ミュージカル<新興武官学校(신흥무관학교)>全体のあらすじ 一幕

 

※個人的所感を含みます

 

はじめに...

イ・ジンギさんのファンなのでチ・チョンチョンはイ・ジンギさんが演じた表現で書いています
キム・ソンギュさんのファンの皆さま申し訳ないです
ドンギュ、パルド、ナパル、ヘランは役者さんによってそれぞれの味があるキャラクターとなっていました
役者さんによって台詞や行動なども少しずつ変わる部分がありますが
このあらすじでは私が見た中で入り混じった記憶で書いています

 

 

<一幕>

 

ザクッザクッザクッザクッ
軍隊行進の踏み揃えられた足音が聞こえてきます

赤い日の丸が昇ります ←夕日かもですが...

 

幕が上がり真ん中にチ・チョンチョン(イ・ジンギさん)が背を向けて立っています
(軍服の上着の丈が短いです)

チ・チョンチョンは一呼吸すると身につけている銃と刀を日本兵士に差し出します

取り上げられる武器

悔しさでギュッと握り締める力こぶし ←注目
後ずさりして左へ走り去っていきます

(大韓帝国の軍隊解散による武装解除を表現しているのかもしれません...)

※チ・チョンチョンは1904年大韓帝国陸軍武官学校に入学しますが、2学年の時に軍部廃止により廃校処分となり、
政府留学生として日本陸軍中央幼年学校に編入し、1908年に卒業、日本陸軍士官学校へと入学します
留学途中に日韓併合となり、日本陸軍士官学校(予科3年+本科2年)の本科(歩兵科)には一般学生として編入しています

 

日本軍の侵略をドンギュ(コ・ウンソンさん/チ・チャンウクさん)とパルド(チョグォンさん/カン・ハヌルさん)はそれぞれ別々の場所で目の当たりにします

(大韓帝国の軍隊解散に向けた日本軍の兵力配置

大韓帝国軍の蜂起を鎮圧するようあらかじめ各地に配置されたそうです)

 

朝鮮総督府(日本政府が設けた最高機関)の総督、寺内正毅(ヒゲのある細いおじさん)は大韓帝国軍の解散を命じます
反発する大韓帝国軍たち

(1907年7月31日 大韓帝国の軍隊解散に対する皇帝の勅令を頒布
翌日8月1日東大門訓練院で軍隊解散式が行われました) 

(歴史上、寺内正毅は1910年10月に朝鮮総督府の初代朝鮮総督に就任し、1916年10月に内閣総理大臣に就任 イ・フェヨンらが大韓独立宣言書を発表した年、1919年11月に病で亡くなります)

※歴史上の年表とズレている部分がありますが舞台には寺内正毅しか登場せず、ずっと朝鮮にいるようなので総督としておきます

 

ある民間軍の隊長は銃を持つ一人の少女(ちびっこ隊長)に

銃と引き換えに自分のラッパを渡します

15歳でラッパ手として軍隊に入った隊長
銃や刀よりもラッパには天地を揺るがし山河を起こし虎をも起こし
死んだ兵士たちをも蘇らせる力があると言います
少女は嬉しそうにラッパを手にし一生懸命練習をすることを約束しました

 

反発する大韓帝国軍の真ん中からチ・チョンチョンが現れます

(表情に凄みがあり身震いするくらいカッコイイです

軍服の上着の丈が短いのはこれが最後の姿です)
「我が国の将軍となりこの山河を守るのが夢であるが
大韓帝国軍隊の解散とはありえない!!

대한제국 군대해산 말도 안돼(まるど あんでぇ!!)
軍服の上着の前をガバッ!と開け叫びます ←迫力!!
(悔しさがとても伝わってきます)

新興武官学校 あらすじ

 

大韓帝国首相のイ・ワニョン(ヒゲのある小太りなおじさん)は寺内正毅(日本側)と関係を深め、

皇帝(朝鮮第26代王 高宗)を強制退位させていました 

功労の軽重によって恩賜金(天皇から臣下に与える褒賞金)を与えるという寺内

イ・ワニョンは自分ほど親日な内閣は歴史上類をみないだろうとほくそ笑みます
そして皇帝の知らぬところで日韓併合条約が調印されてしまうのです
条約が交わされ「バンザイ!」と喜ぶ二人

