こんにちは、なむら(@michipokomichi)です。
その日は午前中サッカーの練習だった。翌日は雪予報だったので数日前からどうするか考えていたが、最近調子が悪いので1日滞在するだけにした。
案の定、朝から頭痛がひどくて鎮痛剤を飲みたくて起きたくらいだった。しばらくして少し治ったと思ったら部屋を出る前にまた予兆を感じ、追加で飲んでから出発した。そして行く途中で夜の薬を持って来るのを忘れた事に気がつき、どうするか迷ったがもう踏切を渡ってしまっていたので戻る気にならずそのまま家に向かった。部屋に戻ってから飲めばいい、そう判断した。結局練習終わりのコーチの話が長くて家で1時間待ったので、取りに戻っても良かったなと思った。
お昼ご飯を一緒に食べて、宿題をみた。音読は「アメニモマケズ」だった。すっかり暗唱していた。でも意味は分かっていないらしく、「これってどういう話なの?」と聞かれた。宮沢賢治という有名な作家さんが書いた詩だよ、と返した。死んじゃった後に見つかった作品だから、たぶん本に載せようと思って書いたんじゃないんじゃないかなあ。ママには強くて優しい人になりたいって気持ちが伝わるよ、と調べれば分かることだが、あえて調べないで感想を伝えた。ミチは「ふーん」と分かったんだか分かってないんだか分からない返事をしたけど追及はしなかった。
次の宿題は漢字。漢字は見て書くだけなので簡単なものだ。それなのに出来ない。「これ、一文字目はなぞるだけだよね?なぞるだけなのになんではみ出ちゃうの?」エーンと言いながら消して書き直すミチ。「あのね、丁寧に書くって大切なんだよ。答えが合ってても、先生が読めない字だったらバツにされちゃうんだよ?」何回も言っているが全く届かない。たぶん痛い目に遭わないと分からないだろう。小学生のうちは言い続けるだろうなと思っている。
次は算数。小数点の問題だ。サラサラ〜と解いているが間違っている。しかしデシリットルを普段使わないので説明の仕方が分からない。完全に忘れている。教科書を見せてもらい、「ハイハイ……」と理解するも、諭吉も揃っても説明が難しい。リットルの問題は置いといて、メートルの問題にうつった。センチメートルをメートルに表すと?という問題だ。これはなんとかクリア出来た。
もうそろそろ宿題も相手にならなくなるな……そう思った。
少し休憩して買い物に出掛けた。夕飯のおでんは前日に仕込んであるので問題ないが、1週間の買い物をしにいつも行くショッピングモールに行った。
私はついて行くだけだ。今週献立何にするとかも聞かない。前は関わっていたが、2人の生活が出来ているなと感じた時からもうやめた。
車で行って、駐車場を知った顔でスタスタ歩くミチ。「待って!」と言っても聞かない。危うく横切る車とお見合いしてしまった。「駐車場なんだから、ゆっくり歩かなきゃダメだよ」と文字通り首根っこを捕まえた。「はあい」と少し反省した色を見せるもすぐ元に戻る。
おやつにアイスが食べたいとの事だったので、よく行くアイス屋さんに並んだ。諭吉は席取り係。「2個食べたいなぁ」と言うので、ギリギリ誕生月過ぎてしまっていたので「今日だけね」と返した。そしたら今度は「レギュラーがいいなぁ」と言い出した。いつもはスモールを食べている。「レギュラーにしたら味はひとつだよ」「やだ、2つ食べたい」「じゃあスモールね」並んでる間に味を決めていたのだが、注文時にその味が完売していると言われた。「どうする?」と聞くとすぐに別の味がミチの口から出てきた。それで注文する。こういうアクシデントにやはり弱い。臨機応変と言うのが出来ないので本当は諭吉に一緒に並んで欲しい。このひとつのきっかけで体調に変化が現れたりするのだ。
とりあえず無事買えたので席に座って食べる。騒がしいフードコートも苦手だ。たぶん諭吉は分かっていない。『座ってアイスを食べれている』という事実だけ見ている。やっぱりさっきのがきっかけでずっしりと心が重くなっていくのを感じた。
食べ終えてしまったので買い物に移動するが正直座って待っていたい。だがしかしそしたら何のために来たのか分からなくなってしまう。
足に鉛がついているんじゃないかというくらい重い。ミチはお構いなしにスタスタ歩いて行く。歩幅は私の方が広いが、歩くスピードはミチの方が断然早い。
