病院で働きだして業務に慣れた。養成校時代の教科書では物足りなくなってきた病院栄養士向けの記事です
この記事は私がTwitterで発信している「1日ひとつだけ強くなる」をまとめました。 【451日~475日目】
451日目
脂肪乳剤の禁忌・慎重投与
- 血栓症
- 重篤な肝障害
- 重篤な血液凝固障害
- 高脂血症
- ケトーシスを伴った糖尿患者
連用する場合には肝機能・血中脂質・血液像・血液凝固をモニタリング
452日目
Q:必須脂肪酸欠乏を採血で評価したい
A:脂肪酸分画を測定
エイコサトリエン酸とアラキドン酸の比(T/T比)がわかるので、必須脂肪酸欠乏の指標となりうる
恥ずかしながら私は使った事は無いのですが、知識として。欠乏の症状も評価
453日目
BCAAの生理機能
- 筋肉でのエネルギー源
- アラニンを介して糖新生に利用
- 蛋白合成促進
- 蛋白分解抑制
- 血液脳関門でAAAと競合
- 血中アンモニアの解毒
特に手術侵襲期や肝性昏睡時などの有用性が認識されてる
454日目
鉄は原子番号26、元素記号Fe
タンパク質に結合したヘム鉄と無機鉄の非ヘム鉄に分けられる。
ヘモグロビンや各種酵素を構成し、欠乏は貧血や運動機能、認知機能等の低下をまねく。吸収は十二指腸から空腸上部
455日目
Q:ガレ様の排液とは
A:胆汁の様な排液のこと
胆汁漏の状態で、ドレーン排液の性状を確認(NSの観察項目に大抵入っている)
絶食の時、経口を始めた時、食形態アップをした時、脂質制限解除の時など、節目の栄養評価の一つにしたい
456日目
鉄
体内鉄が減少すると吸収率は高まるが、充足時には過剰な鉄は腸管上皮細胞内にフェリチンとして貯蔵。
腸管上皮細胞の剥離にともない消化管に排泄される
457日目
ミニトラック
輪状甲状間膜を穿刺して、カテーテルを入れることで、緊急時の気道確保や痰の喀出をするためのキットのこと
食べる能力が患者さんにあれば、カテーテルは阻害にはならないので、食事は食べられる
458日目
成人における血圧
■正常
・家庭血圧
収縮期<115 かつ 拡張期<75
・診察室
収縮期<120 かつ 拡張期<80
単位はmmHg
高血圧は脳卒中や心血管病のリスクとなる。血圧と関係の深い食塩、日本人は摂取量が多い
459日目
高血圧の分類
- 正常血圧
- 正常高値血圧
- 高値血圧
- Ⅰ度高血圧
- Ⅱ度高血圧
- Ⅲ度高血圧
- (孤立性)収縮期高血圧
基準となる血圧は診察室血圧と家庭血圧で値が異なる。家庭血圧の方が設定は低め
460日目
鎮静
鎮静中は消化管の動きが悪くなるので、鎮静前にご飯を食べていたとしても、消化器症状には要注意
鎮静が深いほどお腹が動かない傾向
どれくらいの程度を鎮静の目標としているかと、現在の程度。程度はRASSスケールなど
461日目
COVID重症に対する栄養管理
- ICU入室後24~36h以内、挿管・人工呼吸装着後12h以内の早期EN
- 低栄養・ICU滞在が長いと予想される場合はPN
- 低栄養にはPN、栄養リスクが低い場合は5-7日遅らせる
- ENは持続投与
- 腹臥の時は10〜25度の挙上
- etc
overfeeding注意
462日目
COVID19重症の栄養
- 1日目標エネルギーは15〜20kcal/kg ABW
- タンパク質は、1.2〜2.0g/kg ABW
※肥満(BMI30〜50)
- 11〜14kcal/kg ABW
- タンパク質2.0g/kg IBW
ABW▶︎実体重
IBW▶︎理想体重
人工呼吸器とP(a)O2の見方
FiO2(吸入中酸素濃度)
