イミグラン点鼻液の子どもへの使用と、使い方や副作用【ガイドラインでは12歳から】

イミグラン点鼻液の子どもへの使用と、使い方や副作用【ガイドラインでは12歳から】

頭痛に悩み小児科に受診するお子さんは意外と多く、片頭痛(ちなみに偏頭痛は誤字です)と診断されることも少なくありません。

基本的に子どもの片頭痛には「痛くなったら痛み止めを飲む」という対策が多いのですが、時に片頭痛専用の薬を使われることもあります。

その中でも子どもの片頭痛に使われることの多いイミグラン点鼻液について紹介します。

イミグラン点鼻液の子どもへの使用について

イミグラン点鼻液の添付文書には「小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。」と記載があり、広く子どもに使われているわけではありません。

 

しかし、「慢性頭痛の診療ガイドライン」には「スマトリプタン点鼻(イミグラン点鼻のことです)の推奨は12歳以上だが、6歳以上のRCTでも苦味以外の副作用はなかった。」と記載されているように、必要に応じて使用されるケースもあります。

イギリスでも12歳から使えていますし、12歳以上に使用したRCTの報告もあります。
※ただし、イギリスの添付文書では12歳に使えるのは日本の製剤の半量の10mg/回です。

 

このように日本のイミグラン点鼻液が12歳以上の使用に適しているかどうかは、賛否あると思います。
※「慢性頭痛の診療ガイドライン」には、「体重40kg以上で12歳以上であれば、成人と同量のトリプタン製剤を使用可能と考える」と記載があります。

 

また、イミグラン点鼻よりもアセトアミノフェンやイブプロフェンの飲み薬の使用が優先されるため、使用されることも多いとは言えません。

 

一方、イミグラン点鼻がアセトアミノフェンやイブプロフェンよりも適しているケースも考えられます。

片頭痛がある場合、これらの薬は速やかに使用することが望ましいですが、子どもの片頭痛は同時に吐き気や嘔吐の症状が出ることも多いです。

 

つまり、「飲み薬を早く飲んだほうが良いが気持ち悪くて飲めない」ということが起こりえます。

私が知っているのはまさにこのケースでしたが、このような場合に点鼻薬であることが効果的だと言えるでしょう。

また、アセトアミノフェンやイブプロフェンで効果不十分な場合などにも検討されるのではないかと考えます。

 

イミグラン点鼻薬ならではのメリットがある一方、デメリットとして使用後にのどの奥の方に強い苦味が出ます。

これが嫌で2回目以降は使用を避けるケースもあるようです。

イミグラン点鼻液の使い方や副作用など

イミグラン点鼻液は通常成人に使用される、1回で全量使い切りの点鼻薬です。

予防効果は期待できないため、頭痛が出てから使用説明書に書いてある通りにどちらか片鼻のみに点鼻してください。

 

鼻水・鼻詰まりがある場合は、使用前に鼻をかむことも重要です。

効果不十分かつ前回の投与から2時間経過していれば、2回目の投与も可能ですが、それ以上の回数は成人でも出来ません。

 

点鼻10分後には鼻粘膜から吸収された薬剤の血中濃度が上昇し、その後のどのほうに垂れた薬剤が消化管から吸収されたものも吸収されます。

食事による影響はないとされます。

 

併用禁忌の薬剤として、エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、5-HT1B/1D受容体作動薬(一部の片頭痛治療薬)、MAO阻害剤が挙げられます。

併用注意薬としては以下の薬剤が挙げられます。

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、セルトラリン塩酸塩)
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩)
  • けいれんの閾値を低下させる薬剤

 

この中でもけいれんの閾値を低下させる薬剤は多岐に渡りますが、子どもに短期間処方されて見逃すことが多そうなものとしては以下のような薬が気になります。

 

 

副作用としては、鼻症状(鼻炎、刺激感等)1.2%、苦み0.8%などの報告があります。

その他にも、薬が原因あるいは片頭痛が原因で眠気が出ることがあるので、車の運転などの危険を伴う機械操作には従事しないようにしてください。

 

頻度はかなり低いですが、重大な副作用としてアナフィラキシーショック、アナフィラキシー、不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状、てんかん様発作がまれにあらわれることがあります。

胸の痛みや違和感、頭痛が悪化するなど、急激な体調変化を感じたら速やかに相談するようにしてください。

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