小1くらいまでは手を繋いで、ミチのスピードに合わせていたのに今はミチの背中を見て歩いている。追いかけている。ミチが成長したのか、私の体力が無さすぎるのか。それとも両方か。
まずドラッグストアで日用品を買う。レジに並んでる最中にしんどくなってきたので、離脱してベンチに座った。ミチが「しりとりでもする?」と言ってきた。それは、私が何回もミチに言ってきた言葉だった。小さい頃レジに並んで待ってることが出来ないミチを連れてベンチに座り、「ママとしりとりしようよ」と気を引く作戦だ。
残念ながらしりとりは頭を使う。疲れているその時の私には頭を使うしりとりは出来ない。しりとりは出来ないなー……とつぶやいて、変わりのものも思い浮かばず、黙ってしまった。するとミチはこないだ買ってもらったキッズケータイで撮った写真を見せてきた。その前の週に、パンダが返還される前にと上野動物園に行ったのだ。色んな動物の写真を買ってもらったばかりのキッズケータイで一生懸命に写真を撮っていた。「この写真見た?欲しい?」次々出て来る。あぁ、もう勘弁してくれと思った頃にお会計が終わった諭吉がやって来た。
「じゃあ次はスーパーだね!」とミチはすっくと立ち上がったが私は立ち上がれなかった。重い腰を上げて「ママに体力が無くてごめんね」と言った。その日のコンディションが悪かったとはいえ買い物もろくにできない。自分が情けない、悔しい。涙が溢れて来る。
スーパーでも追いかけるのに必死でなんにも考えられなかった。翌日が雪予報だったからか、店内は混雑していてレジも行列だった。途中でやっぱり離脱した。ミチもなぜかついて来た。会話をしたかどうかさえ覚えていない。しばらくして待てなくなったミチが「パパもうレジ終わったかな?」と聞いてきた。「まだじゃない?」返事はしたと思う。我慢できなくなったミチが「見てくる!」と言うので仕方なく後を追った。ちょうど、レジの順番が来たところだった。スキャンが終わったカゴを作業台の方に持って行き、袋に詰めていった。こういう作業は無心で出来るからいい。
そして早々にショッピングモールから撤収した。
家に戻った時間は夕方だった。いつもならお風呂に入り、寝る準備も始める時間だ。これがお泊まりなら先にお風呂入って夕飯を食べたら歯磨きして寝室に行くコースになる。その日は部屋に戻るために休む時間がなかった。
おでんを温め直し、ミチの好きな具材は冷ますために避けておく。夕飯の時間になったらテーブルに運ぶ。こんな日くらい諭吉がやってくれてもいいのだが、それを言う元気も体力も気力もなかった。
食べ終わると次の週どうするか決めて早々に部屋に戻る事にした。もう目を開けているのもしんどかった。ミチに「次は何食べたい?」と聞いたら「えーなんでもいいよー」と言われた。それが1番困るんだけど……と思いつつ、普段部屋では食べれないメニューを考えた。諭吉に「いつもと違うメニューにしてみたら?」と言われたが、「なるべくダメージは少なくしたいのよ」と返した。「最近新しいメニュー出したりしてるんだよね」と言ってきたが、新しいメニューを調べるのも考えるのもしんどいのだ。それを諭吉はまだ分からない。
ちょっと諭吉は私を過信しすぎているのではと思っている。良くなっていると思っているステップが、たぶん私の認識より広い。ここらでまた入院した方が分かりやすいのかもしれない。入院まで行かなくても、家に行くのを一旦ストップしてもいいかもしれないと思うようになった。(退院した時に看護師さんに「もう戻ってきちゃダメよ!」と言われたのが頭に残っている為、「そうだよね……」と思う自分もいる。)
確実にミチは成長している。そんなに頻繁に行かなくてもいいのかもしれない。でもそれは私の願望だ。小3が親と離れて寂しくないなんてことあるだろうか?確実に毎週会えると分かっていればそんなこともあるんだろうか。
次にお泊まりになった時はミチに話を聞いてみたいと思う。
彼は彼なりに考えているはずだ。
話を聞ける環境作りをしていきたいなと思う。

一瞬で無くなったパンダまん。

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