをジャーキングといいます。このジャーキングは誰でも起きる生理現象です。

疲れがひどいときには、ノンレム睡眠の後のレム睡眠時にも起こることがあります。

ジャーキングは生理現象ですから、一般的に睡眠に悪影響を及ぼさないのですが、このジャーキングも度を超えて痙攣となり、頻繁な痙攣や、痛みが強烈な痙攣になってしまうと、脳にとっては突発的な緊急事態です。これまた脳が警報を鳴らして、睡眠サイクルが乱れ、睡眠に悪影響を及ぼし、昼間の眠気の原因となります。

(2)睡眠時随伴症

寝付いたばかりの時の深いノンレム睡眠に入る前の浅い眠りの時やその他レム睡眠時には、脳は起きているので、夢を見たり寝言を言ったり、寝返りを打ったり、いびきをかいたりしています。
しかし、この普通の睡眠中の寝言や寝返りといった行為も度を超えた状態になったら脳が起きてしまいます。

睡眠中に脳が休息できないような激しい行動をしてしまうことを睡眠時随伴症といいます。

①   夢遊病

寝たまま動き回るいわゆる夢遊病といわれていて、普通の夢は、頭の中だけで上映されている映画のようなものですが、夢遊病の人の意識で解説すると、映画の観覧者が映画の中に入って実際に動いてしまうような感じです。夢の中の動きと同じ動きを起き上がってリアルに行なっているわけです。一般的に動き回っているときは寝ぼけた状態で、目覚めた時には覚えていません。

②   手足を夢と同じようにバタバタ動かす

夢遊病のように実際に起き上がって動くのではなく、夢の中の自分と同じ行動をベッドの中で行なう大きな動きをする症状もあります。

③   夢と同じように大声で話す(怒鳴る・泣く・わめく・悲鳴を上げる・・・etc.)

また、動きだけでなく、夢の中の台詞や大声・悲鳴等を実際に声にしてしまう状態です。寝言のレベルを超えて、ものすごく大きな声だったりします。
悲鳴や泣き声だったりすることが多いので、自分の声で驚いて起きてしまうこともあります。

④   リアルな悪夢

現実であるかのように余にもリアルな夢で、しかも、恐怖や生命の危機、不安等、良い夢ではないので、夢の中の感情が目覚めた時にリアルに残っている状態で、目覚めは最悪な状態です。

【結論】睡眠障害は万病のもと!病気が原因になってることも?

睡眠障害は、単なる不眠だとしても、自己改善できずに、1週間以上続くと慢性化したり、体調不良に繋がったりします。
脳を含め全身のメンテナンスの大切な時間が睡眠時間です。
その睡眠に最も大切な正常な睡眠サイクル([図1]参照)を乱すような行動は、睡眠の悪影響にしかなりません。

睡眠障害は、「病気のもと」です。

しかし、病気が良質な睡眠を妨げる原因となっていることもあります。
睡眠障害も病も早期治療が大切です。

そういう意味でも、この記事を読んで心あたりが少しでもある人は、早めの対処が必要です。生活スタイルの改善で睡眠障害が改善されないときは、医師に相談することをお勧めします。

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