高宗皇帝は李太王に格下げされ、徳寿宮咸寧殿に幽閉されます
執務室であった重明殿の二階から皇帝が悲しそうに見ています

(1910年8月22日 日韓併合条約 調印

大韓帝国の一切の統治権を完全かつ永久に大日本帝国(天皇)に譲与することなどを規定した条約)

 

条約により韓国は日本の完全な植民地となり朝鮮総督府(日本政府が設けた最高機関)の支配下におかれました
ドンギュの父(儒学者)たちは日韓併合にひどく痛憤し、集団自殺でこの世の中に抵抗することを決意します

白装束を身にまとったドンギュの父は家族に別れを告げます

「あまり悲しまないでくれ」

「国が崩れたという時にこれ以上の悲しみがあるでしょうか?」

ドンギュの母は気丈に振舞います

「しっかりして勉強を熱心にしなさい 詩を書くんだと部屋に閉じこもりだらだらとする時代じゃないんだ」

父からドンギュへと最後に口にした言葉は説教でした

「部屋に閉じこもって唐や宋の詩を覚えるのが何の役に立つのですか?父さん...」

ドンギュはノートを握りしめ、父に問います

「ドンギュ!!」

母はドンギュを叱ります

「母さんをしっかりお連れするんだ 行きなさい」

お別れのお辞儀をするドンギュの母

 

ドンギュの父はひざまずき、嘆願します
「この恥辱にこれ以上顔をあげて生きてはいけない

部屋に閉じこもり、死んだ詩人たちの詩を覚えながら生きて来た人生であるので

死をもって二千万の同胞に謝罪することしかできず痛憤だ

どうか我々が死んだ後にこの国が再び建つことを切実に願う...」

 

次々と儒学者たちが自決していきます

イ・サンニョン(白髪の緑の衣装のおじさん)が駆けつけます

「このように死んではならない!!生きて戦わねばならないのだ!!」

呼び止めるもドンギュの父は自決してしまいました


残されてしまったドンギュ
イ・サンニョン先生に問います
「これから僕はどうすればよいですか?」
「母親をなぐさめてあげなさい」
ドンギュの不安と憂鬱と悲しみはこの崩れてしまった世の中ではただの言い訳にすぎませんでした
父は最高の学者だったが父の目には僕は情けない息子だった
英雄のように旅立ってしまった父
ドンギュは自分に劣等感を抱いていたようです

 

一方、昔からの名門家であるイ・フェヨン(青い衣装のおじさん)ら六兄弟は自分たちが独立運動の先頭に立つのが相応しいと立ち上がります

同じく名門家であるイ・サンニョンらと共に日本の統治下におかれた朝鮮半島を取り戻すべく、

密かに西間島(ソガンド)に独立軍の基地を作ることを決しました
イ・フェヨンは妻に西間島までは命をかけた遠い道のりだが一緒に来てくれるかと問います
「当たり前のことを聞くのですね」とそそくさと行ってしまう妻 ←客席から笑いが出るシーンです
イ・フェヨンの家で働いている奴婢たちは全員放免するのでもう自由に生きなさいと言われますが、

パルドは「僕も独立軍になりたい!」とついていくことになりました

 

パルドは捨てられた子でした
なぜ生まれたのかわからなかったパルドは生まれて初めて自分の選択で旅立つことを決めたのです

「僕が死ぬ理由と僕が死ぬ時間と場所は自分が選択するんだ」

この場所である秋の日に見た青い空がとても綺麗で泣いてしまった思い出

昨日夢の中で再び見ることのできたその青い空
その青い空のかけらを胸に抱いて今まで生き抜いてきたように

いつまでも胸に抱いて行くんだ

旅立つパルドの目は輝いていました

 

西間島は南満州にある地域であり、厳しい寒さで耕作も難しいといわれる土地です
パルドはブルブルと肩を震わせながら厳しい道のりとなる西間島へと向かいます

 

