町田ゆかりの版画作家、門坂流の企画展示がやっていた。小笠原流とか二天一流みたいな流派の名前かな?とポスター見たとき思ったけど、カドサカ・リュウさんでした。
京都生まれで東京芸術大学で油絵を学び、町田にアトリエを構えてペン画・水彩画・銅版画を中心に創作活動を行ったそうです。
すごいうまい人、大学で学んだ学科と違う分野専攻しがち。
イラストレーターとしても活躍し、小説の挿絵なども担当していたそうだけど、和書は基本的に読まないからわかんないな…いや、避けてるわけじゃないんだけど世の中に本が多すぎて手が回らなくてさ…
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「蔦の絡まる教会」
この絵は自信がないけどどこかで見たことがある気がする…何かの挿絵に使われていたのだろうか。似た別の絵かもしれないけれど。
この人の作品も基本的に横線ですね。カナレットとは違って短い線だけれど。
蔦の部分が風で唸り、なんかクトゥルフ味のある世界観。ドア付近の金具もうねうねとしてなんか教会っぽさが薄い。ドアの向こうに何があるんだろうね。
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「蔓草」
42×68㎜という非常に小さな作品。でもめちゃ精密な作品。
蔓草の実の部分かな。ここに注目する?っていう。自室に飾っておきたくなるような作品。
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「梢」
不穏~めちゃくちゃ不穏~~
冬の空。葉の落ちた木の枝を下から見上げている。雨雲というほどではない薄い雲が渦巻いている。たったそれだけで何の物語性もないのに、なんでこんなに不穏なのだろうか。冷たく乾いた感じ。命が感じられないからだろうか。
渦、曲線、うねり。この辺がなんか不穏な感じがするんだな。ティム・バートンの映画もそうだし、私だけじゃなくて共通的なものなのだろうか。
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「『水の光景』早瀬」
こちらも曲線だけで構成されているのに、すごくさわやかな作品。
一版多色刷だそうです。原版に複数の色を乗せて刷ることでこんなグラデーションが生まれるんだね。
手前から奥へと吹き抜ける風。まぶしくて見えない川の上流。そこに何があるのかわからないのは先の「梢」と同じだけれど、こちらがあまりクトゥルフ味ないのは何だろうね。色?やっぱ色は大事なのかな。
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無料小展示ね~一応観とく?くらいのノリで入ったらめちゃくちゃカッコイイ作品群でびっくりした。得した気分。
でも能面が浮いてる作品とか、やっぱり全体的に不穏は不穏。
不穏好きだよな日本作家。私も好きです。