森の空想ブログ

誰にも会わない旅[空想の森から<127]



朝4時過ぎに目覚めた。
由布岳の山頂付近が明るくなっており、少し待つと、雲が茜色に染まり始た。そ
れから徐々に山嶺を朝の光が装飾し、神々しいまでの朝焼けとなった。
昨日は、南阿蘇での企画展の展示を済ませて由布院まで、誰にも会わない旅を続けてきて、一人でビールを飲み、寝た。ただ泊まるためにだけ空想の森美術館に来るというのも、贅沢な旅のひとつに数えられるかもしれない。ただ、せっかく出かけて来たのに、誰にも会わずに帰るというのも淋しい気もする。これもコロナウィルス蔓延対策の一端であれば止む無しとしようか。



由布岳の朝焼けに出会えたことで、損失を帳消しにしよう。
仲間に会って手に入れる予定だった資料は届いていた。阿吽の呼吸がよろし。ここまで来たことは無駄にはならなかったのだ。
それから山道を駆けて南阿蘇へ。
近道をしたはずだったが、見慣れぬ山道に迷い込み、行くほどに山は深くなり、阿蘇の盆地が遠ざかる。さりとて、高千穂方面へ向かっている様子でもない。古い鳥居のある村を二つ通り過ぎた。阿蘇南外輪山の山中を走り続けているのかもしれない。
「高森市街→」という標識は出ているのだが、行けば行くほど遠ざかっている感じ。途中、山姥と見まごうほどの老婆が運転する軽トラックと衝突しそうになった。顔を見合わせ、にっこりと会釈をし合って離合する。
三叉路に大きな「猿田彦」の石塔があった。そしてそこにも高森市街の方向を示す標識。
――こんな時は、進むしか選択肢はないのだよな・・・
呟きながらなおも狭い道を進むと、突然視界が開けて南阿蘇の盆地が見えた。
長い下り坂も見える。
ほっとしたところでクララの群生を見つけた。
車を停めてザクザクと刈り取る。これで今季最後のクララ染めが出来る。木綿のシャツを鮮やかな黄色に染めよう。
ついでに野草茶の原料とするクマザサも採集。
予定より1時間遅れで会場に到着。
結構楽しめた迷い道であった。


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