ドンギュも赤いマフラーを片手にイ・サンニョン先生の元へ駆けつけます

「そうか!君の父親は実に立派な学者でいらっしゃった」

イ・サンニョン先生の言葉にドンギュの顔は曇ります
「先生、僕は父のように生きたくはないんです 絶対に...」

 

ラッパを持ったナパルも旅立ちます(ナパルは韓国語で”ラッパ”です ニックネームです)
幼い頃、隊長からラッパをもらったあの少女です
立派に成長し三編みを切り落としました
「ホン・ボムド義兵部隊のラッパ手になるために!」 ←幼い頃出合った隊長の部隊です

 

寺内は儒学者たちの動きを知り、イ・ワニョンに突っかかります

「生涯本ばかり読んでいる儒学者たちがどうしてそんなにしつこいんだ!!」

「私だけを信じてください」と何か企みがあるようなイ・ワニョン

 

西間島に亡命する皆の気持ちはただ一つ
「ここで死ぬわけにはいかない
こうやって生きるわけにはいかない
独立軍となって必ず戻ってくる!!」

 

日本陸軍士官学校にいるチ・チョンチョンも同じ想いです
「私は戻ってくる!
独立戦争の先鋒に立つのだ!」

(1913年日本陸軍士官学校卒業 1919年満州へ亡命)

 

(重明殿の左二階でイ・ワニョンが赤いマフラーを巻いて寺内に何か説明をしています

重明殿の右二階には皇帝がいます)


日本軍の書庫でチ・チョンチョンが何かを探っているようです

暗闇の中、書物にライトを照らしペラペラとめくっています

物音がし、身を潜めるチョンチョン

本棚の影に回りこみます

(姿勢を低くさせたまま体をくるっと回転させるのがかっこよいです)

 

同じく書庫で探っていたギョンチョンに見つかり、格闘になりました
ギョンチョンに首を絞められたチョンチョンは韓国語で「悔しい...」と声を出します
パッと手を離すギョンチョン
同じ朝鮮人だと気づきます
「ここで何をしているんだ?」
ギョンチョンは次々とチョンチョンに質問を投げかけます

「どこで(日本)軍服を盗み着てるんだ?」

「軍服は盗んでいない!すぐに脱ぎ捨てるつもりだがな!そちらは?」

「何を盗みに忍び込んだ?」

「軍事地図といくつかを持ち出すつもりだ!そちらは?」

「どこに持って行くんだ?」

「満州に行き独立軍と合流するのだ!そちらは?」

「いつ行くつもりだ?」
「必要な情報を全部集めたら脱出する!そちらは?」

チ・チョンチョンは自分だけ目的を全て喋ってしまいます
「...ちょっと待て... 気づけば私だけ全て話した... 잠깐! 이제 보니 나만 다 말했다...」 

(この台詞の言い方と表情がとても可愛いです)

 

西間島に学校を建てるのに日本軍に抱き込まれた中国人たちは家や土地を売ってくれません
西間島の馬賊団に育てられた娘、ヘランが通訳をし手助けをしてくれることになりました
ヘランは家族を馬賊団に殺されてしまいましたが一人でしぶとく生きるんだ!と力強く明るい女の子です

新興武官学校が設立されることがとても嬉しいようです

 

ギョンチョンは主要作戦地図を手に入れていました
残る必要な情報は秘密軍需工場と密偵リスト
「私が先に探し出す!」とチョンチョン

ギョンチョンは朝鮮の同志に会えたことが嬉しかったようです
「ここで朝鮮の同志に会えるとは!騎兵中尉 キム・グァンソだ」 ←ギョンチョンの本名
「私は白馬に乗り、この戦場を飛び回りたいのだ!」
「ああ...白馬に乗るキム将軍」チョンチョンは冷たく去ろうとしますが
「待て!一緒に行こう!」ギョンチョンは足踏みをし引き止めます
チ・チョンチョンは一瞬ためらいを見せますがギョンチョンと手を組みました
「歩兵科 チ・デヒョンだ」 ←チョンチョンの本名
「一緒に行こう!」
「西間島へ!!」

遠くでサイレンが鳴り響く中、二人は書庫から逃げ出します

 

ヘランが情熱的に説得してくれたおかげで元代人たちが動いてくれました

「朝鮮人たちと親善を図らない者たちは厳罰に処すんだから!」

得意そうなヘラン

 

