2022年1月20日木曜日

おもしろ駅弁容器と商標

 商標弁理士のT.T.です。
 当ブログでもご存じのとおり、私は色んな場所へ行ってますが、旅のスタイルは基本的に鉄道です。その理由はいつか語るとして、やはり鉄道旅の楽しみの一つが、駅弁だと思います。
 そんな駅弁好きにたまらないイベント、「57回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が、202217日~20日まで京王百貨店新宿で開催されていました。
 私が、そこでお目当てにしたのが、「新SL大樹日光埋蔵金弁当プレミアム(東武日光線 東武日光駅)」。一見、お子様ランチに見えて、中身は鱒寿司の高級駅弁です(2000円)。

 そうです。
 私は、駅弁の中でも、食べることではなく、おもしろい形状の容器を集めることを楽しみにしているのです!



 なぜ私が、おもしろ駅弁容器のコレクションに魅了されてしまったかといえば、弁理士試験合格直後の冬、青春18きっぷで、最南端「西大山駅」~最北端「稚内駅」の日本南北縦断をしていた時、食した駅弁がきっかけでした。それは、国境の長いトンネルを抜けた末、購入した「雪だるま弁当」(三新軒 新潟県・新津駅)。
 雪だるまの形状をした可愛い弁当箱に具材が詰め込まれており、食べ終わった後は、貯金箱にすることができます。
 その「雪だるま弁当」の容器裏側には、「意匠登録出願済」という興味深い刻印があります。
 「特許出願済」という広告は良く見ますが、「意匠登録出願済」は中々お目にかかれない(私だけ?)。「意匠登録出願済」という表示は、先願主義との関係では問題になるのかもしれませんが、おそらく「雪だるま弁当」は意匠登録されていないことから、意匠権的には単なるハッタリかもしれない?!

 そういうことで、駅弁に表示された「意匠登録出願済」の刻印から、駅弁容器と知的財産法との関係性をますます知りたいと思い、おもしろ駅弁容器のコレクションを始めたわけです。

 

 ところで、この「雪だるま」は、商標登録もされていました(登録2204704号・登録2215284号・登録2215880号・登録2302246号 但し現在、全て権利失効)。

(登録2204704号など)

 「雪だるま」の商標登録は、立体商標制度が施行された199741日以前の商標登録出願なので、全部平面図形です。なぜか指定商品は、「弁当箱」や「弁当」ではなく、21類「なべ類」や4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)」といった全く関係ないものが指定されており、謎が深まります。
 

それでは、立体商標登録(出願)されている駅弁はあるでしょうか?3つありました。

1つ目が、富山駅弁「ますのすし」(登録5120124号)。「富山ますのすし」の文字や、マスの図形等に識別力があることから、登録されて当然でしょう。

(登録5120124号 30類「ますを使用してなるすし」) 

2つめが、松阪駅弁「モー太郎弁当」(商願2010-30834)。その名のとおり、松阪牛が使用された駅弁です。また、容器の蓋を開けると、童謡「ふるさと」のBGMが流れる点でも、他の駅弁とは一線を画しています。しかしながら、なぜか識別性がない等の理由により拒絶査定となっているようです。

(商願2010-30834 30類「べんとう」)

 3つ目が、高崎駅弁「だるま弁当」(商願2021-25379)。こちらも、識別性がない等の理由で拒絶査定となっています。「だるま弁当」は駅弁の中でもかなり有名であり、1973年からこの駅弁容器のまま販売を継続しており、さらに、だるまの生産量8割が高崎であるといった点から考えても、商標登録の余地はあるように思えますが。

(商願2021-25379 30類「弁当」) 

今回は、おもしろ駅弁容器をテーマにしてみましたが、私も、駅弁容器コレクターとしては、まだまだ修行が足りません。東日本の駅弁は、東京駅の駅弁ショップである程度制覇できましたが、西日本の駅弁はまだまだ集めきれていないからです。最近、二つ名を持つ弁理士が増えているらしい(?)ですが、私もいつかは、「駅弁弁理士(エキベンベンリシ)」を名乗れるよう、これからも精進いたします。

T.T.


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