0.21~1.0人工呼吸器から押し出され体の中へ投与している空気の酸素濃度。大気中が0.21(酸素21%)。体の中に酸素が行き渡っているかはPaO2を見る
呼吸の状態で病態の把握、経腸のプラン検討したい
464日目
呼吸器の設定
・PEEP
基本的には強くかければ酸素化が良くなる。しかし、PEEPを上げすぎると、肺が押されるので、心臓に血液が戻りにくくなる。心拍出量が下がる
栄養とは直接関係ないが、病態把握したい。呼吸器装着中のENは嘔吐に注意
465日目
術後縫合不全時の栄養
栄養療法と消化液分泌抑制剤や,血液凝固第ⅩⅢ因子との併用が消化管瘻に有効な場合がある
術後侵襲、低栄養、縫合不全の異化亢進によってⅩⅢ因子合成能が低下したときに補給を。ちなみに、ALBが低すぎると適応外らしい
466日目
食欲不振の原因検索
- 口腔内に問題があるか検討
- 口内炎、舌炎
- 虫歯
- 義歯不適合
- 欠損歯多数。残存歯20以下
- 乾燥、汚染、舌苔
口腔内の観察は侵襲もなく、情報量が多い。ペンライトで照らして充分に観察したい
467日目
鉄の吸収率
アメリカの通常の食事で16%との報告がある。2010年の報告ではヘム鉄が50%、非ヘム鉄が15%とされている
吸収率は食事中のヘム鉄のと非ヘム鉄の比率、吸収・阻害因子に左右される。代表値を決めるのが困難
468日目
食欲不振の原因検討
〜消化器系〜
- 消化器症状があるか
- 嘔気嘔吐
- 腹痛
- 下痢、便秘
- 黒色便、潜血便
- 消化器疾患があるか
- 逆食、胃炎、胃潰瘍など
- 消化器に対する手術の既往があるか
- ダンピング症候群があるか
- 短腸症候群があるか
469日目
腹膜炎
分類:限局性or汎発性
- 腹膜刺激症状
- 圧痛
- 反跳痛
- 板状硬(筋性防御の強い状態)
腹膜炎の時は経腸栄養が出来るかはよく考えないといけない。炎症でお腹が動いてない事が多い
470日目
入院患者さんの既往歴を見たとき
- 陳旧性脳梗塞
- 構音障害
- 嚥下→食形態
- 麻痺→活動度低下の可能性、筋力低下、自力摂取など
- 抗凝固薬(?)
もっとあると思う
ひとつの情報からでも栄養にかかわる項目がないか掘り下げたい
471日目
固形物は液体飲料とは異なり、幽門を通過出来る大きさの直径1mm以下までに物理的な消化あるいは粉砕が必要
上記の条件を満たした固形物は、食後2〜3時間までに幽門を通過する。
しかし、食後2〜3時間が経過した空腹期には消化管蠕動が起きて胃は空になる
472日目
鉄の過剰摂取
通常の食生活で過剰摂取が生じる可能性はないが、サプリ・鉄強化・貧血治療用の鉄剤の不適切な利用でおこりうる
鉄を過剰に摂取すると臓器への鉄沈着があり、慢性疾患の発症リスクを高める。
耐用上限量は食事摂取基準を確認
473日目
ワレンベルグ症候群
延髄の動脈が閉塞する事で起こる脳梗塞の一種
典型的な症状として…
- 飲み込みの障害
- 病側と反対の体の感覚障害
- めまい
- 手足の伸ばす方向が定まらない
急性期は絶食・経管栄養。嚥下食で対応出来ない病態も知っておきたい
474日目
膵頭十二指腸切除後の胃内排出遅延
20〜25%に合併する。亜全胃温存の方が起こりにくく、再建ではB-Ⅱ、R-Y、B-Ⅰの順で起こりにくい
薬物療法として六君子湯が効くかも。食事は患者さんと相談、形態変化で解決しない事も多い
長引きそうなら強制栄養補助
475日目
経口でのリン(p)の補給
アルジネードがおすすめです。
1本125mlで600mgを補給できます
液体ですし、脂肪も食物繊維も含みません。
さっぱりした味付けでONSの中では飲みやすい
つづく