ついに新興武官学校が設立されました

とうもろこし畑の倉庫だった建物に”新興講習所”と看板が掲げられます

(1911年6月10日新興講習所開校)


「新興武官学校入学を歓迎する!」
ドンギュ、パルド、ナパルもいます
パルドは生徒の中で一番体力があり、一生懸命です
そんなパルドを教官も褒め、イ・フェヨン先生らも微笑ましく見ています

ナパルは仲間相手にパンチと蹴りの練習をかっこよくこなします

ナパルが自慢のラッパを吹くと皆はラッパの音と共に希望を抱いた瞳で空を見上げます

皆よりまだ幼く背の低いヘランは教官初め、皆に妹のように可愛がられています

ヘランが得意の石投げの練習は欠かせません
教官の笛はとても力強く、学校中に響き渡ります
パルドは憧れますが何度試してもうまく吹けません

 

ドンギュは赤いマフラーを巻いていつも物静かにノートに何かを書いていました

赤いマフラーは故郷の友だちに貰ったと言います
パルドとナパルは二人してそんなドンギュを驚かせてからかいます
「ドンギュは詩人なんだよね!イ・サンニョン先生がドンギュは詩がすごく上手いって!」とナパル
「わぁ!今詩を書いてるの?」
パルドはキラキラした瞳でドンギュのノートを覗き込みます
「もう詩は書かないんだ...」とノートを隠し、暗い表情のドンギュ...

「何で?」不思議そうに聞くパルドにドンギュは慌てたように答えます
「あ...この時代に詩人だなんて...とてものん気な夢じゃないか...」
私にも夢があるというナパル
「ホン・ボムド義兵部隊のラッパ手!!」

「僕だけ夢がない...」と落ち込むパルドにナパルは「あるじゃない!」と肩を叩きました
「あ!独立軍!」

嬉しそうに拳をあげるパルド

 

パルドはずっと友だちに手紙を書いているドンギュがとても気になってやみません
手紙を書くドンギュを邪魔しては楽しんでいます

(ドンギュが歌いながら手紙を書きますがパルドが「いいな!手紙もさっと書けて!」と歌って割り込みます)

 →邪魔されたドンギュが怒る時のアドリブが楽しみなシーンです

<記憶に残るアドリブ>
チャンウクさん:「やめろよ!!」と歩み寄りパルドに壁ドン!右に壁ドン!左に壁ドン!と圧力をかける
ウンソンさん:ペンをピッ!と跳ねて立ち上がり、離れた場所から無言でパルドを睨みつけ圧力をかける


奴婢だったパルドは字の読み書きができませんでした
手紙を書く友だちもいません
寂しそうなパルドに寄り添い、字を教えてあげるというドンギュとナパル
「僕は君の友だちだから僕に書けばいいよ」とドンギュ
パルドは嬉しくてたまりません
初めて友だちができたのです


三人でドンギュのノート(手紙)を取り合っているところへ、イ・フェヨン先生が来てしまいました

厳しい表情で注意をします
「革命家は記録を残してはならない
それが組織と同志を守る方法なんだ」
ドンギュは書いたノートのページを破り捨てました
怒られてしまった三人ですがそれでもパルドは友だちが出来たことが楽しくて仕方ありません
日が暮れるまでふざけ合って楽しむ三人でした

 

その夜でした
新興武官学校の宿舎に赤い布で顔を覆った何者かが二人忍び込み
イ・フェヨン先生が襲われます
通りかかったパルドが慌てて先生を助けます
刺客二人と揉めあうパルドは腕を切られました
そこへ眠れずに外を歩いていたドンギュも騒動に気づきパルドと一緒に戦います

刺客はドンギュの巻いている赤いマフラーを確認するかのように掴みます
一人は銃を持っていました
銃はイ・フェヨン先生へ向けられドンギュは慌てて盾となります
銃を構える刺客を後ろから蹴り飛ばすパルド
銃弾は幸いドンギュの右腿に当たりました
刺客の一人をパルドが押さえるともう一人の刺客が背後から刀でパルドを切ろうとしています
その瞬間!銃声が響きパルドの背後にいた刺客は倒れました
もう一人の刺客は逃げていきます


