現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

~ロシア語ガチ勢のためのブログ~

итди と пойти は同じ動詞ですか?(ロシア語の生徒さんからの質問集!!NO.26~NO.30)

私は通常、だいたい15名の方にロシア語をオンラインと対面方式でほぼ毎日教えております。その中で、受講生さん達から日々質問を受けます。その中の一部をこれより定期的に配信していきます!あなたのロシア語学習の一助、最低でも励みになれれば幸いです。

 

ロシア語生徒さんからの質問 NO.26

 

🍏質問「教科書に Я читал этот роман. を”私はこの小説を読んだことがある”と訳している例文がありました。どうして完了体動詞ではないのですか?」

 

🚩回答
完了体動詞の意味合いとして、よく参考書に記載されているのは、

①1回の動作
②一瞬で完結する動作

の2つです。質問の趣旨としては、「小説を読んだのは1回なのに、なぜ不完了体なのか?」だと思います。

完了体動詞の意味合いが上の①②だとすれば、逆に言えば、不完了体動詞の意味合いは、それ以外と言い換えることができます。

 

つまり、
①多数回・習慣的な動作
②継続的な動作
③事実確認

不完了体動詞は、完了体動詞の①②の裏側の他に、③があります。これは、「単に動作そのものの確認をする」ということです。

Я прочитал этот роман.
Я почитал этот роман. 

上記2例は完了体を使ったパターンですが、

上例だと「読み終えた」、下例だと「少し読んだ」という完了体的なニュアンスがでてしまいます。

こうした”余計なニュアンス”を排除するのが「③事実確認」です。

ただし、事実確認の中には過去形のみですが「経験」というニュアンスも文脈上ありえるため、参考書によってはこの「経験」を独立したニュアンスとして紹介しているパターンもあります。

 

~不完了体動詞の「事実確認」の例~

◆ Ты ещё не читала статью?
君はまだその記事を読んでいないのか?
(※読み終えたかどうかは聞いていない。「読む」という行為そのものを尋ねている)

◆ Я не слышала такого мнения. 
私はこんな意見を聞いたことがない。(経験)

◆ Да, масло покупал.  
はい、バターを買いました。
(※バターという情報に主眼が当てられており、「買う」動作そのもののニュアンスの重要性が薄れているパターン)

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ロシア語生徒さんからの質問 NO.27

🍏質問「итди と пойти は同じ動詞ですか?」

 

🚩回答
同じ動詞かどうかは、実は見解が分かれているようです。

同じ動詞と考える人は、どちらとも「移動の動詞」の定動詞ですが、「体」が異なっていると考えています。

つまり、

идти: 不完了体動詞 
пойти: 完了体動詞

ということです。

идти は不完了体動詞です。つまり、現在形の場合の訳し方は「(どこかに)行っている、向かっている」というようなニュアンスになります。

それに対し、完了体動詞のпойти は「出発する」という意味になります。

これは、”行く”というのが一瞬の動作として考えられた場合、その動作の開始の瞬間という捉え方をされるからです。

一般的に、教科書に記載されている移動の動詞の定動詞は不完了体です。これらに接頭辞 по- を付け加えることで、「動作の開始・出発」を表す完了体の動詞が完成することになります。

(完)поехать: 乗り物で出発する
(完)полететь: 飛び始める
(完)повести: 連れて行き始める

 

逆に идти と пойти が別の単語として考えている人は、前者が不完了体、後者が完了体の機能を果たしているという認識はあるものの、お互いにペアの「体」の関係性であるという意識まではないようです。

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ロシア語生徒さんからの質問 NO.28
🍏質問「3級(2級)試験の和文露訳はどうやったら書けるようになりますか?」

 

🚩回答
ロシア語作文の実力の向上は明確なバロメータでは測れないのが難しいところです。

「~を2時間繰り返したら和文露訳レベルが20UPした」というような話は聞いたことがありません。

成果や結果が客観的に可視化できないからこそ、せめて勉強する内容や量だけはきちんと数値化して、タスク化&ルーティン化することが大事かと思っています。

そうすることで、やる気や目標を見失ったり、勉強法がふわふわして迷走したりするのを防ぐことができます。

私がお勧めする勉強のルーティンは以下の通りです。

①過去問の「和文露訳」をとりあえず1題解く。
②解答・解説を読み込み、全センテンスの意味と文法事項を把握する。
③全文を10~15回音読
④もう一度、テスト形式で紙に書いて解いてみる。
⑤ためになるセンテンスをピックアップ

して、例文暗記ノートに記録する。

①~⑤のタスクを粛々と進めていくことが大切です。最初はボロボロだと思いますが、悩む必要はなく、ただ進めていくのみです。

このルーティンを約8~10題の過去問で進めていけば、ロシア語作文の実力がぐっとUPしていきます。

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ロシア語生徒さんからの質問 NO.29
🍏質問「2級試験の和文露訳ですが、日本語の原文の内容自体が難しすぎてロシア語訳など全く歯が立ちません。」

 

