【知床観光船事故】:事業許可取り消しも 桂田社長船舶免許ないのに「3年以上の実務経験」届け出
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【知床観光船事故】:事業許可取り消しも 桂田社長船舶免許ないのに「3年以上の実務経験」届け出
北海道・知床半島沖の観光船「KAZU 1(カズワン)」の沈没事故で、国土交通省が運航会社「知床遊覧船」に対し、最も厳格で過去に例のない事業許可取り消しも視野に処分を検討していることが7日、同省関係者への取材で分かった。事故発生から2週間。安全管理規程の違反を重ねていた実態を重くみて特別監査を進めており、14人が死亡、12人が行方不明となった重大事故の全容解明を進める。許可取り消しは、海上運送法に基づく行政処分では最も重い。
観光船沈没事故で乗客家族への説明会を終え、会場を後にする「知床遊覧船」の桂田精一社長(共同)
北海道斜里町内に設置された献花台に供えられたメッセージ(共同)
また、桂田精一社長(58)が自らを「運航管理者」に選任する際、同省に「3年以上の実務経験がある」と届け出ていたことや船舶免許は持っていなかったことも分かった。
7日には、乗客家族への補償に関する説明会が斜里町で開かれ、弁護士が死亡の保険金や葬儀費用について説明した。桂田社長も冒頭同席した。
第1管区海上保安本部(小樽)は北方領土・国後島周辺を含む海域での捜索を続行。専門業者「日本サルヴェージ」が派遣した作業船が現場に到着した。今後、水中調査を進め、5月中にも深い海で長時間作業ができる「飽和潜水」技術を使って船内の捜索に着手する見通しだ。
海上運送法施行規則は、運航管理者の要件について(1)船長として3年以上または甲板員として5年以上の経験(2)運航管理の3年以上の実務経験-などと定めている。同省関係者によると、桂田社長は、自らが3年以上の実務経験に該当するとし北海道運輸局に書類を提出していた。
桂田社長は乗客の家族に当初カズワン船長が運航管理者だと誤って説明したほか、配布した文書に「運航について社員に任せている部分が多かった」と記載。地元同業者は「海のことは分かっていない人だ」などと証言している。運輸局は事故前、こうした実態を把握できていなかった。
知床遊覧船を巡っては、事故当日、安全管理規程に違反して出航したことや、運航管理者として事務所(営業所)にいなければならなかった桂田社長は補助者がいないのに、約100キロ離れた北見市に出かけていたことが判明。船と陸上との通信手段に携帯電話を申告していたが、航路の大半でつながりにくかった。
◆海上運送法
海上で旅客や物を運ぶ運送事業の安全確保などを目的とした法律。2006年の改正で、事業者が運航上のルールとして安全管理規程を作成し、国土交通省に届ける制度が創設された。同省による定期的な監査や、事故があった際の特別監査の根拠となり、違反が見つかれば是正を指導するほか、程度によっては、事業者名の公表を伴う安全確保命令や、事業の停止、許可取り消しといった行政処分を科す。懲役や罰金の罰則規定もある。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・北海道・知床半島沖の観光船「KAZU 1(カズワン)」沈没事故】 2022年05月08日 09:51:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。