手の震えが止まらないドンギュ
銃はドンギュが撃ったのです
「人を殺してしまった...」

 

初めての格闘に二人はショックが大きく動揺を隠せませんでした
駆けつけた教官にとても怖かったと涙するパルド

教官は声を上げます
「我々は戦争中である!」
「我々は勝利する!」
そして震えるパルドの手をぎゅっと掴むと言いました
「戦闘で敵を殺すことは戦争の一部だ

よくやった」
パルドは安堵し思わず教官に抱きついてしまいますが

ハッ!っと我に返り離れます
「パルド!初めての戦闘で勝利したことおめでとう!」

教官に褒められたパルドは恐怖から解放されようやく顔に笑顔が戻りました

 

ドンギュは松葉杖を付きまともに歩くことができません
銃を撃ってしまったドンギュはショックが大きいようでした
ナパルやパルドが慰めようと声をかけても暗い表情です
ナパルとパルドは一人にさせようと部屋から出ますが、

パルドは心配でドアの外で様子を伺っていました


ドンギュはノートに今日の出来事を書き始めます

「友だちへ 今日事件があった イ・フェヨン先生の宿舎が刺客の襲撃を受けた
幸いパルドが現れて刺客と格闘となった-」

窓からひょっこりと顔を出したパルドは付け加えます
「-その瞬間!ドンギュが現れた!」

いつものようにドンギュの手紙の邪魔をするパルド
「ドンギュは...僕じゃないか~うわ~んㅠㅠ」 ←パルドにつられて歌ってしまったドンギュ


「ありがとう おかげで助かって歌を歌えるよ でも今吐いちゃいそう~」と吐きそうな表情のパルド
「お前汚いよ!」

「君は冷たいじゃないか!」

笑い合う二人

パルドのいつもの明るさに心を落ち着かせたドンギュです


「それにしてもドンギュってば格闘が上手いね!
もう変な奴らが来てもドンギュさえいれば僕たち勝利できるよね?そうだろ?」とパルド
少し間が空きドンギュは重い表情で答えます
「僕は...僕は本当にうまくできるだろうか...」
「???何を?格闘?すごく上手いって!パルドとドンギュさえいれば天下無敵さ!!そうだろ?」
「パルド...もし...僕が...」
ドンギュは何か言いたそうな目でパルドを見つめました
「もし君が?」

「...やっぱりいいや」

「何だよ!気になるじゃないか!早く言えよ!」もどかしいパルド

「僕が...僕が...もしもだ...」

「ああ!!もしドンギュが詩人ならって!?

僕の友だちは自慢の詩人だぁ!!わはは!天下無敵の詩人~!!」 
明るく笑うパルドにドンギュもつられて笑うのでした

(このシーンはアドリブにより毎回微妙に違います ウンソンさんとチャンウクさんで違いが大きいシーンでもあります)

 

"大日本帝国の誇らしい軍人として天皇陛下の栄光のために精進するのだ"

(↑何やら天から響く声)
日本軍の歩兵中尉となったチ・チョンチョンは胸に抱いた志を長い間実行できずに葛藤していました
(刀舞踊の”奪われた春”が始まります 剣をあげる時にちらっと見えるお腹はおそらくシャツの中に着ている肌着...)


「私が知るただ一つの歌
私が抱くただ一つの夢 
←”抱く”で胸をガシッと押さえます

白頭山の石は刃を研ぎ落とし
豆満江の水は馬をも飲み込む 

時間は矢のごとく流れ←ひざまずき

季節は虚しく移り変わったが ←両手を広げ苦痛を全身で表現
私はここに身動きも取れずこうして←拳を床に当てて立ち上がります

言い訳だけしている」

新興武官学校 あらすじ

 
ついに時が来たようです
コートを羽織り帽子を深く被り日本軍から盗んだ情報が入った鞄を肩に掛けたチ・チョンチョンはギョンチョンと共に暗闇の中を駆け抜けて行きました

(舞台を降りて左通路を駆け抜けます)

 

