初期対応が大事
今も昔と同じことに怒りやもどかしさを感じるなんて・・・忘れないうちのメモ今から29年前の1995年1月17日、午前5時46分マグニチュード7.3、震度7の阪神淡路大震災が発生した。(被災規模や経済的損失等は末尾に載せるので参考にしてもらいたい。)発災当日、私は仕事上の命令により部下34人と共に被災地入りしている。数キロ先の燃え盛る炎、度々の余震で揺れる大地、そんな現場での救助活動に始まり、その後は4月中旬までの間、交通規制や防犯対策等の任務にあたった。その現場で、辛かったこと、悔しかったこと、悲しかったこと、残念なこと、もどかしく感じたこと、その他にもいろんなことを経験し、後に続く者に手記を残したり、提言もしているが、残念ながら今回の能登半島地震ではあまり活かされていない。その最たるものが初期対応だ。29年前もそうだった。道路等損壊、家屋の倒壊等により事情が悪いとしても被災地に近くになるにつれ、数メートル進むのに数十分かかるなど、救助活動に逸る気持ちとは裏腹に車が前に進まない。前からも後ろからも遠くからも何重にもなって緊急車両のサイレンが鳴り響いている。サイレンを鳴らしても進まないため音を出さず赤ランプだけの緊急車両もいる。どの緊急車両が最も重要で優先されるべきかが法律に記されているのを見たことはないが、現場では暗黙の内に優先順位が生まれていた。1番は救急車、2番目は消防車、3番目は警察パトカー、4番目以降は自衛隊や機動隊、ガス、電気等その他の緊急車両とこんな具合だった。今回の能登半島地震の渋滞状況をこの目で見ていないが、一般車の混入が救助活動にあたる車の進行を妨げていたであろうことくらいは想像がつく。少なくとも発災から救命や救助活動に区切りが付く段階までか、あるいは支援物資輸送に目途が立つ段階までは、被災地に向かう一般車は全面的に通行を禁止すべきだった。私は、過っての神戸の震災で感じたことと同じように絶対に規制すべきと瞬時に思ったが、実際はと言うとほぼフリー状態であった。そのことが円滑な救助活動に少なからず悪影響を及ぼしていたと考えている。発災当日は津波の心配もあったし、間もなく夜も更けたので、何ら規制せずとも大方の一般車は能登方面に向かわなかったであろう。しかし、翌2日までに通行禁止規制をかけるべきところ、マスコミが、↑このような通行可能経路図を流すものだから通行できると考えた一般車が動き出すだろうと予測したら、案の定・・・であった。その後に「一般車両は通行を遠慮してほしい」的なことを国や県がお願いしている。とのお知らせレベルの報道がなされているのには呆れる。阪神淡路大震災の後には、東日本大震災もあった。熊本地震もあった。同じ地域では能登沖地震もあった。このような地震を経験し、反省点や対処すべきことなどの教訓を後世に引き継いでいるのであろうが、現場を知らない平和な新しい世代が担うようになって、過去の教訓が活かされず機能していないのではないか⁉災害対策基本法という素晴らしい法律がある。災害対策基本法第76条【災害時における交通の規制等】・・・読みやすく(中略)を入れた。都道府県公安委員会は、(中略)災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため緊急の必要があると認めるときは、(中略)緊急通行車両(中略)以外の車両の通行を禁止し又は制限することができる。この法は、災害発生初期の対策が的確かつ円滑に行われるようにするためのものである。半島という交通の便にハンデーを持つ地域における大災害では、緊急輸送路確保は喫緊の課題になる。この法を使わないで何を温いお願いを垂れ流しているのか!と言いたい。1月10日現在 道路の緊急復旧の状況として次の地図を公表している。これを災害対策に従事する人や支援物資を運ぶ人以外の人々に知らせる必要があるのか疑問だ。ネット社会であるから、現地からの断片的な情報をつなげて道路事情を把握できる人もいるだろうし、実際に金沢に住む私の友達も奥能登の友人知人から情報を得て奥能登に向かってはいるが、輸送路が大渋滞している今の段階では、私はこれに否定的な見方をしている。次の近い将来に必要な対応としてこのまま被災地に被災者の大半が残れば、健康や衛生面が劣悪化していく。過っての被災地でもそうであったが、目を覆いたくなる程の汚物、悪臭の中で生活をしなければならない。いずれボランティアが入れば、一時的に改善されても上下水道等のライフラインが復旧するまで続く保証はない。この対応を考えておく必要がある。次に、5年間は警察官定数の増員が必要か当面は、他府県警察官の応援派遣で防犯や交通整理等の対処は可能であるが、早期に定数増が必要になる。避難した不在家屋や倒壊家屋に誰も住んでいないことを良いことに盗難や浮浪者の住み着きが出てくる。また、被災地に残って生活している者に家屋の修繕等で詐欺まがい商法が横行しかねない。目に見えるパトロールの強化により住民の安全と安心の確保を図る必要がある。2次避難先への誘導故郷を離れたくない気持ちは分からないではない。一旦は離れてもらわないと、長期間の救援・救援活動が必要となる。医師・看護師等の移動や救援物資の搬送について考えたとき、被災地への移動や運搬をするより、被災者に非被災地への避難をして頂いた方が双方にとってメリットが大きい。1月後、2月後、春以降、暑い夏場等の各段階で何が問題となるか、何が必要かについても思うところはあるが、最も重要なのは現在の応急的な対応であり、(少しでも早いに越したことはないが)焦る必要のない後のことは頭の良い方々がちゃんと対応してくれるものと期待している。最後に非難めいたことばかりを言ったが、現場で災害対策に頑張っておられる皆さんには感謝し御礼を申し上げます。現場活動の過酷さは分かっているつもりです。どうか、健康に留意され無事任務を完遂されますようお祈りしています。#頑張れ石川 #頑張れ能登ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー29年は長く、多くの人がこの悲惨な震災のことを知らない。【阪神淡路大震災の被災状況】〇被災概要・・・消防庁の発表によれば住居被害255,395棟(内全壊104,906棟)長田区を中心にし、7,443棟(832,151㎡)が消失犠牲者は6,434人、負傷者はその約8倍〇経済的損失・・・国土庁の平成 7年 2月14日現在推計によれば建築物等約 約6兆 3千億円交通基盤施設 約2兆 2千億円ライフライン施設 約6千億円その他 約5千億円総計 約9兆6千億円