🚩回答
2級の和文露訳は伝統的に朝日新聞の天声人語(朝日新聞ばかりというところに政治色が垣間見れますが)が出題されているようです。ですので、日本語の表現がすでに小難しくなっているので、余計に難しく感じられるのかもしれません。

大切な事としては、表現の凝ったその日本語を、できるだけ自分が知っているロシア語の簡易な単語に置き換えるということです。

例えば過去問の解答では、「さらに一歩先の」という原文をロシア語では「передовой (先進的な)」と一単語で終わらせています。もしこの単語が出てこなければ、будущий (将来的な) でも十分正解になると思われます。

むしろ採点官が注目しているのは、
●単語の綴り
●動詞の不完了体と完了体の使い分け

●動詞の時制
●格変化、動詞の変化

の単純な書き間違え、または選択ミス、そして単純な訳抜け(「とても」「今朝」などの訳し忘れ)の方だと考えています。

 

これには2つの根拠があります。

1)誰の観点から見ても明白な間違いであり、反論の余地がない。

2)ネイティブらしくない稚拙な表現、微妙な語順、その他、回りくどい表現、スマートでない表現を✖にしてしまうと、ほとんどの受験生が不合格になってしまうからです。

私の生徒さんの中では過去に4人、2級試験にパスされていますが、どの方もそんなに上手な表現を過去問で書いていたわけではありません。

一方で単語の増強には真摯に向き合っていく必要はあります。「環境汚染」「経済損失」など、新しい言い回しを沢山覚えていくことで、自分のレパートリーを増やすことができるし、将来的なレベルを上げていくことができるようになります。

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ロシア語生徒さんからの質問 NO.30
🍏質問「ロシアは世界中から制裁を受けているのに、ルーブルが強いのはなぜですか?」

 

🚩回答
まず世界の国の数から言うと、ロシアに経済制裁を課している国の方が少ないです。
ですが、制裁を課している国のリストの中には経済的に豊かな西側諸国がほぼ全て含まれているので、ロシア経済に打撃を与えることはほぼ間違いないと言えます。

さて、ルーブル高が続いている原因ですが、それはロシアが国内でのルーブルの売却を厳しく制限しているのと同時に、ルーブルが国外に流出するのを必死に防いでいるためです。なぜなら、国内に残っているルーブルに関しては取引規制などで売買を管理できる一方で、一旦ルーブルが国外に逃げてしまったならば、その売却を取り締まることはできないからです。

具体的には、ロシア政府は海外と取引している国内企業に対して、営業で得られた利益の一部をルーブルに交換するように義務付けています。また、西側諸国からの貿易禁止により様々な輸入品の物不足がロシア国内で発生していますが、少ない商品に対するルーブルの量の多さから起因する物価高騰を防止するため、中央銀行が金利を20%(今は下がっています)まで上げました。また、ドルやユーロとの交換手数料を高く引き上げるなどして、一般の国民もルーブルを売却しずらい状況を作り出しています。

このようにして、一生懸命ルーブルの暴落を防ぐことによって国際的な面目を死守しようとしているのですが、代償はそれ以上に大きいと思われます。

まず、金利が物凄く高い(最低で17%)ので、国内企業はお金を借りることができなくなり、事業への投資や新規採用などを控えます。また、国民も銀行にお金を預けた方が見た目は増えるので、購買意欲を失います。結果として、今後のロシアはこのまま制裁が続くと、激しい不況に見舞われることになり、失業者が増えることになります。また、このことによって犯罪が頻発し、治安が悪化していくことも容易に想像がつきます。

進攻前のロシアは日用品からインフラ産業の部品まで輸入に頼っていた国ですので、輸入ができなくなる以上、今後は物不足からくる激しいインフレに襲われると予想されます。

中国やブラジルなどがロシア製品を買い、ロシア向けの輸出を継続するという希望的観測も多いですが、前述の通り、大規模な経済を誇る西側諸国からの貿易停止はどちらにしろ大きな打撃になります。

なぜなら、中国などの新興国では日本や欧米などの先進的な半導体技術がまだ十分に確立されておらず、今までの西側べったりだったロシアのハイテク産業部門はその製品などの業務上の保守ができなくなるからです。

また、ロシアを経済的・軍事的に支援することによる米国などからの二次的な経済制裁を自国にも課されるのではないかと、恐れている可能性がこれらの国にはあるからです。

ロシアがガスや原油を売って、外貨を稼ぎ続けているのは本当ですが、長期的目線を常に持っている国家の首脳や投資家から見れば、ロシア市場はもはやカントリーリスク(その国の政治・外交方針から予想できる投資的リスク)以外の何物でもなく、今後はロシアからの天然資源の購買と投資を控える方向に流れていきます。
もしあなたが100億円をもつ社長さんだったら、ロシアと他の国と、どちらに投資したいかを考えてみてください。ロシアでは既に原油がだぶついていたり、天然ガスを輸送せずに精製所で燃やしたりし始めています。

結論的には、ここ直近で欧米諸国が突然何らかの理由で激しく凋落しない限り、残念ながら、ロシアの中期的な未来は暗いと私は考えています。

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