頭の賢いナパルは学校で皆に文字を教えていました
パルドはなかなか覚えられないようです ←チャンウクさんは問題の答えをこっそりパルドに教えてあげます
ドンギュは相変わらず皆から離れて一人ノートに書き物をしています
「ドンギュ!また手紙を書いてるのか?」パルドはドンギュが書いてるものが気になってたまりません
「見せてよ!どうせ見ても読めないんだからちょっとくらい見せて!」
ドンギュは頑なに拒みます 

<記憶に残るアドリブ>
チャンウクさん:唾をプップッとかけて拒否!手にかかった唾の匂いを嗅ぐパルドに「何で匂い嗅ぐんだよ!」
ウンソンさん:腕をバタバタと高速に動かして拒否!「読めないのにどうして見るんだよ!」


「あ!詩を書いてるんでしょ?詩人!詩人!僕の友だちは詩人~!!」
詩人と言われても素直に喜べない様子のドンギュはパルドに何か話があるようです
「パルド...ちょっと...」と人気のいない場所に移ろうとしますが

その時ヘランがナパルに差し出した紅柿にパルドはくるっと踵を返してしまいました
とっても羨ましそうな態度をとるパルドにヘランはしぶしぶ持っていたりんごをあげます
子どものようにはしゃぎ喜ぶパルド

皆にもらったりんごを自慢します

 

ヘランはナパル先生が屋根の上でかっこよくラッパを吹く姿を見てから”ときめき”を感じていました
もじもじしながらナパル先生に質問します
「朝目覚めるとすぐに恋しくて顔を洗う時には桶の中に映って
柿の木の紅柿が全部その人の顔に見えてしまうのって何て言いますか?」
ナパルは気づかないフリをしているのか鈍感なのか”愛”という答えが出てきません
「尊敬心!同情心!使命感!」
終いには「学究熱!(向学心)」と自信満々に答え生徒の皆はずっこけてしまいます

(ドンギュとパルドには答えがわかっていて「答えは愛じゃないか!」と肩を組んで歌うのがとても微笑ましいです お互いの胸を本気で叩き合うのもかなり友情が深くなっているのが感じられます)

新興武官学校 あらすじ

 

今日の授業が終わり解散! (その瞬間、りんごを仲間に奪われてしまって泣きべそのパルドが可愛いです)

ドンギュは何かを思いつきノートに書きましたが破り捨ててしまいました
それを発見したパルド!
そっと回り込み破り捨てた紙を足で踏みつけ隠します
「ここの掃除は僕がするよ!」と皆を早く追い出したいパルド


ドンギュは足を引きずってまだ不自由そうです

「もどかしいな!ドンギュ!埃まみれの資料室担当!」とパルド

「そうね...足が早く良くならないとなのにこんなに長くかかるなんて...」とナパル
「ご飯をしっかり食べてないからなのかな...」
ヘランはドンギュの足を心配そうに覗き込みました
「私がうさぎを獲ってきてあげるよ!
私はこの西間島の石投げ一番なのよ!馬賊団たちも敵わないんだから!」
ヘランは石をブンブン振り回しながらうさぎを捕まえに走っていきました
(ここでドンギュが言う一言は毎回違うアドリブです)

<記憶に残るアドリブ>
チャンウクさん:僕は世の中で一番うさぎが可哀想に思う
ウンソンさん:西間島に来る前に裏山にうさぎが住んでたんだけどトスン(토순이)っていうんだ...あいつ元気かな...


一人になったパルドはわくわくしながらドンギュが書いた紙を拾い広げます
けれどまだ字がよめないパルド...

紙を回してみたり...
一生懸命見ても読めるのは最初の一文字 사(サ)...
何が書いてあるのかわかりませんでした


パルドは紙を胸のポッケに大切そうにしまうと何だか胸の奥がこそばゆく、温かくなるのを感じました
自然と笑いが止まりません
「これは何だろう...
どうして僕は幸せなんだろう...

