新春黄金シリーズ2.19札幌大会のメインで行われる、
王者棚橋弘至vs挑戦者SANADAによるIWGP USヘビー級選手権。
これは棚橋弘至からの逆指名により決まったタイトルマッチであるが、
その決定までの経緯には1.5東京ドームでの棚橋のこのような心境が関係している。
↓
嬉しいとか、悲しいとか、悔しいとか、何の感情も残ってないです。ただ…ただあるのは虚無感……。虚しいだけ…。なんでオレ、プロレスラーになったのかな………。プロレスラーである自分を誇りに思いたくて……。ああ…はあ…ベルトは返ってきたけど、どっからスタートすればいいのか分からないです
ああ、藤波さんが好きだったなあ……。ああ、武藤さんに憧れたな。で、今、これか…(苦笑)。ああ……レスリングやりたいね。誰だ、SANADAとか? こってこての60分フルタイムドローのレスリングやりたいよ
(引用:新日本プロレス公式)
ご存じの通りこの1.5東京ドームでのタイトルマッチは、
当時の王者KENTAの要求によりノーDQマッチルールで行われた。
その試合は巨大ラダー上からのハイフライフローで勝利を収め、
王座奪還に成功したのだが、上述した試合後の棚橋のコメントを見ると、
彼の心は勝利の喜びより虚無感が支配したようだった。
俺のやりたかったプロレスはこんなものだったのか?
いや違う、もっとレスリングがしたいんだ。
ノーDQマッチが終わった後、棚橋弘至の心に去来した気持ちを
言葉にすると、きっとこのような気持ちだったのだろう。
そしてその時、その気持ちにピッタリの相手として浮かんだ相手が
自身も高く評価しているSANADAであったのだろう。
そのような経緯を経て、今回のタイトルマッチの挑戦者は
SANADAに決定したわけだ。
さてそんな二人による今回のUS王座戦。
いったいどのような戦いとなり、そのあとには何が生まれるのだろうか。
おそらく試合展開としては、棚橋が求める濃厚なレスリングを中心とした
戦いが繰り広げられることだろう。
ともに武藤敬司をルーツに持つ二人であれば、
前回のノーDQマッチとは一転した戦いが冬の札幌で展開されるだろう。
近年の新日本プロレスのタイトルマッチでは見られない、
二人の戦いは今後新たな名勝負数え唄と呼ばれることになるかもしれない。
そしてそんな二人が紡ぎだす戦いの先にはいったい何が生まれるだろうか。
そもそもUS王座アメリカを中心とした海外での運用が本来の目的だが、
現在のコロナ禍においてはその外国への往来は難しいことになっている。
よってしばらくは日本での活動が中心となるだろう。
しかし状況が許せば、昨年より活発化しているアメリカでの興行に参戦し、
新日本プロレスの伝道師としての役割を担う必要がある。
そう考えると今後日本マットでの王座獲りが期待されるSANADAより、
すでにレジェンドである棚橋弘至の方が適任かと思える。
海外でも新日本プロレスのアイコンとして知名度の高い棚橋が、
現地で外国人選手たちの挑戦を受ける。
このような展開がもっとも理想的かと思うが、はたしてどうなるだろうか。
さて2.19札幌大会では棚橋弘至が理想とし、かつSANADAも目標としている
クラシカルでありつつもモダンなレスリングが展開されるのか。
これまでのハードコアなイメージが強いUS王座選手権とは大きく違う、
これぞプロレスという戦いが見られることだろう。