どうして僕は笑えるんだろう...」

今まで何も持つものがなくこの世に未練もなかったパルドは初めて幸せを感じます

「僕にも友だちがいる

まだ学んでまもなくて手紙は書けないけど
僕にも友だちがいる
僕が殺されそうになった時に駆けつけてくれた友だち
何も言わず見守り、何も言わず助けてくれる言葉数の少ない友だち」

何かを貰ったことも与えたこともなかったこの世の中でパルドは初めて生きたいと思いました

「よい時代だったらよかったけれど僕の胸にはあの青空のかけらと友だちがいるんだ!!」

パルドは幸せそうに胸をぐっと掴みました

 

ヘランが金蘭譜を手に入れたと嬉しそうにナパル先生の元へ走ってきました
金蘭譜とは本当に親しい友だち同士、お互いの名前と生年月日を書いて友情の印として交換するものだそうです
また全身全霊で羨ましがるパルド
ヘランは泣く泣く二枚しかない金蘭譜を一枚はナパル先生と自分が一緒に書き、

もう一枚はドンギュとパルドが書くことを提案しました
喜ぶパルドは金蘭譜を持ってドンギュの元へ!
「僕はやらないよ」
あっさり断られてわなわな震えるパルド ←毎回反応が違うので面白いです 金蘭譜を落とす時もあります

<記憶に残るアドリブ>
チャンウクさん:どんなにふるふる震えてもやらないよ!
ウンソンさん:悪寒がするの?


意地悪をしたドンギュでしたが皆で金蘭譜に名前を書くことになりました
捨て子だったパルドは自分の生年月日がわかりません
「それならお前が好きな季節は何?」とドンギュは聞きます
「僕は春(봄ポム)!!花火見たいにポムポムポム!って!」
ドンギュは金蘭譜に「春」と大きく書いてあげました

 

チェ・ウノク(崔銀玉)  1895年 大晦日
カン・ヘラン(姜彗蘭)  1897年 3月11日
イ・ドンギュ(李東奎)  乙未(1895年) 7月7日
パルド    春


四人は金蘭の契りを交わします
「私たち姓は違うけどこれで兄弟になったから同日同時に生まれてはいないけど同日同時に死ぬことを誓おう!」
「...待って!!同時に死んだらダメじゃない!」ナパルは提案します
「私たちの中でもし誰かが死ぬのなら私たちは各自最後まで生き残り、
死んだ兄弟ができなかったことを全てやって死んだ後に会うことを誓おう!!」
「私たちの金蘭の契りはこの世界の果てまで行く!」

四人は手を重ね合わせて誓います
金蘭譜は一つにまとめて箱に入れ、学校にある大きな木の枝にくくりつけることになりました

(タイムカプセルみたいに...)

 

資料室に一人たたずむドンギュ
足に巻いていた包帯を取り外し、さっきまでひきずっていた足は何事もなかったように資料室の椅子に座ります
ノートに書いては破り書いては破りの繰り返し...
今日あった出来事がドンギュの頭の中に蘇ります

「友だちへ 今日は本当に何もなかった 本当だ...」
ドンギュはいつものように手紙を書き始めます
「白駒みたいな奴が(パルドが)川で石ころを拾い幸運の(青い)石だからって僕にくれた」
「どこか秘密主義な奴が(ナパルが)愛を愛と知らず輝く学究熱(向学心)に感動してた」

 

ドンギュは椅子から立つと壁にもたれ気持ちが沈むかのように小さくしゃがみ込みました

しばらくぼんやりするとまた手紙の続きを書き始めます
「特別何もない一日
パルドは一生懸命勉強し
ナパルは一生懸命教え
ヘランは学究熱(向学心)に炎上し
僕は手紙を書く...」
「以上報告を終えます」
(え!?報告?耳を疑うシーンです)

 

「ふざけるな!!密偵の奴が戯言を抜かすとは!」
現れたのは大韓帝国首相のイ・ワニョンです

(このシーンはドンギュの記憶の脳裏に現れていると思います)
ドンギュがいつも書いていた友だちへの手紙はイ・ワニョンへの報告だったのです
「刺客を殺したのが誰だって?赤いマフラーを巻いた奴には手を出すなと伝えたのにお前が刺客を殺すとは!」

ドンギュは立ち上がり答えます
「どうして刺客を送ったんですか?最初と話が違うじゃないですか?」

「黙ってよく聞くんだ!お前の任務はそっちの内部情報を報告することで、私との約束は君とお前の母親を解放してやることだった」
「すみません、これ以上はできません!」
ドンギュは赤いマフラーを外し、差し出します

赤いマフラーが”密偵の証(あかし)”だったのです
「嫌なら今からでもなかったことにしよう
自決した学者の遺族らがどうなるかお前もよく知っているだろう
母親を早くお送りせねばならんな
墓がどこにあるのか探そうと思うな そんなものはないからな バカな奴め!」

イ・ワニョンはドンギュをひどく罵り去っていきます
ドンギュはどうしようもなくその場に崩れ落ちました


うずくまり声を殺して泣きます

泣きながらドンギュは赤いマフラーを再び身につけました

母親を見殺しにするわけにはいかないドンギュは密偵を続けるしか道がありません

 

「ドンギュ、足はもう大丈夫なのか?」
イ・サンニョン先生が新興学友報(会報)を発行するのにドンギュに編集を任せれないかと尋ねてきました
ドンギュは涙を見られないよう背を向けたまま返事をします

 

イ・サンニョン先生が去った後にドンギュは泣きながら手紙に書き加えました
”追伸、これからは手紙ではなく別の密告手段(新興学友報)があるようです”

次にヘランがうさぎの鍋を持って来ました

「来る時にパルドに会ったんだけどね
私がドンギュは足が痛いから肉を食べなきゃなのよって話したら
自分はちっとも食べたくないって!けどすごく唾たらしてるの!」 ←悲しい中パルドを想像して少し笑えます
「さぁ!たくさん食べて早く治ってね」

ヘランはドンギュの肩を優しく撫でます
ドンギュはヘランの顔をまともに見ることができませんでした
うさぎの鍋をかかえながら涙を流します

 

時は流れ、新興武官学校の訓練ではパルドの成長が光ります
射撃、各個戦闘、銃の取り合い、パルドは生徒の中で一等に輝きました
「教官!僕が一等です!」パルドは誇らしげに銃を構えて言いますが
教官は意図も簡単にパルドから銃を奪い取りパルドに向けます
「お前はまだまだだ」

 

「パルド!我々は?」教官はパルドの顔を覗き込み問います

「戦争中だ!!」

「我々は?」

「勝利する!!」

パルドは涙ながらに教官に教わったことを答えます

教官はついに独立戦争の先鋒(戦場)に立つのです

 

教官はパルドをしっかりと抱きしめました
「次は僕の番です」
「成長すればな」
「見ててください!僕が...」
パルドは言葉に詰まります
「君の番が来る前に独立しているといいな」

教官は自分の掛けていた笛をパルドに託しました

 

教官の肩に掛けられた鞄の中には火薬が詰まっていました
「私の貧しい遺書に私の名前の三文字はない
ただ血で書いた六文字
大韓独立万歳!
私の最後の写真の中で
私は嬉しそうに笑っているだろう
ただ一言覚えておくのだ
大韓独立万歳!」

 

パルドは戦場に向かう教官の足を止めると自分のマフラーを教官の首に巻きました
生徒、ヘラン、先生たちもお別れのお辞儀をし教官を見送ります
(ヘランとの挨拶は頭を撫でたりほっぺをつねったりして笑顔を見せる教官 とても切ないです)

 

教官は呼吸をゆっくりと整えると意を決して日本軍の中心、寺内正毅をめがけて火薬でいっぱいの鞄を投げ入れました
撃たれても撃たれても突き進み最後までこの言葉を叫びます
「大韓独立万歳~!!」

 

パルドの元に血のたくさんついたマフラーだけが帰ってきました

パルドはマフラーを握り締め悲しみに打ちひしがれますが
やがて決意したような眼差しで教官から譲り受けた笛を思いっきり吹きます
笛の音は空高くへと響き渡りました
もはや教官にも劣らない笛の音です

パルドは決心していました
次は自分が独立戦争の先鋒に立つことを!

 

 

一幕はここで幕を閉じます

ダウン文字数をオーバーしたため、二幕へと続きます

 

イイネしていただいた方、ツイッターへ返信いただいた方、大変ありがとうございます

とても嬉しいですお願い

思い出してはまだまだ所々付け加えています(最終更新:2019/5/4)

 


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